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[MOM890]法政大FW小湊絆(1年)_「自分がエースだという気持ちで」難敵相手に初戦からハットトリック

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ハットトリックを決めたFW小湊絆

[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[9.1 総理大臣杯1回戦 法政大4-2関西大 松島フットボールセンター]

 試合の流れを決めた。法政大(関東6)は前半4分にDF今野息吹(4年=三菱養和SCユース/G大阪内定)のロングスローのこぼれ球をFW小湊絆(1年=青森山田高)が押し込んであっという間に先制。さらに同12分には小湊が相手GKのミスを突いてボールを奪うと、左に流れながら左足で蹴り込んで、リードを2点に広げる。

 前半終了間際にも小湊は中央からドリブルで持ち込んで左足を振りぬく。これは惜しくも決めることが出来なかったが、後半8分にMF松村晃助(1年=横浜FMユース)が獲得したPKを決めて、ハットトリックを完成させた。

 終盤に2点を返されたものの、難敵・関西大を破っての初戦突破。ただ小湊は「ゴールでチームが勝ったところでは評価はありますが、もう少し楽に勝てた。自分次第でボールを保持できる展開だったりとか、試合の進め方は自分に原因があると思っている。ゴールは評価できますけど、それ以外は全然納得いっていません」と結果に満足することはなかった。

 昨年度の青森山田高で10番を背負った小湊は、鳴り物入りで法政大に進学。高校選抜の欧州遠征に参加していたこともあって大学リーグ戦デビューは5月までずれ込んだが、デビュー戦弾を含むここまで4ゴールを記録。そして総理大臣杯予選のアミノバイタルカップは準々決勝の早稲田大戦で右手首を骨折するアクシデントに見舞われたが、チーム最多の3得点を記録して、本戦へと導いた。

 高校時代にあった「大事な1本をことごとく決められなかった」という反省が、今を過ごす糧になっているという。「そこを自分自身の持ち味にしたいと思って大学サッカーを選んだ。試合を決められる選手がチームにいるだけで全然違うと思うので、自分がそういう立場になれるように、自分がこのチームのエースだという気持ちでやっていきたいと思っています」。

 ただまだまだ足りない。大学に入学してわずか半年だが、この春はチームメイトの松村がU-20ワールドカップに出場。他校のFWで筑波大の内野航太郎や、中学時代のチームメイトで慶応義塾大の塩貝健人はU-19日本代表に選ばれて、フランス遠征を経験した。

 小湊もU-19全日本大学選抜の一員としてイタリア遠征を経験。出場したアンジェロ・ドッセーナ国際ユース大会で得点王を獲得する活躍をみせたが、遅れを取っている自覚がある。

 だからこそ、今大会は評価を高めるチャンスだと強い意気込みを持って臨んでいる。「自分たちの年代は試合に出る選手が多くいる中で、頭一つ二つ抜け出すには、結果を残し続けることが大事。自分は世代別代表に選ばれていないし、ほかに比べたら評価が低い。こんなところで満足せずにもっと上を目指していきたいです」。

 名前を刻み続けることで、存在感を示していく。目標の「得点王」に向け、最高のスタートを切った。 

(取材・文 児玉幸洋)
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児玉幸洋
Text by 児玉幸洋

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