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[東京都CY U-17選手権]「『サッカーは楽しいものだぞ』ということを教えてくれたチーム」への恩返し。三菱養和SCユースMF倉持譲太郎が携える圧倒的なクラブ愛

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三菱養和SCユースのゲームキャプテン、MF倉持譲太郎(2年=横浜FCジュニアユース出身)

[2.24 東京都クラブユースU-17選手権3位決定戦 東京Vユース 1-1(PK2-4) 三菱養和SCユース 西が丘]

 このクラブに対する感謝は、言葉では表し尽くせないほどに実感している。サッカーと楽しく向き合い続けてきた高校生活の集大成。この最高の仲間と、この赤いユニフォームを纏って、必ず大きなことを成し遂げてやる。

「養和は『サッカーは楽しいものだぞ』ということを教えてくれたチームで、自分を高校から受け入れてくれた本当に大好きなチームなので、本当に大きな恩を感じていますし、その恩を返せるように、この1年間も頑張っていきたいと思います」。

 サッカー大好き集団の三菱養和SCユース(東京)でキャプテンマークを任されている、快活なナイスガイ。MF倉持譲太郎(2年=横浜FCジュニアユース出身)は改めて愛するチームの、そして自分自身の価値を証明するための1年間へ、胸を張って挑んでいく。


「本当だったら僕たちは決勝を目指していて、そこが第一の目標だったんですけど、それが叶わなかったので、『3位決定戦は絶対に勝とう』と話していました」(倉持)。1月末から開催されていた東京都クラブユースサッカーU-17選手権の決勝リーグで、三菱養和ユースはFC町田ゼルビアユースと勝点で並びながら、得失点差で2位となったために3位決定戦へと回り、今季からプレミアリーグへ復帰する東京ヴェルディユースと西が丘のピッチで対峙することになる。

 前半は「自分と今井(颯太)が中心となってうまくやれていたと思います」と倉持も話したように、全体の流れは右サイドから攻め込む回数を何度も作った三菱養和ユースに。41分にはロングスローの流れから、FW外山凌大(1年)が先制ゴールを叩き込み、1点をリードしてハーフタイムへと折り返す。

 だが、後半に入ると一転して東京Vユースのアタックを受け続ける展開に。GKスタチオーリ・レオナルド(2年)のPKストップも飛び出し、何とか相手の猛攻を凌ぐ時間が続く。

 チームを率いる増子亘彦監督の“倉持評”が印象深い。「すぐ疲れて足が攣っちゃったりすることが多いんですけど、そういったところが自分の課題だと思ってやっているので、そういう意味では今日も90分間しっかりやってくれたのは成長しているのかなと思います」。

 その言葉を本人にぶつけると、その自覚はしっかりあるようだ。「本当に監督のおっしゃる通りで、90分間自分がやれないとこのチームは勝てないと思いますし、そこは責任感を持って90分間の中で体力的にも、技術的にも目立てるような選手に今後絶対になっていくので、そこを楽しみにしてほしいなと思います!」

 笑顔でそう言い切るあたりに、持ち合わせているキャラクターが滲む。試合は後半39分に追い付かれたものの、PK戦の末に3位のメダルをゲット。「後半はちょっと攻められっぱなしで、そこをどうするかという今後の課題は出たんですけど、最後に勝負強さを出せて、PK戦で勝てたのは良かったと思います」。90分間を走り切ったゲームキャプテンは、笑顔でチームメイトと勝利の歓喜を分かち合った。



 横浜FCジュニアユースで中学時代を過ごしていた倉持は、ユースへの昇格が叶わず、今後の進路を考えていた中で、父親から三菱養和ユースの存在を知らされる。

「はじめは養和にユースがあることさえ知らなかったんですけど(笑)、父親に『養和を受けてみたらどうだ?』と言われて、調べてみたら当時はプリンスリーグの1部でしたし、実際に見ても本当に元気の良いチームで、『楽しくサッカーしましょう』という雰囲気があったんです」。

「たとえば高校の部活は部員が200人を超えるチームもある中で、そこで揉まれていくのは得意なタイプではないというか、自分は少人数でやった方が合うんじゃないかとも思いましたし、養和というクラブはJ下部や高校サッカーの強豪チームと同じぐらい強いので、『そういうチームを上回れるんだぞ』というのを証明したかったのもありますね」。熟考の末に自ら決断し、三菱養和ユースで2年間にわたって気の置けない仲間たちとボールを蹴り続けてきた。

 昨シーズンのプレミアリーグEASTは横浜FCユースが初優勝を達成。かつてのチームメイトたちがタイトルを手にしたことを知って、倉持の中には小さくない悔しさと新たなモチベーションが湧いてきたようだ。

「自分がいなくなっても結果を出しているのは悔しいですし、ニュースでゲキサカを見たらアイツらは常に載っているじゃないですか。自分は見返してやろうという想いを持ってこのチームに入ったので、自分もいつかああいう表舞台に立って、必ず立場を引っ繰り返してやろうという気持ちはあります」。

 とりわけ意識しているのは、年代別代表にも選ばれている2人の『ライバルであり、友人』だ。「(前田)勘太朗はもうプロに行っていますし、佃(颯太)もU-20日本代表のトレーニングサポートに入ったりしていて、非常に凄いなと思う一方で、ジュニアユース時代は技術的にも全然負けていると思わなかったですし、常にアイツらを意識してプレーしているところはあるので、いつか2人を超えられるように努力していきます」。


 自分で決めて、自分で歩いてきた道が正しかったと実証するための1年間は、もう幕を開けている。立ち止まっている時間はない。この最高の仲間と、この赤いユニフォームを纏って、必ず大きなことを成し遂げてやる。

「自分が1年生の時にプリンスリーグ1部から落ちてしまったので、今年は絶対に1部へ上げることはチーム全体で目標としていますし、Jクラブを上回っていくのが養和だと思っているので、そのためにもここ最近は出られていないクラブユースの夏の全国大会も、出場は目指しています。個人としては今回こういう機会をもらって、1つ足跡を残したことは非常にプラスになるので、ここからさらに羽ばたいていきたいと思っています」。

 大きなクラブ愛を心の真ん中に据えた、三菱養和ユースの新たな水先案内人。元気で丁寧な挨拶も魅力的なパーソナリティの表れ。倉持譲太郎には何かを期待したくなるようなエネルギーが、間違いなく詰まっている。



(取材・文 土屋雅史)
土屋雅史
Text by 土屋雅史

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