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足元は超高校級!横浜FM加入の興國GK田川、身長180cmでも先輩たちのようにJ1で優勝するGKへ

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横浜F・マリノス加入の決まった興國高GK田川知樹

 目標は先輩守護神同様、身長180cmほどのGKでもJ1制覇に貢献できると証明することだ。11日、興國高(大阪)のGK田川知樹(2年)が21年シーズンから横浜F・マリノス入りすることが発表された。田川の登録身長は180cm。大型化が進むGKのポジションにおいて、特別なサイズを持つ守護神ではない。それでも、J1王者は田川の獲得を決断した。

 田川は19年度の全国高校選手権大阪府予選でビッグセーブを連発。GKながら主役級の活躍を見せて興國を全国初出場へ導いた。全国大会では初戦敗退を喫し、インパクトを残すことができなかったが、横浜FMは昨夏に約2か月間練習参加した田川を高く評価。秋の時点でオファーを出し、高校2年生世代屈指の実力派を獲得した。

 田川の最大の特長は足元の技術の高さだ。同じく興國から横浜FM入りを決めたFW樺山諒乃介(2年)は「田川は技術が高くて一緒にやっていて、こんなに足元の技術が高いGKは見たことがないし、フィールドが11人いるみたいで全然違います」と絶賛。ビルドアップ能力、左右両足から繰り出す高精度パントキックは超高校級と言えるレベルだ。

 加えて、2か月間、またその後の練習参加によって、シュートストップやクロスボールへの対応を飛躍的に向上させた。本人も「夏参加してからのシュートストップの向上だったり、クロスボールへの対応というところが評価されているのかなと思っています」と手応えを口にする。

 一方、現時点では先輩たちとの差があることも理解している。「まだまだ遠い存在だという印象が強いですし、今の先発GKに勝つにはまだまだ時間がかかる。すぐに試合に出るということは難しいことだと思いますけれども、徐々にその環境に慣れていって、多くのことを吸収して、学んで、レベルアップしたい」と静かに誓った。

 1月の宮崎キャンプでは樺山や同じく横浜FM入りするCB平井駿助(2年)が練習試合に出場する中、田川は出番無し。樺山がゴールするなど活躍し、田川も刺激を受けたというが、「自分が大事なので、周りにはあまり影響されないように」と冷静だ。横浜FMは昨年、J1でGK朴一圭が25試合に出場。守護神として活躍したが、田川は練習やキャンプに参加した際に控えGKたちの姿からも「振る舞いとか、表情に一切出さずに声とか出していた」ことを学んでいる。

 平井が「自主練でも常にガチでやるんでそこが他と違うと思います」というように、田川は日常から意識が高い。そして、横浜FMの先輩GKの姿勢を見て、上手く行かなくても、表情に出さないようにしてきた。横浜FM加入が決まり、注目度が高まるが、今はとにかく目の前の一日一日に全力を尽くすこと。そして、目標とする朴や神戸GK飯倉大樹のように、特別なサイズがなくても、チームを勝たせるGKになる。

「僕もプロになるに当たってGKは身長が必要なのかなと思っていたんですけれども、それを(同じ180cmの)朴選手とかにも聞いたりして、『それは絶対に考えるな』『必要ない』『技術だ』と。朴選手がJ1の優勝GKで、180くらいのGKでそれは示したからそこは関係ない」。

 横浜FMサポーターに見てもらいたいところは「常に全力で頑張るところだったり、あとはマリノスのサッカーを後ろからサポートしていけるようなところを見てもらいたいです」。もちろん、一日でも早くJ1のピッチに立つこと、そして優勝GKになることが目標。慌てずに先輩たちとの差を埋める。そして、チャンスを絶対に逃さない――。

(取材・文 吉田太郎)

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