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ピッチに恋して by 松原渓

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ワールドカップ終幕。そして…
by 松原渓

ワールドカップがスペインの優勝で華やかに幕を閉じましたね。

決勝のスペイン×オランダ戦は、攻守が絶えず入れ替わり、緊張感が途切れることもなく、私は今大会のベストゲームでした♪
カシージャス選手とプジョル選手の抱擁と美しい涙にはついついもらい泣き。

攻め合って1-1で延長戦になれば面白いなと試合展開を予想していたんですが、試合は多くの見せ場を作りながら90分間で決着がつかず、延長にもつれこみ、最後はイニエスタ選手の美しいボレーシュート!
テレビゲームのようなスペインのリズミカルなパス回しと、その僅かな隙を突いてカウンターを仕掛けるオランダの個人技。延長戦に入ってもスピード感は失われず、PK戦の前にもう15分延長してほしい!と思ってしまうほどの見ごたえがありました。

オランダ人で、選手と監督としてはバルセロナ(スペイン)で一時代を築いたヨハン・クライフ氏は、「美しく敗れることを恥と思うな、無様に勝つことを恥と思え」と言ったそうですが、その『攻撃の美学』を貫いたのは、トータルフットボールの母国・オランダではなく、そのクライフ氏がバルセロナで築き上げたサッカーに慣れ親しんだバルセロナの選手たちが中心だったスペイン。今大会のオランダは美しさよりも勝負にこだわったサッカーと言われましたが、その現実的なサッカーで予選から無敗26試合の記録を打ち立てながら、最後の最後で理想を貫いたスペインに敗れたのは、運命の皮肉を感じましたね。

それでも、スペインの今大会の総ゴール数はW杯歴代優勝チームの中で最小の8ゴール(7試合)。しかも、決勝トーナメント以降のスコアは4試合すべて1-0の最小得点差。優勝候補の一角として研究し尽くされた難しさもあったでしょうし、今大会はオランダだけでなく、ブラジルでさえも現実路線を打ち出したサッカーをしていたことを考えれば、一貫して理想を貫いたスペインの優勝は、ユーロの時よりも大きな価値のある優勝だと思います。

スペインやバルセロナのサッカーを見て、まるでフィールドの10人が、1本のロープでつながっているみたいだなぁと思うことがあります。
世界有数の育成システムの中で、練習だけでなく日々の生活の中でチームメイトの性格を知り、集団として波長を合わせていく、そこで培った「無意識」の間合いが最終的にはピッチ上で数センチの差を生むというのはそういうことなんでしょうね。決勝点を生んだセスク選手からイニエスタ選手への絶妙のパスは、まさにそんなイメージでした。
スペインやアフリカの経済効果など世界的にもいい影響が続きそうですし、大会運営も含めて、多くの人の記憶に残る素晴らしい大会だったんじゃないでしょうか♪

さて、今週は14日(水)から、いよいよJリーグが再会しますね!
代表選手たちの活躍も楽しみです。
川崎×大宮の試合を見に行く予定ですが、チョン・テセ選手がドイツへ、川島選手がベルギーへ、移籍が決まったフロンターレがこの局面をどう乗り切るか・・・。久しぶりのスタジアム観戦、楽しみだなぁ♪

※本コラムは毎週月曜+αの更新予定です。このコラムの感想をこちらまでお寄せください。

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