松木世代、3冠世代の青森山田、大学経由選手もプロへ…山口内定MF藤森颯太「J3とか関係なく」今治内定DF丸山大和「いつか日本を」
2022年度の高校サッカー界を席巻した青森山田高から大学に進んだ選手たちが巣立ちの時を迎えている。明治大のMF藤森颯太はレノファ山口FCに、東海大のDF丸山大和はFC今治でプロキャリアをスタートさせる。


2022年の青森山田は主将MF松木玖生(サウサンプトン)を中心に、インターハイ、プレミアリーグEAST、そして高校選手権の3冠を達成した。また同年は現在FC町田ゼルビアを指揮する黒田剛監督のラストシーズンでも注目を集めた。


■這い上がる
右サイドハーフでレギュラーだった藤森は、大学入学直後の開幕戦からスタメン出場。3年時には1学年上のFW中村草太(広島)とのコンビで得点を量産して、大学リーグのベストイレブンも受賞した。
しかし昨年末の大学選手権(インカレ)準決勝の新潟医療福祉大戦の試合前練習で第五中足骨を骨折。その影響や度重なる細かい怪我もあって今季は思うようなシーズンを過ごすことが出来ず。昨年10ゴールを記録したリーグ戦ではまさかの無得点に終わった。
今季大学サッカーの顔の一人と目されていた藤森。当然周囲も卒業後の進路に注目した。「進路はどうなっているの?」。地元に帰省した際も知り合いなどからも声を掛けられることが多かったという。そんな中で11月に入ってようやく、山口への入団内定が発表になった。J2の残留争いをするチームへの入団、結果的に来季のJ3降格が決まったクラブへの入団は、多少の驚きを与えた。
ただ本人はそこまで深刻には考えていないと主張する。「結局自分が大事にしているもの、サッカー選手して大事にしていることが試合に出続けること。もちろん島野(怜=柏内定)とか晴己(林=鹿島内定)みたいに高いレベルで揉まれながら、試合に出るか出れないかを探りに行くことは一つの手ではあったけど、自分が一番能力を発揮できるクラブに行って出場時間を掴んだ方がこれからのビジョンとして伸びしろがあると感じてレノファに決めました」。
中高をともに過ごした盟友の松木からも連絡をもらったという。「颯太ならプロになれると思っていたと言っていた。(決まった時は)残留争いの最中だったのでチーム的に苦しいかもしれないけど、個人でもやれると思うし、やり続けることでおのずと道は拓けるから頑張れと言ってくれた。玖生の活躍も刺激ですし、自分も何かしらあいつに刺激を与えられるように頑張りたい」。
そして藤森自身もここからがスタートだと気を引き締める。先日のJ2最終節で戦った大宮戦(○3-2)からも「勇気」を貰ったという。「ほかの大学の人たちがJ3から世界に出ることができるかと言われると分からないけど、明治だったら絶対にできると思っている。明治の4年間に自信を持って、J3とか関係なくトライし続けたい」。苦しみを乗り越えた実力派アタッカーが、プロの舞台で這い上がる。


■大和魂
東海大では会見に登壇した選手が色紙にサインと目標を書いて写真撮影を行った。丸山は高校時代に松木に考えてもらったものをアレンジしたという自らのサインとともに、『大和魂』の言葉を添えた。会見でも「サッカーをやっている以上、A代表を目標にして世界で戦える選手になっていきたい」と話したように、「名前の通り生きていくことはモットー」と強い意志を込めた。
丸山も3冠世代の中心選手で、インターハイと高校選手権の決勝では、いずれも決勝点を奪う印象的な活躍をみせた。大学では2年生の夏以降でレギュラーを獲得。3年生、4年生と守備の要としてほとんどの試合でフル出場を続けた。そして9月末に今治への入団内定が発表になった。
何が何でもプロになる。大学生活は強い思いを持って過ごしてきたという。高卒でプロに行った松木やMF宇野禅斗(清水)、FW渡邊星来(宮崎)、さらに大学に進んだ同級生たちを「ライバル」に見立ててきた。「負けたくない思いがずっとあった」。それぞれの道に進むことになっても、絆を感じながら戦っていくつもりだ。
そしてその中で先頭を走ってくれていると言っても過言ではない恩師・黒田監督の存在も常に意識してきた。「ゼルビアのYouTubeを見たりするけど、あの人が言っていることは納得ができる。勝負に対して一番負けず嫌いだったのは、高校の時もあの人だった。監督でも選手でも同じ味方に意思を伝えることはできると思うので、そこは見習って、あの人を超えるくらい成長していきたいと思います」。
今治では代表取締役会長を務める岡田武史氏との共闘も楽しみにしている。まだ直接会ったことはないというが、「一度は日本を背負った方なので、自分にとっては刺激が大きい。(今治を)決めた理由の一つでもあります。自分の名前でもあるように大和。名前の通り生きていくことはモットーとしてやっているので、いつか日本を代表できるように頑張りたい」。大和発進。開幕スタメンを目標にプロの舞台でもスタートダッシュをかける。
(取材・文 児玉幸洋)
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3冠世代の青森山田
2022年の青森山田は主将MF松木玖生(サウサンプトン)を中心に、インターハイ、プレミアリーグEAST、そして高校選手権の3冠を達成した。また同年は現在FC町田ゼルビアを指揮する黒田剛監督のラストシーズンでも注目を集めた。


■這い上がる
右サイドハーフでレギュラーだった藤森は、大学入学直後の開幕戦からスタメン出場。3年時には1学年上のFW中村草太(広島)とのコンビで得点を量産して、大学リーグのベストイレブンも受賞した。
しかし昨年末の大学選手権(インカレ)準決勝の新潟医療福祉大戦の試合前練習で第五中足骨を骨折。その影響や度重なる細かい怪我もあって今季は思うようなシーズンを過ごすことが出来ず。昨年10ゴールを記録したリーグ戦ではまさかの無得点に終わった。
今季大学サッカーの顔の一人と目されていた藤森。当然周囲も卒業後の進路に注目した。「進路はどうなっているの?」。地元に帰省した際も知り合いなどからも声を掛けられることが多かったという。そんな中で11月に入ってようやく、山口への入団内定が発表になった。J2の残留争いをするチームへの入団、結果的に来季のJ3降格が決まったクラブへの入団は、多少の驚きを与えた。
ただ本人はそこまで深刻には考えていないと主張する。「結局自分が大事にしているもの、サッカー選手して大事にしていることが試合に出続けること。もちろん島野(怜=柏内定)とか晴己(林=鹿島内定)みたいに高いレベルで揉まれながら、試合に出るか出れないかを探りに行くことは一つの手ではあったけど、自分が一番能力を発揮できるクラブに行って出場時間を掴んだ方がこれからのビジョンとして伸びしろがあると感じてレノファに決めました」。
中高をともに過ごした盟友の松木からも連絡をもらったという。「颯太ならプロになれると思っていたと言っていた。(決まった時は)残留争いの最中だったのでチーム的に苦しいかもしれないけど、個人でもやれると思うし、やり続けることでおのずと道は拓けるから頑張れと言ってくれた。玖生の活躍も刺激ですし、自分も何かしらあいつに刺激を与えられるように頑張りたい」。
そして藤森自身もここからがスタートだと気を引き締める。先日のJ2最終節で戦った大宮戦(○3-2)からも「勇気」を貰ったという。「ほかの大学の人たちがJ3から世界に出ることができるかと言われると分からないけど、明治だったら絶対にできると思っている。明治の4年間に自信を持って、J3とか関係なくトライし続けたい」。苦しみを乗り越えた実力派アタッカーが、プロの舞台で這い上がる。


■大和魂
東海大では会見に登壇した選手が色紙にサインと目標を書いて写真撮影を行った。丸山は高校時代に松木に考えてもらったものをアレンジしたという自らのサインとともに、『大和魂』の言葉を添えた。会見でも「サッカーをやっている以上、A代表を目標にして世界で戦える選手になっていきたい」と話したように、「名前の通り生きていくことはモットー」と強い意志を込めた。
丸山も3冠世代の中心選手で、インターハイと高校選手権の決勝では、いずれも決勝点を奪う印象的な活躍をみせた。大学では2年生の夏以降でレギュラーを獲得。3年生、4年生と守備の要としてほとんどの試合でフル出場を続けた。そして9月末に今治への入団内定が発表になった。
何が何でもプロになる。大学生活は強い思いを持って過ごしてきたという。高卒でプロに行った松木やMF宇野禅斗(清水)、FW渡邊星来(宮崎)、さらに大学に進んだ同級生たちを「ライバル」に見立ててきた。「負けたくない思いがずっとあった」。それぞれの道に進むことになっても、絆を感じながら戦っていくつもりだ。
そしてその中で先頭を走ってくれていると言っても過言ではない恩師・黒田監督の存在も常に意識してきた。「ゼルビアのYouTubeを見たりするけど、あの人が言っていることは納得ができる。勝負に対して一番負けず嫌いだったのは、高校の時もあの人だった。監督でも選手でも同じ味方に意思を伝えることはできると思うので、そこは見習って、あの人を超えるくらい成長していきたいと思います」。
今治では代表取締役会長を務める岡田武史氏との共闘も楽しみにしている。まだ直接会ったことはないというが、「一度は日本を背負った方なので、自分にとっては刺激が大きい。(今治を)決めた理由の一つでもあります。自分の名前でもあるように大和。名前の通り生きていくことはモットーとしてやっているので、いつか日本を代表できるように頑張りたい」。大和発進。開幕スタメンを目標にプロの舞台でもスタートダッシュをかける。
(取材・文 児玉幸洋)
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