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注目初出場校・興國は初戦敗退。下を向かず、「伸び率を一番上げられる相手」から得たことを今後へ

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いずれもJ1クラブが注目する興國高の2年生GK田川知樹と2年生FW樺山諒乃介。全国で得た経験を飛躍に繋げる

[1.2 選手権2回戦 昌平高 2-0 興國高 浦和駒場]

 注目の初出場校・興國高(大阪)の内野智章監督は「長い目で見たら興國にとって最高。ここから伸び率を一番上げられる相手やった」と評し、初陣で昌平高(埼玉)と対戦できたことについて感謝した。

 近年、連続で複数のJリーガーを輩出し、今年はOBのFW古橋亨梧(神戸)が日本代表初選出。「育成チーム」として先に名を上げた興國がついに全国初出場を決め、注目される中で初戦を迎えた。

 前半は後方から正確にボールを動かし、クロスまで持ち込んだり、MF下村和暉(3年)の落としにU-17日本代表候補FW樺山諒乃介(2年)が走り込むシーンなどがあった。なかなか相手のダブルボランチの背中を取ることができないなど思うような展開に持って行くことはできなかったが、守備時のポジショニングなどタスクを実行して0-0ターン。だが、後半立ち上がりに自陣PAでボールを奪い返されて先制されると、11分にもビルドアップでのミスを突かれて0-2と突き放された。

 後半はMF南拓都(2年)のドリブル突破から樺山が左足シュートを放つシーンもあったが、シュート計2本で無得点。内野監督は何人からの選手が冷静さを欠いて前のめりになってしまったことを残念がった。

 一方で「(相手のキック技術の高さに選手から『マジか?』と声が聞こえたり)戦略的に蹴らしているけれど、相手の方が技術が上だった。(昌平は)この舞台でやれる最高の相手じゃないですか。(何となく勝ってしまうのではなく)こっち(敗戦)の方が彼らは上手くなる」とコメント。大阪、関西では体感できないような質を持つ関東の技巧派・昌平との対戦、そして敗戦が選手たちの才能を引き伸ばすと分析していた。

 樺山や前半にビッグセーブを見せたGK田川知樹(2年)、U-17日本代表FW杉浦力斗(2年)ら攻守にタレント揃う2年生は来年の躍進を誓う。樺山は「ここで(昌平に)火をつけてもらった。これからの細かいところの練習とか変えていく必要性を感じました。(試合後のロッカールームではみんな) 『来年やったろう!』と言っていた。どこが来ようが圧倒したい」と力を込めた。

 また、田川は「シュートシーンも多く作られましたし、1対1の強さがまだまだ足りなかったと感じて、僕はまだ2年なのであのレベルに到達して次は倒したい。きょうのことは絶対に忘れないでしょうし、高めないといけない部分がはっきりと分かったのでそこに向かって頑張ります。(1年で昌平を)越えます。(個人的には)シュートストップやクロスのところをまた磨いてこの舞台に帰ってきたい」と意気込んだ。注目対決で敗れて初戦敗退。だが、感情的になるつもりはない。才能たちは下を向くことなく全国で体感したことを冷静に分析し、個人、チームの飛躍に繋げる。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2019

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