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[MOM4062]那覇西FW石川桔平(3年)_「はじかさー」のドリブラーは、オールマイティーな“操舵手”へ

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那覇西FW石川桔平

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ supported by sfida]
[10.30 高校選手権沖縄県予選準決勝 那覇西高 7-3 名護高 タピック県総ひやごんスタジアム]

 インターハイの頃ぐらいまでは「はじかさー(恥ずかしがり屋)」な雰囲気もあったが、アンカーを任されたことで増した責任感がプライドを植え付けたのか、堂々とした雰囲気が漂っていた。

 そもそもFW石川桔平=ドリブラーという印象は確固たるもので、那覇西高の強みであるサイド攻撃のピースとして彼の緩急ある突破は武器であることは間違いない。ただ、そのワイドストライカーには國吉理斗や山川輝新城旭など実力拮抗のメンバーが揃う。今年の県総体決勝の名護高戦では新城と山川が先発に立ち、石川に与えられた出場時間はわずか5分程度だった。ボールに触れたがる性格の彼が味わったもどかしさ。ベンチから望む仲間たちの姿をどう見ていたのか。だからこそ、アンカーへのコンバートを受け入れた。

 初戦敗退で涙を飲んだ全国総体を経て、「声でリーダーシップが図れて、ゲームが作れる守備の要の必要性を感じた」と悩む平安山良太監督は、元来アンカーの赤嶺琉星にセンターバックでのプレーを打診。ビルドアップ時、センターバックの間に立って起点となる場面も作っていた赤嶺の優位性はポジションが変わっても維持できると判断し、赤嶺の考える力と安定感はセンターバックでも生かされている。そして、空いたアンカーに入れる選手を見定めている頃、指揮官が石川に着目したのはボールに触れたい性格の部分だった。

「サイドでプレーしているときも基本的に触りたがりだから、真ん中に行ってボールに触って散らしてゲームを作ることが多かった。だから、どこが良いポジションなのかというところを自分で判断できる。自ずと彼にボールが集まって、斜めのパスでサイド攻撃を促すキッカケが作れるので適任だと思いました」(平安山監督)

 指揮官にコンバートを勧められたとき、石川の心はスッキリしていた。高校では生粋のドリブラーも小中時代はボランチでのプレー経験があり、なので抵抗感もさほど無く。一瞬でスイッチを切り替えてアンカーとしての役割を模索し、イメージを高めていった。「サイドでプレーしていたときよりも的確な状況判断が求められる。そこが楽しいです」と、前向きにトライする姿勢はそのポジションでの適応スピードを上げる。そして「ユーチューブでイニエスタ選手の動画を参考にしている」彼は、ボールを捌いてリズムを作ることだけに着目せず、ドリブラーとして培われた相手を剥がす技術をアンカーでも応用。30日の選手権県大会準決勝の名護戦では、ボールを奪いにかかる相手選手をダブルタッチでかわし、すかさず得意のミドルシュートで決勝点を生み出した。

 中学卒業後、育った宮古島を離れて単身那覇へ移り住んだ。不安を感じる暇もなくチーム内競争に意を注ぐ毎日。そこで培ったメンタリティーは、与えられたポジションで全力を出し切る責務を全うできる幅の広いプレーヤーへと成長を遂げた。地元から駆けつけた家族に見守られる中、先発メンバーとしてその姿を見せられた喜びは計り知れない。かつての照れ屋は鋭い眼差しで「優勝する」と心に誓い、決勝・西原高戦での三冠制覇達成に挑む。

★高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチを応援するsfidaは、第101回全国高校サッカー選手権大会のオフィシャルパートナーです。


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(取材・文 仲本兼進)

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