beacon

西原が5度目の全国切符を手に!! PK戦の末に那覇西を破って2連覇達成

このエントリーをはてなブックマークに追加

西原高が2連覇達成

[11.5 選手権沖縄県予選決勝 那覇西高 2-2(PK5-6) 西原高 タピック県総ひやごんスタジアム]

 第101回全国高校選手権沖縄県大会予選は5日、タピック県総ひやごんスタジアムで決勝戦が行われ、西原高がPK戦の末に那覇西高を破って大会2連覇を達成。5度目の全国切符を手にした。
 
 まだまだ夏を感じさせる日差しと蒸し暑さ、そして強風をもろに感じるピッチ上での一戦だった。試合前、西原の玉城真哉監督は「前半風上に立てばそこで勝負を決めるぐらいの勢いで。でも、どう考えても(那覇西と)競る。ならば頭を風下で、0-1でもOKとして後半勝負をかけたほうが分があるのでは」と睨んでいたが、そのプランニングは相手も同様で、コイントスに勝った那覇西が風下に立った。それだけ風の力が試合の鍵をにぎると踏んでいた両雄は午後1時5分、熱戦の火蓋が切られる。

 開始直後、ロングボールで相手エンドに進入する西原は、ビルドアップの起点となる那覇西のGKとCBに対してプレッシャーをかけてミスを誘い、ロングスローも駆使しながらセットプレーで好機演出する中、前半8分。敵陣右サイドでのFKにDF平良琉葵がインスイングで蹴ったボールはボックス内でワンバウンド。それにいち早く反応した2年生FW比嘉琥生が頭でゴールに押し込んで西原が幸先よく先制。比嘉は初戦から5戦連発、8ゴール目を決めた。

 準決勝の名護高戦に続き、開始序盤で失点した那覇西。追いかける展開も、西原の前線からのプレスにDFラインが自陣に押し戻され、ビルドアップを仕掛けるが前線にはなかなか届かず。なおかつ向かい風の影響もそれに拍車をかけた。それでも2年生で9番を背負うFW頭山亮太の高いキープ力で2列目の動きを活発化させ、サイドからジリジリと迫る。ただ那覇西の十八番を知る西原も主将のDF上田ゆんを中心としたDF陣が体を張り、ゴールを割る寸前でかき出した。

 序盤でスコアが動くもその後は膠着状態に。「ボールを失っても切り替えてチャレンジしよう」(玉城監督)と、即時奪回で相手の流れを作らせない西原が縦に速いサッカーを展開するがなかなか追加点が奪えず。受け身の那覇西は我慢強く守る時間を強いられる中、何とか最小失点で前半を折り返し、後半への望みをつなげた。

 そして反撃体制の那覇西が前がかりとなる後半、「暴れよう」とハーフタイムで一致団結。お返しとばかりに敵陣への進入回数を増やす。対して西原は、前がかりとなる相手の背後を突き、クロスから追加点を狙う形をつくる。

 一進一退が繰り広げられる中、那覇西はロングカウンターを仕掛け、FW國吉理斗がドリブルで中央を突破。右で追走するFW山川輝へと渡り、ダイレクトでグラウンダーのクロスを供給すると、ゴール前で頭山が合わせる。しかしクロスバーを叩き、天を仰ぐ。さらに、MF外間達也のミドルシュートを西原GK安里大司が前へ弾き、そのこぼれ球に頭山が詰めたがわずかにゴール左枠を逸れる。

「今大会から9番を背負わせてもらって、やっぱりストライカーとしての自覚があったし責任も感じていた。だから自分が準々決勝以降ゴールを取れてなくて、チームは勝っているのに自分が絡めていないのが本当に悔しかった。決勝では絶対に決めてやる」という思いだったという頭山は、再三の好機逸も動揺すること無く、自らの足でチャンスを切り拓く。

 後半32分、西原のDFラインと駆け引きする頭山は、相手の浮き球のバックパスにいち早く反応。奪取しショートカウンター仕掛けると、間合いを詰めるGKの脇を抜いて右のネットを揺らし、試合を振り出しとした。

 その後も猛攻撃を展開する那覇西。今大会初出場で秘密兵器として残していたFW仲里広夢が左サイドで起点となり、西原ゴールに襲いかかるが、後半だけでシュート15本の雨を浴びながらも2年生守護神の安里がシュートコースを限定させる動きを見せ、ゴールを割らせない。互いが追求する1点の攻防は後半40分でも決着つかなかった。

 前後半10分ずつの延長戦に突入。那覇西のコントロールタワーである外間、そして西原の精神的支柱の上田と、両チームの主将が足をつるほどの死闘が繰り広げられる中、延長前半9分。西原は遠目からのFKでゴール前へ入れると、那覇西が跳ね返したボールをボックス内中央で拾った西原MF兼島遼がすかさずシュート。ボールはGK新垣碧斗の手をかすめながらゴールへと吸い込まれ、ついに西原が勝ち越しに成功した。

 ところが延長後半6分、今度は那覇西が反撃。右から仲里が高く上げたボールを、ゴール前中央での競り合いに制したMF高嶺丞がGKの頭上を超えるヘディングシュートで再び同点とする。この大一番にかける両者の諦めない思いは延長でも決して途切れず、2-2の同点で終了。沖縄県代表を決める勝負はPK戦へと委ねられた。

 2人目まで全員が成功し、迎えた那覇西の4人目が枠を捉えきれず。直後、那覇西GK新垣が「絶対に止めるから」と失敗した選手に声をかけると、西原4人目を止めて有言実行。勝敗の行方はまったくわからないまま、5人目が終わり4-4でサドンデスに突入する。

 7人目、「最初は左に飛ぶ気満々でいたが、相手の助走を見て判断を変えた」と、西原GK安里が右下へ飛びセーブ。その余韻が収まらない中、2年生のMF齋藤博斗が確実に決め、ついに決着。那覇西の県三冠達成を阻み、西原が全国への扉を開けた。

 試合を終え、「体を投げ出し、最後まで勝ちたい気持ちを途切れさせなかった」ことが勝因だと語る玉城監督は、決勝まで3試合連続で延長を制してきた選手たちを称えた。南風原、那覇西、そして西原で栄冠を手にし、今回7度目の全国に立つ指揮官は、「全国が相手だと、今まで磨いてきたハイプレスをかわしてくる。よりギアを上げて臨みたい」と奮闘を期す。

 そして「去年全国に連れて行ってくれた先輩たちが流した悔し涙が自分たちの原動力だった」と話す主将の上田は、0-1で桐光学園高戦(神奈川)に敗れた第100回大会での借りと、県勢最高のベスト8の壁を破るべく、一戦必勝で戦い抜くと誓った。

(取材・文 仲本兼進)
▼関連リンク
●【特設】高校選手権2022

TOP