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JFA審判委がJ1前半戦の判定データを公開…昨季に比べて精度向上傾向も「もっと突き詰めていく」

佐藤隆治JFA審判マネジャーが説明

 日本サッカー協会(JFA)審判委員会は今月10日、都内でメディア向けレフェリーブリーフィングを開催した。佐藤隆治JFA審判マネジャーはJ1リーグ前半戦(第19節まで)で判定精度の向上が見られたことを伝え、「ポジティブに考えている」と見解を示した。

 JFA審判委員会は得点、PK、一発退場のVAR対象事案に警告2回による退場を加えたものを「キーインシデント」と定義。その中で主審の判定にフォーカスしたところ、VARの介入で判定が正されたケースも含めて昨季は4.31試合に1回だった誤判定の割合は、5.28試合に1回と向上傾向にあることがわかった。

 もっとも佐藤マネジャーは「満足しているわけではない」ことを強調。その上で「J1でやっているレフェリーひとりひとりの判定に対する意識、ポジショニング、動きが明確になってきた」と手応えを示した。

 また、JFA審判委員会は誤判定を「期待された判断」「難しい判断」「非常に難しい判断」の3つに細分化。ポジショニングや審判団の連係などに改善点があり、同様の事象が発生した場合に適切な判定を求めるケースを「期待された判断」、現実的にはピッチ上で適切な判定を下すことが不可能に近いとされるケースを「非常に難しい判断」とした。その結果、以下の内訳となった。

期待された判断:8回
難しい判断:25回
非常に難しい判断:3回

 このデータを踏まえ、佐藤マネジャーは「期待された判断をゼロに近づけたい。そこだけではなくて、難しい判断の中でも少しでも『25』の数字を減らす努力を突き詰めていきたい」とさらなる判定精度の向上に意欲を見せた。

 さらにVARに関するデータも以下のように示された。

▽VARデータ
試合数:190試合
介入回数:66回(VARオンリーレビュー23回、オンフィールドレビュー43回)
介入頻度:2.9試合に1回

▽オンフィールドレビューの内訳
ハンドの反則でPK:17回
その他の反則でPK:8回
APP内での攻撃側の反則:7回
決定的な得点機会の阻止(DOGSO):2回
著しく不正なプレー:4回
乱暴な行為:1回
オフサイド関連:4回

 2.9試合に1回の介入頻度は昨季と同程度となっているが、「精度は確実に上がっている」と佐藤氏。昨季は介入すべきケースや介入すべきではなかったケースとVARのミスが多かったという中、担当審判員には改善を求めてきたといい、フィードバックの成果が出ているようだ。

 なおオンフィールドレビューの内訳では、ハンドによるPKが17回と最も多かった。ハンドによるPKは昨季も多かった一方、昨季はクロスやシュートに対する至近距離でのハンドが目立ったのに対し、今季はサイドから上がったクロスをペナルティエリア内で対応しようとした選手が目測を誤って手や腕で触れるパターンが増えているという。

 その中で佐藤マネジャーは第13節名古屋グランパスガンバ大阪の後半32分、右からのCKに対してDF中谷進之介がPA内中央でヘディングクリアを試みたところ、左手にボールが直接当たった場面を紹介。この試合ではPKにはならなかったが、佐藤マネジャーはボールの軌道が分かっていること、プレーを遮る他の選手の動きはないことを指摘し、手の広がりも踏まえてPKにすべきだったと見解を述べた。

 佐藤マネジャーは依然としてVARにもミスがあることを示した上で、後半戦や来季に向けてピッチ上の判断とVARの判断の両方で「もっともっと突き詰めていく」とさらなる改善を誓った。

(取材・文 加藤直岐)

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加藤直岐
Text by 加藤直岐

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