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日本代表コンフィデンシャル by 寺野典子

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再びグラスゴー
by 寺野典子

 11月に続き、再びグラスゴーにいる。
 グラスゴーの冬は、昼間が短い。朝も9時前まで薄暗く、16時を過ぎるとあっという間に日が暮れる。そのうえ、ここ数日連日雨が降り続けているという。
「でもちょっと暖かいかも」と中村。「去年は寒さに慣れなくて、本当に大変だった。でも今は、練習前に筋トレをしたりして、体を温めてから練習に出たり、練習後もお風呂にしっかり入ってから帰宅したりしている」
 と、セルティックでの充実した2シーズン目を送っているようだ。国内リーグ戦で首位を独走し、欧州チャンピオンズリーグ決勝トーナメント進出も果たした。
 そして、12月15日に行われた1回戦の抽選会で、相手がACミランに決まった。
「自分のいいプレーが簡単にできない相手とやれるのは嬉しい。どんな結果であっても得られるものは大きいからね」
「大会後“全然通用しなかったなぁ”って思えるといいね。そしたらまた自分の引き出しが増えるから」と語り、意気揚々と挑んだドイツ・ワールドカップだったが、熱が下がらず、自身のサッカーができなかった中村。
 その空しさは小さくはないだろうが、チャンピオンズリーグがその穴を埋めてくれるかもしれない。だから強い相手と戦う必要があるのだ。
 今季は、試合後に筋トレを行うようになった。国内リーグとチャンピオンズリーグを戦い抜くために自身が決めたことだ。「筋トレをやるってなると、“試合が終わったぁ”って気持ちを緩められないから、体だけでなく、メンタル面でのトレーニングにもなっていると思う」と話す。心身ともにタフさが養われているに違いない。
 そして、筋トレを終えると温度の違う風呂に交互に入浴しながら、気持ちを落ち着かせる。そうすることで、夜もしっかり眠れるようになったという。いい気持ちも悪い気持ちも引きずらない。そんなひとつひとつの小さな行為が、中村のサッカーを支えている。現在だけでなく、未来の彼のサッカーを。
「いろんな経験を積み、いろんな引き出しを増やして、その引き出しを自然と使えるようになっていけば、いいプレーができるようになると思う。それが2010年ごろなんじゃないかなぁって思う」
 2006年夏の悔しさは、中村をより成長させるに違いない。

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