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ブッフバルト&ジーコが若手のビッグクラブ移籍に警鐘、「一番良い例は長谷部誠」

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ジーコ氏とギド・ブッフバルト氏が若手のビッグクラブ移籍に警鐘

 Jリーググローバルアンバサダーに就任したギド・ブッフバルト氏とジーコ氏が、日本人若手選手の欧州ビッグクラブ移籍に警鐘を鳴らした。

 浦和で選手、監督としても関わりを持ったブッフバルト氏は、ヨーロッパに来る日本人選手のことはドイツを中心にチェックしているという。その中で、若手選手のビッグクラブ移籍について触れ、「最近の傾向として、若い選手がいきなり大きなクラブに行っている。それはいかがなものか」と意見を述べた。

「彼らはそのクラブで試合に出て、経験を積んでいかないといけない。何のためにヨーロッパに行くのか。それをまず考えてほしい。サッカー選手としてのクオリティを上げることが目的であるならば、最初から大きなクラブに行くのではなく、小さいクラブでも良いクラブはいっぱいあります。そういうところを経由して大きなクラブに行くということ。それを考えていったらどうかと思っています」

「試合というものを通じて段々成長していく。練習だけやっていると毎日同じ相手とプレーするわけなので、それは繰り返しになりますよね。試合というのは対戦相手も違えば、自分がマッチアップする相手も変わってきます。環境も変わります。そういったものに慣れていくことが非常に大切です。それによって初めて選手として一歩成長したなって言えると思います。最初の目的を思い出して、私はこのクラブでプレーできるのだろうか、このクラブは私にとって成長の糧になるんだろうか、ということを考えて移籍をしてほしいと思います」

 ブッフバルト氏は最たる好例として元日本代表主将・MF長谷部誠を挙げる。長谷部は2008年に浦和からボルフスブルクへ移籍し、海外挑戦をスタート。13年にニュルンベルク、そして14年にフランクフルトへと渡ると、18年ロシアワールドカップで代表を退いた昨季はそのポテンシャルをフルに発揮。各メディアのベストイレブンや欧州サッカー連盟(UEFA)選出のヨーロッパリーグ優秀選手にも選出され、飛躍の年となった。

 ブッフバルト氏は「長谷部の最初に行ったチームは世界的に有名ではなかった」と語り、「そういうところに行って経験を積み、今ではヨーロッパでも非常にレベルの高い選手としてリスペクトを持たれている」と絶賛した。

 ジーコ氏も「長谷部のことはよく覚えている」と当時の日本代表監督の顔を見せ、「長谷部の良さを十分に理解しているので、彼は本当に良い例です」とブッフバルト氏に同調した。そして、若手のビッグクラブ移籍には「ブラジルでも同じ問題が起きている。継続的にプレーできず、生活習慣にも馴染めず、ベンチ入りすらできないまま放置されることもある。ある程度経験を積んでから移籍したほうが彼らのためになる」と続いた。

 長谷部を始め、欧州移籍を果たした日本人選手は多くいるが、成功といえる選手はいまだ少ない。その背景も理解した上で、日本を知る偉大なレジェンドたちは海外挑戦への冷静な判断を求めている。

(取材・文 石川祐介)
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