beacon

[MOM1052]U-20全日本選抜FW小湊絆(法政大2年)_恩師の誘いもあった中で決断したFC東京入り

ポスト
Xに投稿
Facebookでシェア
Facebookでシェア
URLをコピー
URLをコピー
URLをコピーしました

決勝PKを決めたFW小湊絆

[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[2.28 デンチャレグループA第3節 U-20 2-1 東海 裾野C]

 あっという間の逆転劇だった。1失点で耐えていたU-20全日本大学選抜は、後半29分にDF池田春汰(筑波大1年=横浜FMユース)がMF松村晃助(法政大2年=横浜FMユース/横浜FM内定)との鮮やかなワンツーから同点弾を奪うと、直後の同30分、エリア内でFW小湊絆(法政大2年=青森山田高/FC東京内定)が倒されてPKを獲得した。

 キッカーはもちろん小湊。小刻みにステップを踏むと、GKが倒れた方向とは逆の右に流し込んで、逆転弾を決めた。高校時代は蹴る場所を決めて蹴っていたというPKだが、大学ではGKの動きをみながら蹴るように変えた。「大学に入ってからは一本もPKを外していない。相手のGKとの駆け引きも楽しめました」。この日も自信満々に蹴り込んでいた。

「欲を言えばもう少しインパクトのある結果を残さないといけない。それに振る舞いの部分、(FC東京入りが)決まっているからと言ってハードワークしなくなったら自分じゃないと思う。そこは天狗にならずに絶対に変えないでやっていきたいところです」

 大学3年生への進級を前にした小湊だが、今年1月に早くも卒業後のFC東京入団内定を発表した。「同年代の選手たちがJ1の舞台で活躍しているのをみて、焦りがないと言えば嘘になる。チャンスを与えてくれるというようなお話だったので、そこのチャンスを自ら手放すことをしたくなかった」。決断の理由を明かした。

「入る前からある程度プロの舞台を経験しておくことで、チームメイトとの関係性もそうですし、入団した時にゼロじゃなくて、プラス1、プラス2から始められると思った。強化部の方とも話し合って、そこが一番の決め手になりました」

 青森山田高では高校2年生の時にシーズン3冠を経験。3年生では名門の10番をつけてプレーし、鳴り物入りで大学サッカー界にやってきた。そしてルーキーイヤーから結果を残し、総理大臣杯では2度のハットトリックを含む7ゴールを記録。同世代のFW塩貝健人(慶應義塾大→NEC)、FW内野航太郎(筑波大)とともに、強豪Jクラブも早くから熱視線を注いできた。

 もっとも熱心だったのが、FC東京と高校時代に指導を受けた黒田剛監督が率いるFC町田ゼルビアだった。小湊は昨年から両クラブのキャンプに参加。ただ町田は沖縄キャンプの初日に負傷して離脱。そのあともコンディションやスケジュールに都合がつかず、なかなか帯同できずにいた。一方でFC東京は昨年の3月と7月にも練習に参加。ピーター・クラモフスキー監督(当時)からも高評価を受け、自身も好感触を得ることができていたという。

「実際に正式に条件提示を頂いたのは大学のリーグが終わってからでしたが、町田もオファーを出してくれて、すごく迷いました。黒田さんとは直接話はしなかったけど、上田さん(元青森山田コーチ、現町田コーチ)や正木さん(青森山田監督)と連絡を取りながら、どっちの方が自分に合っているか、そして最終的には自分がプレーしている姿を想像できる方に決めました」

 町田の黒田監督には、FC東京入りを決めたあとに電話連絡を入れた。本来であれば直接成長を見てもらってから決めたかったが、状況をすべて受け入れてくれたことへの感謝を伝えた。「教え子としては応援しているよ」。黒田監督らしく“愛情”を込めて返してくれた言葉が、何よりも嬉しかった。

 大学サッカー部を退部して早期にJリーグ入りをする選手も増えてきている昨今、小湊にも今後、いろいろな可能性が出てきそうだ。ただ今年に関しては法政大を1部に復帰させる使命感を強くしている。「前例がないわけではないけど、まずは大学の活動が優先になると思う。その中でJやルヴァンに関われるなら送り出してくれるという話は大学ともしています」。

 昨年は夏場に原因不明の体調不良に見舞われた。「病院でできる検査を全部やってもらったけど、何も原因が見当たらなかった。まっすぐも歩けない、脳が揺れてという感じだった」と奇病に悩まされたが、今はその不安もなくなっている。「1年生の時にあんなに試合に出してもらいながら、2部に落としてしまった責任を、自分も松村(晃助)も感じている。今年は何としても1部に戻して、法政に貢献したいという気持ちでいます」。注目を集めることについて「楽しみ」と不敵に笑みを浮かべる強心臓ストライカーは、爆発的な1年にすることを誓う。

(取材・文 児玉幸洋)

●第39回デンソーカップチャレンジ特集
児玉幸洋
Text by 児玉幸洋

「ゲキサカ」ショート動画

TOP