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長期離脱から“本格復帰”したU-22日本代表SB松本遥翔(鹿島)、ファーストプレーで示した覚悟、積極クロスで先制点演出

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DF松本遥翔

[9.3 U23アジア杯予選GL第1戦 日本 3-0 アフガニスタン ヤンゴン]

 まるで水を得た魚のようだった。

 大怪我から帰ってきた男が右サイドで躍動。右SBで先発出場を飾ったU-22日本代表DF松本遥翔(鹿島)は何度もタッチライン際を上下動し、攻守においてアグレッシブにプレーした。

 AFC U23アジアカップ予選の初戦。大学生7人がスタメンに名を連ね、経験値が乏しいなかでアフガニスタンを迎え撃った。そうした状況を打破し、立ち上がりから仕掛けていく流れを作ったのも松本だった。

 前半のキックオフ直後。CKフラッグを目掛けて蹴られたボールに対し、松本は全力疾走してボールに飛び込んだ。このプレーで右CKを獲得。直後にCB永野修都があわやゴールという場面が生まれた。「越智(滋之)コーチが落とし込んでくれた」(大岩剛監督)というサインプレーから仲間に勢いをもたらし、以降は積極的な仕掛けで何度も相手ゴール前に迫った。前半8分には自らの仕掛けからチャンスを作り、右クロスからFW新川志音のゴールをお膳立て。相手DFのクリアミスがあったとはいえ、積極的に高い位置を取ったからこそ生まれた先制点だった。本人も手応えを感じている。

「自分の良さを生かすことが大事だと思ったし、最初からクロスを上げることができて、結果的に何回もチャンスを作れた点は個人的にも良かった。チームとしてもゴールに繋げられたので、プラスだったと思う」

 その一方で体力面では課題を残した。「全然ダメ。SBであの時間で攣っているようでは」と指揮官からも愛ある苦言を呈されたように、ゲーム体力の問題で後半23分に交代。足が痙攣したのは前回のウズベキスタン遠征に続いての出来事で、本人も悔しさを滲ませる。

「前回も同じことがあった。自分としても変えていかないといけないと想い、今予選はリベンジという気持ちで試合に臨んだし、フル出場したい気持ちはあったけど、また同じ結果になってしまって…。やることはやったと自分の中で思っているけど、まだまだだった。もっと自分にベクトルを向けないといけない」

 もちろん、この2年弱はフル稼働できておらず、実戦感覚が鈍っている側面もある。2023年秋にU-17ワールドカップを経験した松本だが、同年12月の高円宮杯プレミアリーグプレーオフ1回戦の瀬戸内高戦で膝の前十字靭帯損傷の大怪我を負った。全治8か月と診断されたが、復帰直後の24年8月に再離脱。再手術を余儀なくされ、1年半の時を経て今季のスタートから再スタートを切った。さらに昇格1年目とあってトップチームで出場機会がほとんど得られていない。難しい状況下でコンディション維持に努めてきたが、松本はそれを言い訳にするつもりはない。

「自分的にもメンタルにきて、去年1年間はほぼサッカーができない難しいシーズンだった。でも、その経験があるから今があると自分では言いたい。そう思っているので、取り返すためには成長するしかない。剛さんに呼んでもらえたけど、満足することなくやっていきたいと思う」

 自分の感覚を呼び覚ましながら、貪欲に上を目指す松本の戦いはまだ始まったばかり。残された2試合で”ウズベク遠征”のリベンジを果たすためにも、90分間戦える男を証明するつもりだ。

(取材・文 松尾祐希)

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松尾祐希
Text by 松尾祐希

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