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連係面で苦戦し、アクシデントも…U-16福島県選抜に敗戦のU-17日本高校選抜は良さを出し合うことに集中

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U-17日本高校選抜CB宝納拓斗(佐賀東高2年、右)とU-16福島県選抜FW網代陽勇(尚志高1年)が競り合う

[11.25 Jヴィレッジドリームカップ U-17日本高校選抜 0-2 U-16福島県選抜 Jヴィレッジ]

 インターハイで活躍した高校1、2年生を中心に構成されたU-17日本高校選抜が25日、Jヴィレッジドリームカップ初戦でU-16福島県選抜と対戦し、0-2で敗れた。

 U-17日本高校選抜は前日に初めて顔を合わせ、25日午前含めて計2度のトレーニングで初の対外試合。フォーメーション練習などを行って試合に臨んだものの、思うような連係をすることができなかった。

 上手く行かないことは想定内。蒲原晶昭監督(佐賀東高)は「上手く行かなかったらネガティブになるんじゃなくて、みんなでフォローしてもう一回チャレンジしようと言っていた」という。後半へ向けて内容は好転していたが、出場可能な全選手を起用後の後半15分にケガ人が出て、残り30分間を10人で戦うアクシデント。18人中15人が尚志高の選手でこの大会へ向けて1か月間準備をしてきたという福島県選抜との連係面の差は大きく、黒星スタートとなった。

 U-17日本高校選抜は4-4-2システム。GKがデューフエマニエル凛太朗(流通経済大柏高2年)で4バックは右から鈴木大翔(尚志高2年)、ゲーム主将の新谷陸斗(東山高2年)、宝納拓斗(佐賀東高2年)、河合侑馬(徳島市立高2年)。中盤は真田蓮司(東山高2年)と碇明日麻(大津高1年)のダブルボランチで右MFが阪田澪哉(東山高2年)、左MFが堀川大夢(流通経済大柏高2年)。2トップは小林俊瑛(大津高2年)と香西銀二郎(立正大淞南高2年)がコンビを組んだ。

 U-17日本高校選抜はボランチの位置で真田がキープ力を発揮してボールを動かし、右サイドでは俊足MF阪田が止まらない存在に。同じくスピードのある鈴木と動きが重なる部分もあったが、右サイドから幾度かチャンスを作り出し、真田や碇、堀川がシュートへ持ち込んだ。

 だが、新谷が「チーム全体で蹴るのか繋ぐのか徹底できていなかった」と首を振ったように、小林へのロングボールを蹴り込むもフォローが不足するなど意思統一できていなかった。動き出し得意な香西へもなかなか良い形でボールが入らない。

 一方の福島県選抜は、局面で数的優位を作ることを徹底して奪い返しに成功。個々の技術力も高く、前線でしなやかな動きを見せるFW網代陽勇(尚志高1年)と推進力あるFW桜松駿(尚志高1年)の2トップ中心に何度も攻め返していた。17分にはPAへのロングボールのこぼれから桜松がポスト直撃の右足シュート。そして、29分には縦パスから網代がPAでキープし、MF若林来希(尚志高1年)が右クロスを入れる。これを桜松が頭で合わせて先制点を挙げた。

 さらに網代が抜け出しから強烈なシュート。これをGKデューフのファインセーブで凌いだU-17日本代表候補は後半7人を入れ替えた。GK藤澤芭琉(徳島市立高2年)、江川楓(瀬戸内高2年)と木村匡吾(岡山学芸館高2年)のダブルボランチ、右MF小関晴人(丸岡高2年)、左MF大迫塁(神村学園高2年)、そして福田師王(神村学園高2年)と福田秀人(米子北高2年)の2トップへスイッチした。

 4分、新谷のロングフィードを福田秀がそらし、抜け出した福田師が右足シュート。5分にも鈴木から良い形で福田師へボールが入る。だが、相手との接触プレーのあった福田師が15分にピッチを離れ、交代選手を使い切っていたU-17日本高校選抜は10人での戦いに。大迫が何とか流れを変えようとボールに多く絡んで奮闘し、小関が縦への仕掛けを見せるが、福島県選抜は万能型MF神田拓人(尚志高1年)やCB市川和弥(尚志高1年)ら各選手が運動量を継続し、際の部分で良く足を出すなど相手を前進させなかった。

 U-17日本高校選抜は1人少ない分、江川や木村、福田秀が運動量を増加。タイミングを合わせて前からボールを奪いに行く。また、13分に藤澤が好守を見せたシーン以外は、前半から出場を続ける新谷と宝納、河合、鈴木のDFラインが連係してチャンスを作らせていなかった。それでも34分、福島県選抜は再び若林が右クロスを上げ切ると、中央へ飛び込んだ網代がダイビングヘッドで追加点。1人少ないU-17日本高校選抜はなかなかゴール前にパワーをかけることができず、0-2で敗れた。

 U-17日本高校選抜は所属チームのリーグ戦が佳境を迎えている選手たちがほとんど。23日、24日にもリーグ戦を戦った選手がいる。その中でも意欲を持って参加した選手たちに対し、蒲原監督は「集まってくれた選手たちにはありがたいと思っています」と感謝する。

 コンディションに細心の注意を払いながら、残り2試合。この日、試合後のミーティングで指揮官は「上手く行かなくて当たり前だし、急造チームでどっちにしても明日以降上手くいくのは間違いないから自信を持っていこう」と選手たちに声がけしたという。確かに後半は内容が向上。蒲原監督は「自分の良さをしっかり出すためにパートナーがいる訳でそういうところを共有しながら、良さを少しでも多く出せるように。(この短期間で)やりたいことをチームで落とし込むことはできない。良さを出し合うしかない。(初戦以上に)良さの部分が間違いなく出ると思うのでその部分に期待したい」と語った。

 新谷は「いい選手が揃っている中でまだコミュニケーションを取れていないからこそできないことがまだまだあるので、反省して、また明日の試合に向ければ良い。声を出していたと思うんですけれども戦術的な声が足りなかったと思います。合わない中でイージーミスも多くあった。一人ひとり技術があるので、そこさえ改善していければきょうみたいな敗戦はなくなっていくのかなと思います」。まずは26日に横浜FCユースと対戦。それぞれの個性を連動させてより内容を向上し、必ず勝つ。

(取材・文 吉田太郎)
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