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[クラブW杯]ネイマール先制弾! 酒井が追撃ヘッド弾も、サントスが柏を下して決勝進出!

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[12.14 クラブW杯準決勝 柏1-3サントス 豊田ス]

 FIFAクラブワールドカップ2011は14日、豊田スタジアムで準決勝を行い、Jリーグ王者で開催国枠で出場の柏レイソルと南米王者のサントス(ブラジル)が激突した。サントスの19歳FWネイマールに注目が集まる中、千両役者は前半19分に先制点を決めるなど活躍。サントスが柏を3-1で下し、決勝進出を果たした。柏は前半のうちに2失点したが、後半9分にDF酒井宏樹がCKからヘディング弾で1点を返すなど手こずられた。しかし、ブラジル王者の前にあと一歩、届かなかった。柏は18日の3位決定戦(バルセロナvsアルサッドの敗者)に回る。

 柏は120分間の死闘の末にPK戦にもつれた11日のモンテレイ(メキシコ)戦と同じ先発メンバーだった。システムは4-4-2でGKは菅野孝憲、DFラインは右から酒井宏樹、増嶋竜也、近藤直也、橋本和。ダブルボランチは大谷秀和と栗澤僚一が組み、2列目は右にレアンドロ・ドミンゲス、左にジョルジ・ワグネルが入った。2トップは工藤壮人と田中順也が組んだ。

 対するサントスはこの日が今大会初戦で、システムは4-2-3-1を採用。GKはラファエウでDFラインは右からダニーロ、エドゥ・ドラセナ、ブルーノ・ロドリゴ、ドゥルヴァウ。ボランチは元磐田のエンリケとアロウカが組み、2列目はブラジル代表がズラリ。右にエラーノ、左にネイマール、トップ下にパウロ・エンリケ・ガンソが入った。1トップには元仙台のボルジェスが構えた。ネイマールは左サイドだけでなく、FWの位置にも上がるなど流動的な動きを見せた。

 『組織力』か『個の打開力』か。前日、田中がこの試合について、こう分析していたが、立ち上がりはがっぷり四つの戦いとなった。サントスが圧倒的にボールを支配するかと思われたが、柏も組織的プレスがうまくはまり、ボールをつなげる展開となった。大谷と栗澤がうまくボールを取って散らし、ワグネルやレアンドロの攻撃陣へとつなげた。だが、最終ラインが固く、バイタルエリアは崩せなかった。

 サントスは一瞬の隙を見逃さず、決定的な仕事を果たす。前半5分、ゴール前で増嶋のクリアが小さくなったのをネイマールが見逃さず、拾ってすぐさま右足で押し込むようにシュート。しかし、これは左ポストを叩き、柏サポーターからは安堵の声がもれた。同8分、今度は柏が反撃。ワグネルが得意の左足ミドルで襲ったが、これはGKの正面を突いた。その1分後、酒井とネイマールが1対1を展開。ネイマールが交わしかけたが、酒井が倒して止め、主審から注意を受けた。

 柏の守備が機能していたため、前半は拮抗した展開になるかと思われたが、前半19分、サントスが個人技で先制点を奪った。やはり注目の男、ネイマールが魅せた。PA右でパウロ・エンリケ・ガンソから縦パスを受けると、マークに来た大谷を交わして左足を一閃。綺麗なカーブを描いたシュートはゴール左上に突き刺さった。GK菅野が一歩も動けないスーパーシュートだった。

 これでサントスが勢いに乗る。先制から5分後の24分、今度もは元仙台の背番号「9」ボルジェスが魅せた。PA正面付近で横パスを受けると、ドリブルで増嶋、そして近藤も交わして右足を一閃。ゴール右上に突き刺し2-0とリードを広げた。しかし、柏の勝利への執念は衰えない。ショートカウンターでゴールを狙う。前半27分にはPA右で酒井のパスを受けた田中が切れ込んで左足シュート。DFに当たったが、積極的なところを見せた。

 前半32分、柏はレアンドロがガンソを倒して警告を受けたが、これが累積2枚目。次戦の出場停止が決まった。その後、サントスに仕掛けられる時間もあったが、粘り強い守備でボールを奪いチャンスを作る。同35分には工藤がPA左でパスを受け突進。しかし、これはシュートに行く前に奪われてしまった。同37分には右クロスからワグネルが左足でシュートを狙ったが、相手DFにブロックされた。サントスは落ち着いた試合運びを見せ、前半はサントスの2-0で折り返した。

 少しでも早い時間に1点を返したい柏は、後半開始から工藤に代えて元日本代表FW北嶋秀朗を投入した。後半6分、サントスが決定機を作った。ネイマールが攻撃参加し、右にいたダニーロにスルーパス。GK菅野と1対1になったが、これは菅野がうまく飛び出し、クリアに成功した。後半は一層、サントスがボールをつないだが、柏が一点を返すことに成功した。

 大きな一発を決めたのは酒井宏樹だ。後半9分、左CKのチャンスでジョルジ・ワグネルの正確なキックに、酒井が中央でジャンプ一番。マークに来た相手より高く飛び、ヘディングシュートでゴール右上に突き刺した。酒井が獲得オファーを受けた“因縁”の相手からゴールを決めた。サントスは直後、エラーノに代えて187cmの長身FWアラン・カルデキを投入した。

 柏は少しリズムに乗りかけたかに見えたが、サントスが再び個人技で流れを奪い返した。後半18分、中央やや右でFKを獲得。キッカーはポルト移籍が内定している右SBのダニーロが務めたが、低く速いボールで壁の右側を巻いてゴール右に突き刺した。GK菅野が動けないシュートで、3-1とするゴールを決めた。

 柏は後半20分、田中に代えてMF澤昌克を投入し、1・5列目の位置に入れた。澤はゴール嗅覚と運動量が売りで、相手のボランチをケアしながらゴール前へ飛び出す動きが求められた。柏はその3分後、決定機をつかむ。大谷からレアンドロにつながり、PA左に浮き球パス。これに北嶋秀朗が抜け出し、右足アウトでシュートを放ったが、残念ながらこれは上に外れた。

 この時間、柏はボールをつないで、リズムを作った。後半30分、再び決定機を迎える。右サイドでレアンドロが出したスルーパスに澤昌克が抜け出し、PA内右から右足グラウンダーシュート。あまり角度はなかったが、良いコースに蹴り込んだ。しかし、惜しくも左ポストを叩いてしまった。柏は同34分、最後の交代カードを切る。左SBの橋本に代えてMF兵働昭弘を入れた。レフティはそのまま左SBに入った。アーリークロスで前線にボールを送る役目を任せられた。

 後半35分、サントスはボルジェスに代えてMFイブソンを投入した。そして同37分、柏が再び決定機を迎えた。右サイド、レアンドロがドリブルで縦に抜け出し、速いグラウンダークロス。これがDFラインとGKの間に入ってファーサイドへ届き、澤昌克が走り込んで右足を合わせた。1点ものだったが、シュートは上に外れてしまった。サントスは同39分、イブソンが左45度から強烈なミドルシュートを放ったが、クロスバーを叩いた。

 終盤、サントスは運動量が落ち、柏は猛攻を仕掛ける。後半44分、酒井が右サイドを仕掛けてクロス。ファーサイドのワグネルがシュートを放ったが、ブロックされた。同45分、サントスはダニーロに代えてDFブルーノ・アギアルを入れた。ロスタイムは4分。柏は必死のプレーを見せる。同48分、酒井が右サイドを仕掛けてCKを獲得した。レアンドロが入れたボールに酒井が頭を合わせようとしたが、相手に跳ね返された。同50分、左サイドで兵動と大谷がつなぎ、最後は大谷が左足でシュートしたが、上に外れた。直後に試合終了。サントスが3-1で勝利し、決勝進出を決めた。

(取材・文 近藤安弘)

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