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W杯32チームの法則 by 宝田雅樹

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[W杯カウントダウン32日連続特別企画(29)] スペイン 優勝候補筆頭のプレッシャー
by 宝田雅樹

スペイン(UEFA)
W杯出場:9大会連続13度目
最高成績:4位
W杯戦績:22勝12分15敗

 W杯予選史上初の10連勝という快挙を成し遂げて本大会に駒を進めた「無敵艦隊」スペイン。今回のチームは同国史上最強の呼び声も高く、EURO2008優勝、国際試合35戦連続無敗(世界記録)、国際試合15連勝(世界記録)などの称号を引っ提げて大会に臨む。

 当然、ブックメーカー(賭け屋)でのオッズも一番人気で、今大会の優勝候補筆頭に挙げられているが、過去のW杯を振り返っても「本命は勝てない」という厄介な「法則」が存在する。W杯の規模が16チームから24チームに拡大した82年W杯以降、大会前の一番人気が大会を制したのはこれまで皆無といっていいだろう。

 82年W杯大会前の本命は「黄金のカルテット」を擁したブラジル。86年W杯大会前の本命は3年連続バロンドール獲得者のミシェル・プラティニを擁した欧州王者フランス、90年W杯大会前の本命は「ミラン・トリオ」を擁した欧州王者オランダ、94年W杯大会前の本命は東西統一を果たした世界王者ドイツ、98年W杯大会前の本命は「怪物」ロナウドを擁する世界王者ブラジル、02年W杯大会前の本命はW杯、EURO、コンフェデ杯の3冠を達成していたジネディーヌ・ジダン擁するフランス、そして前大会の06年W杯大会前の本命は「魔法のカルテット」を擁した世界王者ブラジルと、全ての本命が本大会では覇権に届かなかった。スペインもこのリストに名前を連ねることになるのだろうか・・・?

82年W杯以降、大会前の本命に挙げられながら優勝を果たせなかったチーム一覧
82年W杯
ブラジル
備考:ジーコ、ソクラテス、ファルカン、セレーゾの「黄金のカルテット」擁し、南米予選を全勝で突破したブラジルだったが、本大会はイタリアの前に2次L敗退で終わった。

86年W杯
フランス
備考:3年連続バロンドールのミシェル・プラティニを擁し、82年W杯ベスト4、EURO1984優勝のフランスだったが、本大会ではまたしても準決勝で西ドイツに敗れた。

90年W杯
オランダ
備考:マルコ・ファンバステン、ルート・フリット、フランク・ライカールト、ロナルド・クーマンらビッグネームを揃え、EURO1988でも優勝を果たしていたオランダだったが、本大会では精彩を欠き、決勝トーナメント1回戦で西ドイツに敗れた。

94年W杯
ドイツ
備考:90年W杯王者で、東西統一を果たしたドイツ。ローター・マテウス、ユルゲン・クリンスマン、ルディ・フェラーら世界王者が健在だったが、本大会では準々決勝で伏兵ブルガリアに足下をすくわれる。

98年W杯
ブラジル
備考:ロナウド、リバウド、ロベルト・カルロスらの新鋭をドゥンガ、ベベット、カフーら94年W杯優勝組がプロテクトして驚異の強さを見せ付けたブラジルだったが、本大会では決勝でフランスに敗れ、優勝まであと一歩のところで散った。

02年W杯
フランス
備考:ジネディーン・ジダンを擁し、98年W杯、EURO2000、01年コンフェデ杯とあらゆるタイトルを引っ提げて本大会に乗り込んだフランスだったが、GLでセネガル・デンマークに敗れてまさかのGL敗退となった。

06年W杯
ブラジル
備考:ロナウド、ロナウジーニョ、アドリアーノ、カカの「魔法のカルテット」擁し、02年W杯、04年コパ・アメリカ、05年コンフェデ杯とタイトルを総なめにしていたブラジルだったが、本大会では準々決勝でフランスに敗れ期待外れに終わっている。

10年W杯
スペイン
備考:EURO2008優勝、10年W杯予選10連勝、そして国際試合35戦連続無敗(世界記録)と国際試合15連勝(世界記録)を樹立したスペイン。今大会では優勝候補筆頭に挙げられているが・・・

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(コラム担当 宝田雅樹)

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