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立教新座FW稲垣輝一は個人技でインパクトも…「一人抜くだけでは何も変わらない」

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ドリブルでしかける立教新座高FW稲垣輝一(3年)

[4.30 関東高校大会埼玉県予選決勝 成徳深谷高 1-0 立教新座高 埼スタ第2]

 ともに初優勝を狙った埼玉決勝の舞台、最も大きなインパクトを与えたのは敗れた立教新座高のFW稲垣輝一(3年)だったかもしれない。強烈なフィジカルを生かした単独突破でグイグイ前へ進めば、脅威の左足から両チーム最多4本のシュートを披露。守備に特色を持つ成徳深谷高守備陣でも、数人がかりでの対応を迫られていた。

 2002年に全国出場経験を持つ前田和伸監督が「個人能力はすごく高い」と評する背番号10。負傷明けということもあり、今大会ではスーパーサブ起用が続いていたが、この日は「つぶれるまでやって来い」とスタートから送り出された。任されたのは後ろに比重を置いた3-4-2-1の最前線。なかなかサポートが得られない中でも、確実な存在感を放っていた。

 前半8分、味方からのロングボールを無理矢理おさめ、浮き球を落ち着けないまま前を向いてボレーシュート。成徳深谷の為谷洋介監督が「日本人離れした子でしたね」と表現するフィジカルセンスをファーストシュートで見せつけると、その後もボールを持てば迷わず前へとしかけ続け、DF成澤圭梧(3年)らは対応に追われていた。

 たぐいまれな個人技のセンスは、中学時代に所属していた大阪府の千里中央FCで培われたもの。「個を大事にするチームで、とても良い経験をさせてもらった」という2年間を経て、中学3年時に家族の転勤で埼玉県新座市にやってきたが、かつて学んだことを埼玉決勝という大舞台でも臆せず披露してみせた。

 だが、この日は成徳深谷守備陣が一枚上手だった。GK神尾龍汰(3年)へのアフターチャージでイエローカードを受けてしまった動揺もあったか、「まったく対応できずに終わった」(稲垣)と反省。「自分が対人で負け越してしまった。一人抜くだけでは何も変わらないので、二人三人抜けるようにならないといけない」と唇をかんだ。

 もっとも、チーム全体を見た上では、この大会を通じて手応えを得たようだ。県支部リーグ(実質3部)所属ながら、初戦の浦和西高(県1部)戦を含めた有名校相手に1-0での3連勝。準決勝では浦和東高を相手に自身も初ゴールを挙げ、関東大会行きを決めた。「どことやっても自分たちが弱いという世論の中で、みんなが思っていないような結果を出し続けてうれしかった」

 この快進撃で「立教を見る目が変わっていけば」(稲垣)と感じている一方で、指揮官は「調子に乗ってはならない。目の前の相手に100%で挑んだからこその結果」と“浮かれ”に継承を鳴らす。「関東大会、インターハイ、選手権とありますが、自分の一声でチームをまとめていけるくらいになりたい」(稲垣)。この快挙を益となすか害となすかは、大きな主将の背中にかかっている。

(取材・文 竹内達也)

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