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ピッチに恋して by 松原渓

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新生日本代表
by 松原渓

今週は、今月4日についに始動した新生日本代表について☆

パラグアイ戦(1-0)をスタジアムで見て、W杯で敗れた教訓を生かしつつもより攻撃的な姿勢で見事リベンジ。世代交代も印象づけて新たなチームの方向性を感じさせた新生日本代表の船出は希望を感じさせてくれるものでしたね。W杯では攻守に欠かせない存在感を示した長谷部選手や闘莉王選手を欠きましたが、それを補ったのが攻撃陣の粘りと、W杯をしのぐビッグセーブを連発した川島選手。

そして、グアテマラ戦(2-1)では、DF中澤選手(横浜M)、MF松井選手(トム)、MF遠藤選手(G大阪)、MF今野選手(F東京)らワールドカップ組が一気に離脱した中、安定感はやや失われたものの、同時に新たな選手達の可能性も見えました。特に、海外組の活躍も勝利の原動力だったように思います。

森本選手(カターニャ)は2ゴールで新エースの存在感を見せてくれましたし、長友選手(チェゼーナ)は持ち味の運動量が(90分の中で)さらに増えた気がします。対面の相手を封じるエースキラーぶりを発揮しつつ、左サイドのオーバーラップが日本の決定機を演出するスイッチになっていました。そして特に印象的だったのが本田選手と香川選手の新ホットライン!ザッケローニ監督も見守る中、個人のアピールも先行してしまいそうな中で、2人のプレーからは、お互いへのリスペクトと、チームを引っ張る責任感が感じられて良かったです。
そして、攻撃陣の思い切りの良いプレーを引きだしたのが、中盤でタクトを振った中村憲剛選手だったように思います。グアテマラ戦は途中出場でしたが、空気は明らかに変わりました。
フロンターレの強力な攻撃陣のバラエティ豊かな個性を引き出してきた“猛獣使い”(!?)の本領発揮は、4年後のブラジルになるのかもしれません。
個人的に期待しているのは乾選手(セレッソ)ですが、グアテマラ戦に関しては、技術は申し分なくても、前述の4人に比べると代表経験が少ないことがプレーの選択や周囲との連携においても壁になっているように思いました。
とはいえ、今後も期待は変わりません。香川-本田-乾-森本選手の攻撃に、中盤の底で中村憲剛選手が絡む攻撃は、ザッケローニ新監督の下でもぜひ見てみたいですね☆

ザッケローニ監督の初陣は10月8日の国際親善試合、キリンチャレンジカップ(埼玉スタジアム)。
長引いた監督交渉が様々な議論を巻き起こしましたが、日本代表監督を務めた歴代の外国人監督の中で、ジーコ氏のように選手として実績を残した監督ではなく、あるいはオフト氏、ファルカン氏、オシム氏など日本と何かしらの接点があったわけでもなく、セリエAのビッグクラブを歴任し、結果も残した世界的知名度のある監督は日本にとって初めて。監督交渉は紆余曲折あったものの、最後に嬉しいサプライズ、と言ったところでしょうか。原博実強化担当技術委員長の人脈と粘り強い交渉が功を奏した結果だと思います。
ただ、ザッケローニ監督は2年契約で2年間延長のオプションつき、という条件だそうですね。一人の監督と長期契約を結ぶのは結果が出なかったときにリスクは高いとしても、ザッケローニさん自身の希望で、当初は1年契約を希望していたとか。海外の有力クラブから監督のオファーがあればいつでも、という保険の意味も大きそうですが……2年後というと、2012年ロンドン五輪(7月~)が終わった後に契約切れで、2013年から始まるW杯の最終予選には間に合いません。また、契約が満了する10月頃は、欧州では新シーズンが始まっていることもあり、ザッケローニ監督自身、契約にかなりこだわったという噂を聞くと複雑ですが…高い年俸も含めて、結果とともに2年間で日本サッカーに新たな哲学をしっかりと根付かせてもらいたいですね。

10月8日のアルゼンチン戦は、FWメッシ選手(バルセロナ)も出場濃厚ということで、埼玉スタジアムは大いに沸きそうですね!W杯はベスト8止まりでしたが、先日行われた親善試合でW杯王者のスペインに4-1の勝利。監督がマラドーナ氏から暫定監督を務めるセルヒオ・バティスタ氏に変わり、チームの雰囲気も良さそうです。バティスタ監督は北京五輪を率いて金メダルを獲得。メッシ選手をはじめ選手からも支持の厚い監督で、スペイン戦の勝利もカンフル剤としての監督交代という一時的なものでなく、しっかりと勝利の哲学を持ったチームで臨んでくることははっきりしていますから、日本にとってはこれ以上ないマッチメイクだと思います。これだけのマッチメイクが可能になったことも、“ザック効果”の表れと言えるのかも?
メッシ・イグアイン・テベス・アグエロ……欧州のビッグクラブで活躍するスター選手達の一瞬の爆発的なスピードアップからの一斉カウンター&シュートの精度の高さをどこまで封じられるか、1対1でどこまでやりあえるか…ピッチに立つ選手にとっても間違いなく貴重な経験になりそうですね。
この試合ではザッケローニ監督が考える、DFラインの基本構想にも当然注目してます!

さて、先月開幕した欧州リーグでは新・海外組の活躍が目覚ましいですが、女子の海外組でも、嬉しいニュースが☆
サッカーのドイツ女子1部リーグの昨季覇者ポツダムでは、女子日本代表FW永里優季選手が3試合連続ゴール!女子海外組では澤穂希選手以外に前例がない中、彼女たちの適応能力の高さには驚かされるばかりですが、永里選手のブログを見れば、その努力家な一面がよく伝わってきます。同じくドイツでは安藤梢選手(デュイスブルク)も主力として活躍中。男子も女子も、最近の海外組の成功を見ていると、海外に出ることが成功につながるというような錯覚をしてしまいがちですが、大事なのは行って何をするか、なのですよね。そういう姿勢に影響を受ける若手選手も増えてくるでしょうし、何より、日本サッカーにとって明るい話題が続いていることは嬉しい限りですね♪♪

※本コラムは毎週月曜+αの更新予定です。このコラムの感想をこちらまでお寄せください。

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