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U-21リーグの創設構想は最終段階へ…「十数クラブ」が参加前向き、Jや大学からの選抜参加案も

かつてルヴァン杯にあったU-21選手の先発義務ルールは廃止されている

 日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)は4日、東京都内のJリーグオフィスでメディアブリーフィングを開き、創設に向けて検討が進んでいるU-21リーグについて「参加を積極的に検討しているクラブが十数クラブある」と明かした。すでに議論は最終段階に入っている模様で、5〜6月ごろをめどに創設するか否かを確定させ、最速でシーズン移行が行われる2026-27シーズンからの発足を目指すという。

 Jリーグは2023年ごろから、高校卒業後のポストユース世代の強化を目的としたU-21リーグの創設を検討してきた。樋口順也執行役員はこの日、次のように背景を説明した。

「課題感としては日本は18歳まではJユース、街クラブ、高校サッカーのようにトップ水準で年間十数試合、20試合ほどやっていく環境がある。ただ19歳になった瞬間、プロでやるか大学かしか選択肢がなくなる状況にある。プロになればいきなり18歳、19歳の選手がJ1トップで20試合に出られるかというとなかなか難しく、出場機会が失われている。選手としてすごく成長していく19〜21歳で、90分間フル出場の機会が年間数試合しかないという選手が多く出ていることに非常に大きな課題感がある」

 近年ではDFチェイス・アンリ(尚志高→シュツットガルト)、FW福田師王(神村学園高→ボルシアMG)、FW佐藤恵允(明治大→ブレーメン→FC東京)、FW塩貝健人(慶應義塾大→NECナイメヘン)、DF吉永夢希(神村学園高→ゲンク)、FW高岡伶颯(日章学園高→サウサンプトン)ら高校・大学からJクラブを経由せず、欧州クラブを選ぶ選手も増加。彼らの中に「Jクラブでは出場機会が得られない」という認識があったことも現状の課題感につながっているという。

 樋口執行委員は「高校年代の方々が自分がこれからJリーグに行くか、海外に行くかで悩んだ時、海外はセカンドチームがあって、下部リーグの出場機会があるので、海外に行ったほうが出場機会があるということで選択が増えている傾向にある。このまま行けばより増えていく。そこでJリーグとしてはポストユース世代の方々に年間を通して戦う機会を作っていきたい」と述べた。

 すでに「十数クラブ」が参加に向けて本格的な検討に入っており、現状のフェーズは「将来的な自クラブの強化、移籍金のビジネスも含めて、中長期的にどういうふうにビジネスが成り立っていくかというのを考えている」(樋口執行役員)というもの。もっとも、ここから白紙に戻る可能性も残されており、「5クラブしかいないから成り立たないという結論になるかもしれない」ということも明かされた。

 Jリーグでは2021年、ポストユース世代の育成・強化を目的にエリートリーグを立ち上げていたが、たった2年間で廃止。出場可能選手のレギュレーションが緩かったため、年長選手のコンディション調整に使うクラブもあれば、ユース選手や練習生のテストに使うクラブもあり、適切な強度での試合が行われないという課題があった。

 新リーグではエリートリーグの反省を活かし、オーバーエイジ選手の数を細かく設定し、高校生の起用も高円宮杯プレミアリーグやプリンスリーグに出場している主力に限る規定を設ける方針。また競争力の激しい真剣勝負の場にするため、「優勝すると何かがかかっている環境は大事なので、将来的には上位のクラブはJ3に参加するなどできないかであったりも考えており、マーケティングの計画も練ってしっかり人に見てもらえるようにということも検討している」という。

 またU-21リーグの創設により、各クラブがこれまで以上に若手選手の確保に動き、結果的に出場機会の得られない選手が出てくることも懸念されている。この点はJリーグ側もリスクを認識しており、16〜20年にFC東京、G大阪、C大阪のU-23チームがJ3リーグに参加(FC東京は19年まで)していた際のデータを検証し、慎重に議論を進めてきたという。

 樋口執行委員は「その間にそのクラブがどういうふうに選手を獲得し、その選手たちが将来的にどうなっていたかを全員分追いかけたが、そこに参加していた選手はそうじゃないクラブの選手に比べて現役を続けている傾向が長かったり、上でプレーする期間が長かったというファクトがある」と強調した。

 なお、U-21リーグの創設が実現した場合、参加するのは単独のJクラブのみの予定。もっとも樋口執行委員は「議論する中では『単独クラブでは参加できないが、選抜であれば参加したい』というクラブもあり、また大学の2年生以下の選抜チームが参加するというアイデアも出ているので、やるかやらないか決まった後の発展的な取り組みについては議論の余地があると思う」と門戸を開く可能性も示唆した。

(取材・文 竹内達也)

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竹内達也
Text by 竹内達也

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