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ピッチに恋して by 松原渓

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ナビスコ杯・F東京対清水
by 松原渓

FC東京×清水エスパルス
@味の素スタジアム・・・
12510人

この試合から遡ること2日前に、紆余曲折を経て日本代表監督就任が決まったばかりのアルベルト・ザッケローニ監督が来場していたこともあり、プレス席は記者やメディア関係者でいっぱい。カメラは70台と異例の多さでした。メディアルームも新生日本代表の指揮官がどの選手を軸に選ぶのか?どんなタイプの選手が好きなのか?という話題で持ちきりでした。

渦中の人、ザッケローニ監督自身は過去の指導歴で日本人選手との接点は少なく、この試合で注目されていたのが、その数少ない一人で、トリノ時代に指導を受けた大黒将志選手でしたが……。
その大黒選手はいいところを見せられないまま後半に交代。周りが大黒選手を生かせなかったというのもあると思いますが…FC東京はリーグの不調が少なからず影響しているように見えました。一方、リーグでは3位と好調のエスパルス。決定的な差はリスクのかけ方や個々のプレーの選択に表れていました。

暑さとハードスケジュールが重なっていることもあるのでしょう、前半は両チームとも守備重視で効果的な攻めを見せられない中、ミドルレンジから苦し紛れのシュートも目立ちました。しかし、何度か鋭いカウンターを見せていたエスパルスは後半22分、岡崎選手の貴重な先制アウエーゴール!ヘディングで決めたゴールはザッケローニ監督への申し分ないアピール弾。本田圭佑選手は自分で言っていましたが、岡崎選手も間違いなく、「持っている」選手ですね。最近はヘディング以外でも目を奪われるようなビューティフルゴールも多く、ワールドカップを機に一皮むけた印象です。攻守の要である小野伸二選手の欠場の影響は感じつつも、上位チームの勢いがありました。
サポーターも気合十分。準々決勝第一戦で、決勝トーナメントは始まったばかりにも関わらず、アウェイ席には大勢のサポーターの姿がありました。アウェイのサポーター数はそれだけ、魅力的なサッカーを見せている勲章でもありますね。エスパルスの応援は有名なロコロコ♪や、オーレーオーレーオレオレ!♪など、懐かしさがこみ上げてくるような音も多くて好き。ドン・ドンではなく、ドドドドドドドンという断続的な太鼓の音も、耳に心地よく入ってきます。

しかし意地を見せたい前回王者は後半33分、平山相太選手を投入した直後のCKで、ボランチに入っていた森重選手が打点の高いヘディングですかさず同点に!身長があってセットプレー時のゴール能力が高い森重選手は、CBもボランチもできるユーティリティープレイヤーですし、ポスト闘莉王選手として日本代表に推したい存在です。さらにFC東京でもう一人印象に残ったのが、右サイドで先発した鈴木達也選手。いつもはスーパーサブとして後半からの出場が多い鈴木選手は、チームを陰で支えるベテラン。スピードに乗ったドリブルや、キレのある動きのメリハリなど、石川選手とはタイプは違うものの、プレーにどこか清々しさを感じさせるところは共通している気がします。

このゴールでそれまで元気のなかったFC東京ゴール裏が元気を取り戻し、俺たちの東京~♪と応援も一気に大音量に。

ここから残り10分でどちらも2点目を奪いに行く姿勢を前面に押し出して試合は一気に面白くなりましたが、スコアは変わらず1-1で終了。先日、私がアシスタントとして出演しているサッカー番組『プロサッカーニュース(フジテレビONE/TWO)』でナビスコカップ優勝予想をしたのですが、私はFC東京がリーグでの不調から抜け出して上昇線を描き、ナビスコカップ2連覇と予想しました。連敗と連勝は、実は紙一重だと思うんです。ポイントは、どこでそのスイッチをプラスに入れ替えるか。FC東京、そろそろだと思います。第2戦は9/8。当日の新聞は前日の代表戦で賑わいそうですが、この試合も見逃せません。

そして、いよいよ始動したザック・ジャパン。先日の初陣は代行監督・原ジャパンになりましたが、会場には6万人を超えるお客さんが詰めかけ、私もその一人としてスタンドから新生日本代表の船出を見届けました。結果は1-0で勝利!押し込まれる時間帯も長く、個の能力と連携を割合にすると8:2ぐらいで、まだまだこれからという感じはしましたが、それでも長友選手や川島選手など、海外に活躍の場を移した選手達を中心に大きな伸びしろを感じさせてくれる戦いでした。
来週は第2戦グアテマラ戦が行われますが、この2試合で新生日本代表の輪郭は見えてくるのでしょうか。結果はさておきザッケローニ監督へのアピール合戦になる可能性もありますが、国内組では誰が軸になっていくのか、という部分は特に注目したいと思います☆

※本コラムは毎週月曜+αの更新予定です。このコラムの感想をこちらまでお寄せください。

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