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日本代表コンフィデンシャル by 寺野典子

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プレス
by 寺野典子

9月3日サウジアラビア戦は1-0という結果でオシムジャパン初めての敗戦となった。

日本チームは選手間の距離が開き、攻守に渡り数的優位なシーンが作れなかった。その原因はプレスが効いていないことが考えられる。日本のプレスが効いていないから相手は自由にプレーし、ゲームの主導権を握り続けた。

 プレスとは、相手を自由にプレーさせない守備戦術だ。ボールを持った相手選手に対して、体を寄せてパスコースを限定し、自分たちの狙ったところにパスを出させて、そこでボールを奪う。

 実際ボールが奪えなくとも、相手の攻撃を遅らせたり、攻撃の選択肢を減らしたり、ミスを誘発する効果がある。

 しかし、選手がそれぞれ思いつきでプレスをかけると、ポジションのバランスが崩れ、不用意なスペースを生むリスクもある。

「どこで」「どのタイミングで」「どのように」プレスをかけるか? そのイメージ統一がチームにないとプレスを活かしたプレッシングサッカーは成立しない。

 陣形をコンパクトに保つことと効果的な“プレス”というのは共存してこそ意味を持つ。

 DFラインを上げるにはラインの裏をつかれるなど、リスクも伴うため、相手の攻撃をこちらが支配している“プレスが効いた”状態でないと上げづらい。

 前線からのプレスが効いているから、DFラインを押し上げ、陣形をコンパクトに保つことができる。同時に陣形が間延びしているとプレスの効果が生まれない。

 間延びした状態では相手にスペースを多く与え、攻撃の選択肢を制限するのが難しくなるうえ、数的不利な状況になりやすく、ボールを奪うことも難しくなる。

 陣形をコンパクトに保ち続けるというのは、全員で守り、全員で攻めるオシムサッカーでは欠かせない条件だ。そのためには効果的なプレスが必要となる。

 しかし、プレスを90分間かけ続けるのは体力的に厳しい。要は行くときと休むときというようなチーム内の約束事を徹底しなくてはならない。

 オシムジャパンが始まってからの時間は短い。意識を統一させ、連動性を高めるには時間も必要だ。ゲーム形式中心のオシムの練習で、攻守ともにトレーニングされているとは思うが、どちらかといえば、攻撃に比重が置かれている印象も強い。

 しかし、“ボールを奪って速く攻める”というオシムサッカーを確立するためにも、プレスのかけ方など、守備の整理が必要だ。効果的な守備によって、コンパクトな陣形が保てれば、ゴール前での波状攻撃、セカンドボールへの対応力も上がり、得点力も高まるのではないだろうか?

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