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ブラジルサッカー通信 by 藤原清美

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U-15日本ブラジル友好カップ、日本勢5チーム、決勝トーナメント出場ならず
by 藤原清美

 リオデジャネイロにあるジーコサッカーセンターで、8月13日から開催されていた第14回U-15日本ブラジル友好カップ。31日の決勝で、フラメンゴが1-0でフルミネンセを下し、優勝を決めた。

 この大会は、ジーコが発案し、毎年主催しているもの。ブラジル全国のビッグクラブが集う、U-15のカテゴリーとしては、国内最大規模の公式大会だ。今年で第14回と、歴史もあることから、若手の登竜門となっている。今年のU-17W杯のブラジル代表のうち9人、日本代表のうち2人が、この大会出場者だった。下部年代代表関係者や、ビッグクラブのスカウト、代理人などが視察に詰めかけるため、チームとして優勝を目指すのはもちろん、選手個々も、目の色を変えて戦う。

 そんな真剣勝負の場に、今年も日本から、Jリーグ選抜、鹿島アントラーズの下部組織であるアントラーズ、ノルテ、つくばの3チーム、市川トレセンの5チームが参加した。しかし、大会史上初となる日本チームの決勝トーナメント進出はならなかった。

 試合を観察したブラジル人の指導者たちはみんな、日本の選手たちの技術力が年々アップしていくことを称えてくれた。一方で、今年もまた「日本人はもっと自信を持たなくては。もっと自分を信じなければ」という感想も多かった。シュートのチャンスでパスを出してしまう、といった場面は、その代表的な例だ。

 日本の指導者には、選手時代にブラジル人とともにプレーし、対戦してきた元Jリーガーたちもいる。そして、やはり“意識”に関する課題を、それぞれ口にしていた。

 鹿島アントラーズの長谷川祥之監督は「僕の現役時代も今も変わらないのは、戦う気持ちがブラジルの方が強いということ。球際一つにしても、絶対に勝つ、という」。それを指導者としてあらためて強く受け止め、子供たちに伝えたいと語っていた。

 また、Jリーグ選抜の松橋力蔵監督は「日本は理屈で考え過ぎる。ブラジルの選手はパッとボールを持ったときに、理屈じゃなく、ゴールに向かうプレーが常にできる。“こうなったら、こうしましょう”というのはあるかもしれないけど、僕らが見て“あれ? そうしないで、自分でやっちゃうんだ”っていう」と、柔軟性を再認識していた。

 ノルテの賀谷英司監督は「ブラジルのサッカーは目的がはっきりしているんです。ボールを前に運んで、ゴールを目指していく、と。日本の今の中学生年代というのは、パスをつなぎながらゴールを目指すサッカー。もう少しゴールに直結するプレーというのを考えたい」と、今後の指導法に考えを巡らせていた。

 ジーコは今年、イラク代表監督に就任したため、大会後半には立ち会えなかったが、イラクに出発する前日、育成におけるU-15年代の重要性と、大会のレベルの高さを語り、日本の少年たちには、その中で多くの経験を得て欲しいと、メッセージを残してくれた。その願い通り、選手も指導者も多くの貴重な経験をした。それを活かしていくのは、大会後のこれからが勝負だ。

[写真]Jリーグ選抜、ハーフタイム

※本コラムは不定期更新です。このコラムの感想をこちらまでお寄せください。

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