[サニックス杯]チーム6年ぶりのプレミア復帰に腕を撫して開幕を待つ必殺仕事人。福岡U-18DF小浦拓実はより大きな歓喜を手繰り寄せるために左足を振るい続ける
[3.13 サニックス杯 福岡U-18 7-0 佐賀東高 グローバルアリーナ]
地道に努力を続けて磨いてきた左足には、誰にも譲れない自信を積み重ねてきた。アカデミーラストイヤーで手繰り寄せたプレミアリーグという特別な舞台で、暴れ回る準備なんてもう十分すぎるほどに整っている。
「自分はオーバーラップだったり、クサビのパスには自信を持ってやれていますし、左利きなのでピンポイントクロスは極めていきたいです。でも、まだ守備は得意ではないので、そこもしっかり成長させつつ、他の選手にないようなものを武器にできるようにしていきたいと思います」。
6年ぶりにプレミアへと帰ってきた、アビスパ福岡U-18(福岡)を左サイドから支える必殺仕事人。DF小浦拓実(2年=アビスパ福岡U-15出身)は正確な左足を駆使して、チームへ今まで以上に大きな歓喜をもたらしていく。
「あまりシュートを打たないので、逆に力が抜けて良い感じに行ったかなと思いますね。でも、自分でもビックリしています(笑)」。本人も笑いながら振り返るようなゴラッソだった。「サニックス杯国際ユースサッカー大会2025」(福岡)2日目。佐賀東高(佐賀)と対峙した一戦は、序盤からやや福岡U-18が押し気味に試合を進める中で、前半17分にそのチャンスは到来する。
GK田中利玖(1年)のビルドアップを起点に、MF北薗大海(1年)とFW前田陽輝(1年)のパス交換で右サイドへ侵入し、MF中村環太(2年)が中央へ折り返すと、オーバーラップしてきた小浦は左足一閃。ボールは右隅のゴールネットへ鮮やかに突き刺さる。
ゴール自体の美しさには自身もやや驚いたようだが、そこには今季に滲ませている意識が現れていた。「去年の自分は後ろにいるタイプで、前を生かすような感じだったんですけど、今年は前に行くことも求められているので、そこも意識しながらやった結果として、得点できたのは良かったかなと思います」。
さらに後半32分にはアシストで魅せる。相手のビルドアップを前からハメこみ、高い位置でインターセプトした小浦は中央を窺うと、完璧なクロスをファーサイドへ。前田のヘディングがゴールネットを確実に揺らす。
「アレも結構狙った通りに上げられたので良かったですね。ああいうアシストは求められていると思いますし、自分がもっと上に行くためにも数字という結果は絶対必要になると思うので、そこに今年はよりこだわっていきたいなと思います」。26番のレフティが1ゴール1アシストを挙げた福岡U-18は、結果的に7-0で快勝。攻撃力の高さを存分に見せ付ける格好となった。


昨年の8月には広島で行われた『HiFA 平和祈念 2024 Balcom BMW CUP 広島国際ユースサッカー』に臨むU-17日本代表に招集され、約2年ぶりに年代別代表を経験。2試合にスタメン出場を果たして大会優勝にも貢献する中で、同世代の俊英たちと貴重な時間を過ごしてきた。
「バルコムカップでは海外のチームやサンフレッチェ広島ユースのような強いチームがいて、プリンスリーグでやっていた時より強度がグッと上がって、『自分はまだまだだな』と痛感するところもありましたし、『もっと自分も成長していかないといけないな』と感じられる時間でした」。
もともとは中学2年時に『エリートプログラムU-14トレーニングキャンプ』にも参加。3年時にもU-15日本代表でスペイン遠征も経験している小浦には、そのころから存在を意識してきた選手たちがいるという。
「U-15のスペイン遠征の時から横浜FCの佃颯太と愛媛の島佑成は意識しています。自分がエリートに選ばれたときに、島は一番衝撃を受けた選手で、他にも神代慶人(ロアッソ熊本)とも関わりがあるんですけど、彼らは上のレベルに行っているので、そこは負けられないなと思いますし、ライバルというよりは彼らを超えていきたいなと思います」。
今回のサニックス杯と同時期に開催されている『第7回 J-VILLAGE CUP U-18』(Jヴィレッジ)にはU-18日本代表が参戦しているが、もちろん小浦もその選出は目指していただけに、「それに選ばれていない事実もありますし、自分はそこに入るためにサッカーをしているので、そういうところは意識してやっていきたいです」ときっぱり。まずは目の前の課題に取り組みつつ、代表復帰に向けてもアピールを続けていく。
この冬にはトップチームの宮崎キャンプにも1週間ほど帯同。「去年まではあまり左利きのサイドバックがいなかったんですけど、今年は志知(孝明)選手が来たので、そこで見て学ぶことは多かったと思います。サイドバックだと志知選手と前嶋(洋太)選手は、よく周りの状況を見て判断している選手だなと思いました」とハイレベルな環境の中で揉まれ、小さくない刺激を得て帰ってきた。
同じサイドバックの2人から学ぶことも多かったようだが、中でも特大のインパクトを受けたのは、今季から加入していきなり攻撃の中心を担っている、プレーメイカーだったようだ。
「自分が上手いなと思ったのは見木(友哉)選手で、全然ボールを奪われなかったですし、『いつ見てんの……?』みたいな感じで、凄いところにパスを通したりしていたので、そういうところが凄いなと思いました」。同じピッチで味わったプロの基準をU-18に還元することも、小浦に課せられた大事なミッションだ。
2025年には躍動するための条件が揃っている。アカデミーラストイヤー。久々に戦うプレミアの舞台。そして、プロの扉を開けられるか、開けられないかのジャッジを下される1年。もう、とにかくやるしかない。
「自分はアビスパに入って6年目なので、自分のトップ昇格はもちろん目標ですけど、アビスパ自体に恩返ししたいとも思っているので、まずプレミア残留は達成したいです。そこからどんどん上位にも入っていきたいですし、個人としては7アシスト以上を狙いたいですね。結果にはこだわっていきたいと思います」。
どのピッチに立っていても、求められているものにプラスアルファをもたらせる高性能レフティ。チームとしても、個人としても、より高いステージを奪い取るため、小浦拓実は自分の可能性を強く信じて、これからも左足を振るい続ける。


(取材・文 土屋雅史)
地道に努力を続けて磨いてきた左足には、誰にも譲れない自信を積み重ねてきた。アカデミーラストイヤーで手繰り寄せたプレミアリーグという特別な舞台で、暴れ回る準備なんてもう十分すぎるほどに整っている。
「自分はオーバーラップだったり、クサビのパスには自信を持ってやれていますし、左利きなのでピンポイントクロスは極めていきたいです。でも、まだ守備は得意ではないので、そこもしっかり成長させつつ、他の選手にないようなものを武器にできるようにしていきたいと思います」。
6年ぶりにプレミアへと帰ってきた、アビスパ福岡U-18(福岡)を左サイドから支える必殺仕事人。DF小浦拓実(2年=アビスパ福岡U-15出身)は正確な左足を駆使して、チームへ今まで以上に大きな歓喜をもたらしていく。
「あまりシュートを打たないので、逆に力が抜けて良い感じに行ったかなと思いますね。でも、自分でもビックリしています(笑)」。本人も笑いながら振り返るようなゴラッソだった。「サニックス杯国際ユースサッカー大会2025」(福岡)2日目。佐賀東高(佐賀)と対峙した一戦は、序盤からやや福岡U-18が押し気味に試合を進める中で、前半17分にそのチャンスは到来する。
GK田中利玖(1年)のビルドアップを起点に、MF北薗大海(1年)とFW前田陽輝(1年)のパス交換で右サイドへ侵入し、MF中村環太(2年)が中央へ折り返すと、オーバーラップしてきた小浦は左足一閃。ボールは右隅のゴールネットへ鮮やかに突き刺さる。
ゴール自体の美しさには自身もやや驚いたようだが、そこには今季に滲ませている意識が現れていた。「去年の自分は後ろにいるタイプで、前を生かすような感じだったんですけど、今年は前に行くことも求められているので、そこも意識しながらやった結果として、得点できたのは良かったかなと思います」。
さらに後半32分にはアシストで魅せる。相手のビルドアップを前からハメこみ、高い位置でインターセプトした小浦は中央を窺うと、完璧なクロスをファーサイドへ。前田のヘディングがゴールネットを確実に揺らす。
「アレも結構狙った通りに上げられたので良かったですね。ああいうアシストは求められていると思いますし、自分がもっと上に行くためにも数字という結果は絶対必要になると思うので、そこに今年はよりこだわっていきたいなと思います」。26番のレフティが1ゴール1アシストを挙げた福岡U-18は、結果的に7-0で快勝。攻撃力の高さを存分に見せ付ける格好となった。


ゴラッソを叩き込んでチームメイトの祝福を受ける小浦
昨年の8月には広島で行われた『HiFA 平和祈念 2024 Balcom BMW CUP 広島国際ユースサッカー』に臨むU-17日本代表に招集され、約2年ぶりに年代別代表を経験。2試合にスタメン出場を果たして大会優勝にも貢献する中で、同世代の俊英たちと貴重な時間を過ごしてきた。
「バルコムカップでは海外のチームやサンフレッチェ広島ユースのような強いチームがいて、プリンスリーグでやっていた時より強度がグッと上がって、『自分はまだまだだな』と痛感するところもありましたし、『もっと自分も成長していかないといけないな』と感じられる時間でした」。
もともとは中学2年時に『エリートプログラムU-14トレーニングキャンプ』にも参加。3年時にもU-15日本代表でスペイン遠征も経験している小浦には、そのころから存在を意識してきた選手たちがいるという。
「U-15のスペイン遠征の時から横浜FCの佃颯太と愛媛の島佑成は意識しています。自分がエリートに選ばれたときに、島は一番衝撃を受けた選手で、他にも神代慶人(ロアッソ熊本)とも関わりがあるんですけど、彼らは上のレベルに行っているので、そこは負けられないなと思いますし、ライバルというよりは彼らを超えていきたいなと思います」。
今回のサニックス杯と同時期に開催されている『第7回 J-VILLAGE CUP U-18』(Jヴィレッジ)にはU-18日本代表が参戦しているが、もちろん小浦もその選出は目指していただけに、「それに選ばれていない事実もありますし、自分はそこに入るためにサッカーをしているので、そういうところは意識してやっていきたいです」ときっぱり。まずは目の前の課題に取り組みつつ、代表復帰に向けてもアピールを続けていく。
この冬にはトップチームの宮崎キャンプにも1週間ほど帯同。「去年まではあまり左利きのサイドバックがいなかったんですけど、今年は志知(孝明)選手が来たので、そこで見て学ぶことは多かったと思います。サイドバックだと志知選手と前嶋(洋太)選手は、よく周りの状況を見て判断している選手だなと思いました」とハイレベルな環境の中で揉まれ、小さくない刺激を得て帰ってきた。
同じサイドバックの2人から学ぶことも多かったようだが、中でも特大のインパクトを受けたのは、今季から加入していきなり攻撃の中心を担っている、プレーメイカーだったようだ。
「自分が上手いなと思ったのは見木(友哉)選手で、全然ボールを奪われなかったですし、『いつ見てんの……?』みたいな感じで、凄いところにパスを通したりしていたので、そういうところが凄いなと思いました」。同じピッチで味わったプロの基準をU-18に還元することも、小浦に課せられた大事なミッションだ。
2025年には躍動するための条件が揃っている。アカデミーラストイヤー。久々に戦うプレミアの舞台。そして、プロの扉を開けられるか、開けられないかのジャッジを下される1年。もう、とにかくやるしかない。
「自分はアビスパに入って6年目なので、自分のトップ昇格はもちろん目標ですけど、アビスパ自体に恩返ししたいとも思っているので、まずプレミア残留は達成したいです。そこからどんどん上位にも入っていきたいですし、個人としては7アシスト以上を狙いたいですね。結果にはこだわっていきたいと思います」。
どのピッチに立っていても、求められているものにプラスアルファをもたらせる高性能レフティ。チームとしても、個人としても、より高いステージを奪い取るため、小浦拓実は自分の可能性を強く信じて、これからも左足を振るい続ける。


(取材・文 土屋雅史)


