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流通経済大サッカー部日記「たつのこ日和」

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謙虚な後輩

天皇杯予選の準決勝、筑波大学を相手に1-0での勝利と前回書きましたが実際には無失点で且つ、試合を勝利で終えられたことは非常にラッキーでした。

というのも、試合開始早々から筑波大学に1本のパスから裏を取られる場面が多々あり、決定機を与える場面も1度や2度ではなく、さらにはGKと1対1になる場面まで。その1対1の場面については試合終了後に中野監督も「相手がミスしてくれたものの、それを決められてたら負けていたかもしれない」と振り返るほどで、手にした勝利は圧倒的な差を見せ付けてのものではありませんでした。

なぜそういった試合になってしまったか。その要因の1つに急造だったディフェンスラインが挙げられます。右サイドにはJリーグチームの練習参加から帰ってきたばかりの石川大徳。CB2人はU-20日本代表のスペイン遠征から帰国したばかりの山村和也比嘉祐介。ちなみに山村はスペインではずっとボランチをやっていたこともあり、CBとして試合をするのはこの試合が久しぶり。比嘉も本職はサイドバックということで、こちらもCBでの出場は久しぶり。さらに左サイドには今回がJFLを除くトップチームの公式戦では初デビューの松岡佑樹。ベストメンバーとは言え、連携が重要視されるディフェンス陣にとっては難しい試合だったと思います。それでもこの試合を無失点で抑えることができたのは、最後尾でチームを統率するGK増田卓也の存在が今回は非常に大きかったと思います。

「全てはね、マスのお陰です」そう話していたのは中盤で華麗なマルセイユルーレットならぬ金久保ルーレットを試合中に披露した金久保順。流経大のファンタジスタも認める増田のこの試合でのプレーは本人曰く「普段の自分のプレー」のようで・・・。前述したディフェンスラインの件についても「ノリさんもヤマもヒガも今まで1年半くらい一緒にやってきたチームメイトだし、松岡さんも石川遠征で一緒にやってたから大丈夫でした」と試合をやるにあたって全く不安要素は無かったようです。
 さらに、1対1を止めた部分に関しては「コーチングで1対1にならないようにしたかったです」とポツリ。見ている側としては良いところばかりが目立ったものの増田本人は納得の行かない部分も多かったらしく「自分のパントキックからチャンスをあまり作れなかったし、もっと積極的にクロスボールを蹴らなければならなかったし・・・まだまだ沢山課題はあります」と問題点ばかりを挙げてくれました。

そんな謙虚な姿勢を最後まで貫き通す増田に、この試合で1番輝いていたのはやっぱり自分じゃないの?と意地悪く聞いてみると「いやいや、それは点を決めてくれたし、張さんじゃないですか?」と一瞬たりとも調子に乗らない増田。ちなみにそれを聞いた金久保先輩は「いやいや、輝いていたのはマスですよ」と後輩の増田を持ち上げていましたが、最終的には「順さんの金久保ルーレットが凄かったです。あのスピードでできるなんて!」と金久保先輩は逆に持ち上げられていました。やはりどこまでも謙虚で控えめな増田ですが、試合中のプレーはアグレッシブなので、是非そのギャップにも注目して頂ければ幸いです。

流通経済大学 サッカー部
小林 由依

※本コラムは不定期更新です。このコラムの感想をこちらまでお寄せください。

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