浦和レッズのリスタート
by 寺野典子
by 寺野典子
2月のブルズカップから、ゼロックススーパーカップ、リーグ開幕戦、ACL開幕戦と1ヵ月弱でレッズの5試合を見た。
1月下旬に始動したばかりで、コンディション不良が否めなかった2月の2試合に比べれば、徐々にコンディションは良くなってきているようには感じられる。しかし、サッカーの質という意味では、まだ語る段階にも来ていない。
オジェック新監督は「DFラインからのビルドアップ」「ボールポゼッションをあげる」と新しい浦和レッズのサッカーを掲げ、ゲーム形式の練習を増やし、ポジションチェンジを繰り返し、選手にパスの意識を植え付けるメニューを課していた。そんな監督の意向を気にするあまりに、ブルズカップ、ゼロックスでは大敗を喫してしまった。
そして迎えたリーグ開幕戦では、「試合前から、シンプルにやろうと選手同士で話していた」と山田暢久が語るように、昨年のスタイルに近い形で戦い、「今年になって練習を含めて、一番いい出来だった」と鈴木啓太が言う内容で勝利した。
とは言え、昨季の圧倒的な強さを感じるシーンはなく、鈴木とて、「満足というものではない」と語っている。
格下相手のACL初戦でも、相手にあわせてしまったかのように、スローペースで試合を進め、ゴール前を固めた相手を崩し切れなかった。
「みんなが監督の言うとおりにやろうとして、考えすぎている」と岡野雅行は振り返る。ミスを恐れて消極的になり、つまらないミスが生まれる悪循環。不必要な運動量を強いられる場面も多かった。そして、試合後の選手の表情も暗いままだ。
思えば、ブッフバルト監督が率いた3シーズンも、開幕直後は5月くらいまで、苦戦が続いていた。
新監督を迎えた今季は、ACLなど試合も多い。試合を消化する中で、チームを作っていくしかない。
多少内容や完成度に不安があっても、「王者」としてのプライドと、自信で相手を圧倒するふてぶてしさがあれば、疲労度を軽減する試合運びができるのではないだろうか?
ディフェンディング・チャンピオンとしての余裕を見せて欲しい。