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ピッチに恋して by 松原渓

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なでしこリーグ杯準決勝
by 松原渓

今週はなでしこリーグカップ準決勝に行ってきました!
なでしこリーグの10チームが頂点を目指す、Jリーグのナビスコカップに相当する大会です。今回行われた準決勝は、浦和L×神戸INACレオネッサ(神戸)と日テレ・ベレーザ×TEPCOマリーゼ(福島)の2試合。

会場は女子サッカーの聖地・西が丘サッカー場。
開放感あふれるスタンドは真夏の日射しに照らされ、夕方とはいえ湿気を含んだ空気に汗はノンストップ。
今年の夏は私の周りでも、脱水症状になった人が思いのほか多くて驚いています。夜の観戦でも、しっかり水分を摂って、十分注意してくださいね。

さて、2試合を通じて、印象に残った選手やプレーをいくつか挙げたいと思います。
まず第一試合のレッズレディース×INAC戦。

ともに4-3-2-1で、トップに張る北本綾子選手と高瀬愛実選手の両エースが低い位置でタメを作り、中盤の出来が試合の流れを左右する展開。そんな中で開始早々にレッズがCKから北本綾子選手のゴールで先制するも、INACが立て続けに2本のロングシュートで逆転。反撃の狼煙となった田中明日菜選手のハーフウェーライン近くからの超・ロングキックは凄かったです。キーパーは完全に不意を突かれた形で動けず。高須監督(INAC)の話では、田中選手は、今シーズンに入ってからミドルシュートの練習ばかりしていたそう。サッカーの神様はちゃんと見ているんですね。なでしこリーグの試合ではピッチのサイズも男子の Jリーグと全く同じ条件で行われるため、ミドルレンジからのシュートはキック力が足りない選手もいます。そのため、中盤の選手はミドルシュートよりもギリギリまで丁寧につなごうとする傾向があるように感じますが、ポジションに限らず全体的に、田中選手のようなミドルシュートを打てる選手が増えれば理想的ですね。
試合は2-2で迎えた85分、途中出場の、ガンちゃんこと荒川恵理子選手からのパスを岩倉三恵選手が冷静に左隅に流し込み、レッズが競り勝ち決勝進出を決めました。

2試合目のベレーザ×マリーゼ戦は、撃ち合いとなった1試合目とは対照的に、スコアはほとんど動かず。目指すサッカーについて、「1-0や2-1という緊張感のある試合をしたい」と話したのは、ベレーザの新監督に就任した森監督。攻撃を追求するサッカーから結果重視のサッカーへ。分かりやすく言えば、スペイン的なサッカーからイタリア的なサッカーへ?バランスの重心を移すことになるのでしょうか。ただ、この試合では新体制で日が浅いこともあり、選手達にもまだ判断に迷いが見られました。加えて、マリーゼ戦は昨シーズンから相性が悪い相手で、なかなか勝てない「鬼門」。
実際、マリーゼは連動の質と運動量でベレーザを上回っていました。中盤が流動的にポジションを変えて味方を追い越し、なでしこジャパンでもスタメンとしてサイドのチャンスメイクを担う鮫島彩選手にボールが入った時が攻撃のスイッチ。しかし、同じく4人の代表選手が並ぶベレーザの最終ラインを突破することはできず。近賀選手や岩清水選手とのレベルの高い1対1の駆け引きは見ごたえがありました。

そんな中で膠着を打破し、試合を決めたのは、一度は引退を表明しながら、今シーズン劇的な復帰を遂げた伊藤香菜子選手。
天才肌のレフティーで、相手にとって一番嫌なスペースに落ちるボールの軌道は、伊藤選手の左足でしか描けない美しさがあります。決勝点は直接FKからでした。内側にカーブがかかったボールは、ペナルティエリアの右手前から、ゴールの左隅へと一直線に吸い込まれて行きました。

この結果、決勝はベレーザと浦和という、おなじみのライバル・女王対決になりました!
3年前の前回大会と同じ決勝の顔合せです。決勝は22日。同日開催のなでしこオールスターに、この2チームから出場できないのは残念ですが、裏を返せばより多くの選手を見ることができるわけです♪試合前には会場横のブースで縁日が開かれ、選手達とも身近に触れ合うこともできるそう。
夏休みの思い出に、ぜひ皆さんも会場に足を運んでみてくださいね☆

※本コラムは毎週月曜+αの更新予定です。このコラムの感想をこちらまでお寄せください。

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