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浦和サポに敬意示した町田・黒田監督、54歳誕生日に敵地埼スタ攻略「この上ないプレゼント」

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サポーターの前で喜ぶ黒田剛監督

[5.26 J1第16節 浦和 1-2 町田 埼玉]

 首位のFC町田ゼルビアは26日、後半アディショナルタイム6分にMF下田北斗のPKで劇的な決勝ゴールを奪い、敵地で浦和レッズを破った。同日、54歳の誕生日を迎えた黒田剛監督は試合後、サポーターからハッピーバースデーの大合唱を受け、「最高のハッピーバースデーをくれたのはこの上ないプレゼントだと思うし、改めて感謝したい。埼玉スタジアムでハッピーバースデーの歌を聴ける機会はなかなかない」と喜びを語った。

 埼玉スタジアム2002に39460人の大観衆が詰めかけた上位対決。町田にとっては4月13日に国立競技場でホームゲーム開催した第13節・神戸戦の39080人を上回るクラブ史上最多観衆の下でのプレーとなったが、敵地の雰囲気に圧倒される様子はなかった。

 黒田監督は青森山田高時代、全国高校サッカー選手権の準決勝・決勝で満員に近い埼スタの雰囲気を何度も経験。今回はホームの浦和サポーターを敵に回すということもあり、試合前には相手サポーターが作り出すであろう雰囲気に敬意を表しつつ、選手たちを奮い立たせていたという。

「今日は入りから浦和さんの圧倒的なサポーターのパワー、力というものが必ず選手に乗り移り、そこに屈することがあればひとたまりもないということで、選手たちを奮い立たせて入れた。また、今は首位ではあるが、これを維持しようとか、今日を弱気になって戦うことで、一気に先頭集団が団子状態になるということも踏まえ、平凡なチームにはなりたくないと、ここでもう一つ力をつけて強さを発揮していくことがこれからの首位争いに大きく影響してくるということで、彼らもそういった形で奮起させた」(黒田監督)

 さらにこの日が誕生日ということで「何よりも勝ち点3のプレゼントが欲しいということで、もう一盛り上がりして送り出した」と笑みも見せた指揮官。そのかいあって前半は普段どおりの拮抗した展開に持ち込み、「案の上前半から持たれるケースは非常に多かったが、帰陣も早く、ゴール前やセンターを空けないということで、クロス対応を含めて本当にパーフェクトにやってくれたという印象」というプランどおりにハーフタイムを迎えた。

 また後半は7分にMF平河悠のゴールで先制しながらも、同9分にすぐさまMF伊藤敦樹のゴールで追いつかれるという慌ただしい展開となったが、冷静に終盤勝負のプランを描いていたという。

 ハーフタイムにMFナ・サンホ、後半13分にFWミッチェル・デューク、同28分にFWエリキと交代選手の投入で徐々に攻撃の圧力を強めていくと、最後は同42分に192cmのDF望月ヘンリー海輝を右SBに入れて高い位置でのパワープレーを敢行。そこから一気に相手を飲み込み、アディショナルタイムにナ・サンホが獲得したPKを下田が決めた。

「『勝ち急がず、取り急がず、チャンスでしっかりとみんなのベクトルを合わせて一気に畳みかけていこう』ということをハーフタイムで言った。『焦れずに最後まで粘り強くいけば最後に必ずいいことがある』ということで選手たちはそれを信じて、よく走ってくれたと思う」

「まさに町田の総力戦。一人ひとりの持ち味をしっかりといかんなく発揮し、なんとか今日の勝利を手繰り寄せることができた」と、してやったりの劇的勝利となった。

 埼玉スタジアムでの勝利にはやはり、感慨もあったようだ。黒田監督は「この埼玉スタジアムは青森山田高時代から、何度も(高校サッカー選手権の)準決勝、決勝というステージでやらせていただいていた場所」と過去に触れつつ、途中出場で存在感を見せていた青森山田高出身の浦和MF武田英寿についても「敵ではあるけれど、同じピッチで試合ができることにも感慨深いものがあったし、うれしく思った」と言及。「慣れ親しんだ埼スタではあるが、これだけのレッズのサポーターに囲まれると改めて迫力が違うなという印象も受けた。こういう環境でやらせていただいたことにしっかり感謝したい」と述べつつ、「次節に向けてもう一回ネジを巻き直して、頑張っていきたい」と先を見据えた。

(取材・文 竹内達也)

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竹内達也
Text by 竹内達也

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