悩めるチームを活性化させたのは「プレミア初スタメンの3年生」!前橋育英は86分の決勝点で柏U-18に競り勝って「二冠達成」へ上々のリスタート!
[9.6 プレミアリーグEAST第12節 柏U-18 1-2 前橋育英高 ゼロワットパワーフィールド柏]
インターハイでの悔しい経験を経てからも、なかなか思うようにチームの反発力は出せなかったけれど、残されたタイトルを考えても、この試合だけは絶対に落とせない。先制し、追い付かれ、刻々と時間が消えていく中で、それでもタイガー軍団の選手たちは誰一人として、勝つことを諦めていなかった。
「これからも難しい試合はたくさんあると思うんですけど、そういう時でも今日みたいに誰一人諦めることなく、最後まで戦う姿勢を見せ続けたら、結果も必然的に付いてくると思うので、こういうゲームを増やしていきたいなと思っています」(前橋育英高・柴野快仁)
リーグ再開初戦となる後半戦の開幕戦は、タイガー軍団の粘り勝ち。6日、高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ 2025 EAST第12節で、柏レイソルU-18(千葉)と前橋育英高(群馬)が激突した一戦は、1-1で迎えた後半41分にプレミア初スタメンのMF田野央哩波(3年)が決勝点を叩き出し、前橋育英がしぶとく勝点3を手繰り寄せている。
試合の構図は立ち上がりから前橋育英がボールを動かし、柏U-18がブロックを敷きながら、速い攻撃を狙う展開。その中で前半7分にはMF沼端隼人(3年)が左へ流し、FW加茂結斗(2年)のシュートはゴール右へ外れるも好トライ。12分にもカウンターから沼端が運び、加茂が枠へ収めたシュートは前橋育英GK南京佑(2年)がキャッチしたものの、まずは柏U-18が沼端-加茂ラインで2つのフィニッシュを創出する。
ただ、「インターハイも負けてしまったことで、このプレミアリーグに懸ける想いは本当に強いです」とキャプテンのMF竹ノ谷優駕(3年)も話す前橋育英は、徐々にボール回しのテンポを上げながら窺う相手ゴール。16分には相手のバックパスをさらったFW山西智也(3年)のシュートはわずかにゴール左へ逸れたが、あわやという場面。18分にも山西、田野と繋ぎ、3列目から上がってきた竹ノ谷のシュートはゴール左へ外れるも、漂う得点の匂い。
すると、スコアが動いたのは28分。前橋育英は左サイドでボールを持ったDF牧野奨(3年)が中央へ送り込み、受けた柴野は思い切りよくミドル。相手に当たったボールはコースが変わり、ゴール右スミへ転がり込む。「だいぶラッキーでしたね」とは本人だが、高いシュート意識が呼び込んだ先制点。アウェイチームが1点のリードを奪った。


追いかける展開となった柏U-18は、なかなか攻撃のテンポが上がらない状況を見て、40分前後にシステムを4-4-2から3-4-3にシフト。45+2分にはボランチから3バックの中央へスライドしたMF廣岡瑛太(3年)のフィードから、左サイドを抜け出したMF巻渕彪悟(2年)のシュートはクロスバーにヒットするも、1つ際どいシーンを作って、ハーフタイムを迎えることになった。
後半も立ち上がりからやり合う両者。6分は柏U-18。左サイドからDF佐藤桜久(2年)が正確なクロスを送り、枠を捉えた巻渕のヘディングは南がファインセーブで回避。8分は前橋育英。中央右寄りからMF平林尊琉(3年)のアーリークロスに、山西と相手DFが競り合ったボールはクロスバーを直撃する。
10分。ホームチームが追い付く。廣岡が丁寧なフィードを蹴り込み、「相手の背後をみんなが意識し始めてから、自分もそこで収められるようになりましたね」というFW澤井烈士(3年)が力強くキープ。DF三村叶夢(3年)、沼端と回ったボールを、MF徳田波音(3年)が右スミのゴールネットへ鮮やかに突き刺す。1-1。現在は3連敗中。4試合ぶりの勝利を目指す柏U-18が、スコアを振り出しに引き戻す。




「3-4-3にして、真ん中に人を増やしてから、結構良い形でボールが回り始めたかなと思います」と澤井も言及した柏U-18は、ボランチで並んだ沼端と徳田が広範囲に動きつつ、澤井の下に入った巻渕と加茂のシャドーも積極的にボールへ関与。さらに機を見て3バックの右に入ったDF上原伶央(3年)、左を任されたDF吉川晴翔(2年)もドリブルで持ち出すことで、攻撃に厚みを加えていく。
27分には柏U-18にビッグチャンス。ここも吉川が相手エリア内までドライブした流れを起点に、加茂が縦に打ち込んだバスから、左へ持ち出した澤井のシュートは枠を襲うも、ここは南が身体を使ってファインセーブ。絶好の逆転機を生かし切れない。
勝利の主役は「自分がチームを勝たせるぐらいの気持ちでプレーしたいなと思っています」と言い切る、プレミア初スタメンの3年生アタッカー。41分。「外でオープンで持って、内側に入っていくのは自分の得意なプレー」という牧野が中央へ切れ込み、竹ノ谷は右へ展開。DF瀧口眞大(3年)が上げ切ったクロスを、柴野は「左を見たら央哩波がいいところにいたので、どれだけ優しいボールを落としてあげられるかを考えて」ラストパス。田野がボレーで叩いたボールは、ゴール右スミへ吸い込まれていく。
「試合前にも監督から『今日はチャンスだぞ』と言われていたので、点を決め切れて良かったです。メッチャ嬉しかったですね」と笑った背番号22のプレミア初ゴールは、そのまま試合を決める決勝点に。「この開幕が後期の流れを左右するということはみんなで話していて、ちょっと苦しい時間も続いたんですけど、勝ち切れて良かったです」(竹ノ谷)。前橋育英がアウェイで貴重な白星を手繰り寄せる結果となった。


冬夏連覇を目指して挑んだインターハイ。前橋育英は初戦の高川学園高戦も2点を先行される苦しい展開から、何とか3点を奪い切って逆転勝利を収めたものの、続く2回戦の高知中央高戦は、後半アディショナルタイムの2失点でまさかの逆転負け。「リーグ戦も前期は結構良い形で終われましたし、選手権も優勝していたことで、周りから期待されていた中で、少し過信していた部分があったのかなと思います」と竹ノ谷。真夏の福島での戦いは、悔しい結果を突き付けられる。
そうなると思い描くストーリーは、この敗退をポジティブなターニングポイントに変え、チーム力が向上していくそれ。だが、事はそう簡単に運ばない。なかなか反発力は成果に結び付かず、『諫早招待ユースサッカー大会』では大津高に1-6と大敗してしまう。
「あまり夏にうまく行っていない時期があって、大津にも凄い点差で負けたりして、改めて自分たちの弱さは夏休みに知れた中で、プレミアに向けて若干『大丈夫かな?』という不安はありました」と柴野。選手たちは不安半分、楽しみ半分という格好で、プレミアの再開を迎えていたという。
そんな状況の中で、この日の試合のキーマンになったのは、どちらもプレミア初スタメンに抜擢された山西と田野だ。前期のプリンスリーグ関東2部で7得点を積み重ねた山西は、この日もチーム最多の3本のシュートを放ち、ゴールへの意欲を強く打ち出しながら、前線で基点創出にも奔走。山田耕介監督も「山西もいいところはあったじゃないですか。身体能力も高いですし、時間が掛かるかもしれないけれど、徐々に徐々に良くなっていますし、1つ1つ階段を上がっている感じはしますね」と評価を口にする。


さらに、田野は左サイドハーフの位置で攻撃の組み立てにも関わりつつ、エリア周辺では常にシュートの意識が。「監督にも言われた通り、今がチャンスだと思っているので、今日は点を獲ってアピールしないとダメだなと思っていました」という想定通りに、ゴールという形で勝利に貢献したことが、今後への大きなアピールになったことはあえて言うまでもないだろう。
「監督も自分たちも期待していた中で、2人が自分たちでチャンスを掴み取って、このプレミアでも自分の力を発揮してくれたことは、これからあと10試合のリーグ戦に向けても、選手権に向けてもプラスになってきますし、まだプリンスからも良い選手が出てくると思うので、自分もそこに負けないように努力していきたいと思っています」(竹ノ谷)
ニューカマーの躍動がもたらすのは、既存戦力に突き付ける危機感と、個々のさらなる成長を煽る向上心。明確に目指すのはプレミアリーグと高校選手権の二冠達成。悩める真夏の時間を過ごした上州のタイガー軍団が、最高に近い形で再始動を切っている。


(取材・文 土屋雅史)
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インターハイでの悔しい経験を経てからも、なかなか思うようにチームの反発力は出せなかったけれど、残されたタイトルを考えても、この試合だけは絶対に落とせない。先制し、追い付かれ、刻々と時間が消えていく中で、それでもタイガー軍団の選手たちは誰一人として、勝つことを諦めていなかった。
「これからも難しい試合はたくさんあると思うんですけど、そういう時でも今日みたいに誰一人諦めることなく、最後まで戦う姿勢を見せ続けたら、結果も必然的に付いてくると思うので、こういうゲームを増やしていきたいなと思っています」(前橋育英高・柴野快仁)
リーグ再開初戦となる後半戦の開幕戦は、タイガー軍団の粘り勝ち。6日、高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ 2025 EAST第12節で、柏レイソルU-18(千葉)と前橋育英高(群馬)が激突した一戦は、1-1で迎えた後半41分にプレミア初スタメンのMF田野央哩波(3年)が決勝点を叩き出し、前橋育英がしぶとく勝点3を手繰り寄せている。
試合の構図は立ち上がりから前橋育英がボールを動かし、柏U-18がブロックを敷きながら、速い攻撃を狙う展開。その中で前半7分にはMF沼端隼人(3年)が左へ流し、FW加茂結斗(2年)のシュートはゴール右へ外れるも好トライ。12分にもカウンターから沼端が運び、加茂が枠へ収めたシュートは前橋育英GK南京佑(2年)がキャッチしたものの、まずは柏U-18が沼端-加茂ラインで2つのフィニッシュを創出する。
ただ、「インターハイも負けてしまったことで、このプレミアリーグに懸ける想いは本当に強いです」とキャプテンのMF竹ノ谷優駕(3年)も話す前橋育英は、徐々にボール回しのテンポを上げながら窺う相手ゴール。16分には相手のバックパスをさらったFW山西智也(3年)のシュートはわずかにゴール左へ逸れたが、あわやという場面。18分にも山西、田野と繋ぎ、3列目から上がってきた竹ノ谷のシュートはゴール左へ外れるも、漂う得点の匂い。
すると、スコアが動いたのは28分。前橋育英は左サイドでボールを持ったDF牧野奨(3年)が中央へ送り込み、受けた柴野は思い切りよくミドル。相手に当たったボールはコースが変わり、ゴール右スミへ転がり込む。「だいぶラッキーでしたね」とは本人だが、高いシュート意識が呼び込んだ先制点。アウェイチームが1点のリードを奪った。


1ゴール1アシストの活躍を見せた前橋育英MF柴野快仁
追いかける展開となった柏U-18は、なかなか攻撃のテンポが上がらない状況を見て、40分前後にシステムを4-4-2から3-4-3にシフト。45+2分にはボランチから3バックの中央へスライドしたMF廣岡瑛太(3年)のフィードから、左サイドを抜け出したMF巻渕彪悟(2年)のシュートはクロスバーにヒットするも、1つ際どいシーンを作って、ハーフタイムを迎えることになった。
後半も立ち上がりからやり合う両者。6分は柏U-18。左サイドからDF佐藤桜久(2年)が正確なクロスを送り、枠を捉えた巻渕のヘディングは南がファインセーブで回避。8分は前橋育英。中央右寄りからMF平林尊琉(3年)のアーリークロスに、山西と相手DFが競り合ったボールはクロスバーを直撃する。
10分。ホームチームが追い付く。廣岡が丁寧なフィードを蹴り込み、「相手の背後をみんなが意識し始めてから、自分もそこで収められるようになりましたね」というFW澤井烈士(3年)が力強くキープ。DF三村叶夢(3年)、沼端と回ったボールを、MF徳田波音(3年)が右スミのゴールネットへ鮮やかに突き刺す。1-1。現在は3連敗中。4試合ぶりの勝利を目指す柏U-18が、スコアを振り出しに引き戻す。




「3-4-3にして、真ん中に人を増やしてから、結構良い形でボールが回り始めたかなと思います」と澤井も言及した柏U-18は、ボランチで並んだ沼端と徳田が広範囲に動きつつ、澤井の下に入った巻渕と加茂のシャドーも積極的にボールへ関与。さらに機を見て3バックの右に入ったDF上原伶央(3年)、左を任されたDF吉川晴翔(2年)もドリブルで持ち出すことで、攻撃に厚みを加えていく。
27分には柏U-18にビッグチャンス。ここも吉川が相手エリア内までドライブした流れを起点に、加茂が縦に打ち込んだバスから、左へ持ち出した澤井のシュートは枠を襲うも、ここは南が身体を使ってファインセーブ。絶好の逆転機を生かし切れない。
勝利の主役は「自分がチームを勝たせるぐらいの気持ちでプレーしたいなと思っています」と言い切る、プレミア初スタメンの3年生アタッカー。41分。「外でオープンで持って、内側に入っていくのは自分の得意なプレー」という牧野が中央へ切れ込み、竹ノ谷は右へ展開。DF瀧口眞大(3年)が上げ切ったクロスを、柴野は「左を見たら央哩波がいいところにいたので、どれだけ優しいボールを落としてあげられるかを考えて」ラストパス。田野がボレーで叩いたボールは、ゴール右スミへ吸い込まれていく。
「試合前にも監督から『今日はチャンスだぞ』と言われていたので、点を決め切れて良かったです。メッチャ嬉しかったですね」と笑った背番号22のプレミア初ゴールは、そのまま試合を決める決勝点に。「この開幕が後期の流れを左右するということはみんなで話していて、ちょっと苦しい時間も続いたんですけど、勝ち切れて良かったです」(竹ノ谷)。前橋育英がアウェイで貴重な白星を手繰り寄せる結果となった。


冬夏連覇を目指して挑んだインターハイ。前橋育英は初戦の高川学園高戦も2点を先行される苦しい展開から、何とか3点を奪い切って逆転勝利を収めたものの、続く2回戦の高知中央高戦は、後半アディショナルタイムの2失点でまさかの逆転負け。「リーグ戦も前期は結構良い形で終われましたし、選手権も優勝していたことで、周りから期待されていた中で、少し過信していた部分があったのかなと思います」と竹ノ谷。真夏の福島での戦いは、悔しい結果を突き付けられる。
そうなると思い描くストーリーは、この敗退をポジティブなターニングポイントに変え、チーム力が向上していくそれ。だが、事はそう簡単に運ばない。なかなか反発力は成果に結び付かず、『諫早招待ユースサッカー大会』では大津高に1-6と大敗してしまう。
「あまり夏にうまく行っていない時期があって、大津にも凄い点差で負けたりして、改めて自分たちの弱さは夏休みに知れた中で、プレミアに向けて若干『大丈夫かな?』という不安はありました」と柴野。選手たちは不安半分、楽しみ半分という格好で、プレミアの再開を迎えていたという。
そんな状況の中で、この日の試合のキーマンになったのは、どちらもプレミア初スタメンに抜擢された山西と田野だ。前期のプリンスリーグ関東2部で7得点を積み重ねた山西は、この日もチーム最多の3本のシュートを放ち、ゴールへの意欲を強く打ち出しながら、前線で基点創出にも奔走。山田耕介監督も「山西もいいところはあったじゃないですか。身体能力も高いですし、時間が掛かるかもしれないけれど、徐々に徐々に良くなっていますし、1つ1つ階段を上がっている感じはしますね」と評価を口にする。


果敢なプレーでチームの攻撃を活性化させた前橋育英FW山西智也
さらに、田野は左サイドハーフの位置で攻撃の組み立てにも関わりつつ、エリア周辺では常にシュートの意識が。「監督にも言われた通り、今がチャンスだと思っているので、今日は点を獲ってアピールしないとダメだなと思っていました」という想定通りに、ゴールという形で勝利に貢献したことが、今後への大きなアピールになったことはあえて言うまでもないだろう。
「監督も自分たちも期待していた中で、2人が自分たちでチャンスを掴み取って、このプレミアでも自分の力を発揮してくれたことは、これからあと10試合のリーグ戦に向けても、選手権に向けてもプラスになってきますし、まだプリンスからも良い選手が出てくると思うので、自分もそこに負けないように努力していきたいと思っています」(竹ノ谷)
ニューカマーの躍動がもたらすのは、既存戦力に突き付ける危機感と、個々のさらなる成長を煽る向上心。明確に目指すのはプレミアリーグと高校選手権の二冠達成。悩める真夏の時間を過ごした上州のタイガー軍団が、最高に近い形で再始動を切っている。


(取材・文 土屋雅史)
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