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日本代表コンフィデンシャル by 寺野典子

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まだ始まったばかり
by 寺野典子

元浦和の山瀬を含む、浦和の選手を中心に戦った8月9日のトリニダード・トバコ戦。鈴木が右の駒野にパスを出した瞬間、三都主がゴール前に走り、同時に田中達、我那覇が相手DFをひきつける動きをし、生まれた2点目の三都主のゴールは、チームの連動性と“走り”が生きた得点だった。

しかし、千葉やガンバ組が合流し、遠藤、加地、阿部が先発した8月16日アジアカップ予選対イエメン戦。2-0と勝利を飾ったものの、守備を固めた相手に日本代表は苦戦した。鈍い動きの前半、彼らの足を重くしていたのは、高い気温と湿度のせいばかりではなかったようだ。

「まだチームが始まって時間も経っていないし、最初から上手くいくとは思っていなかった。修正することも多いし、時間をかけていくしかない部分もある。コミュニケーションを深めていかなくてはいけない。選手同士が同じイメージを持っていないと走りも単発に終わり、効果的なものにはならないし、質の高い走りはできない」と途中交代で、精彩を欠いた遠藤が淡々としながらも、悔しさをかみしめていた。

 オシムジャパン始動後2試合目となったが、実質の活動期間はまだ1週間。ましてやそのサッカーは「大枠は決められているけれど、基本的に僕らは自由を与えられている」と鈴木啓太がいうように自由だからこそ、組織構築には時間がかかる。だからこそ、“質の高い走るサッカー”をピッチの上で表現しにくい状況だったようだ。

「代表でともに過ごす時間は短いけれど、質の高いサッカーをやっていかなくてはいけない。そのためにいろんなことを“意識”することが大事。選手それぞれが考えて走れば、時間がない中でもやっていけると思う」(遠藤)

新生日本代表は“走る”ことが取りざたされているが、ただ単に走ればいいというものでもない。

“走り”を生かすには、連動性など組織力が必要となる。とはいえ、代表チームにはクラブのような時間はない。だからこそ「考えて走れ」とオシム監督はいう。選手個々の状況判断力を高めて“感じあって”いかなくてはならないのだ。

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