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ブラジルサッカー通信 by 藤原清美

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ブラジル、アルゼンチンとの交流戦に引き分け
by 藤原清美

 ブラジルでも、フェイントには、そのスタイルによって、それぞれ名前がついている。ドリブルしながらボールを左右にまたぐ「ペダラーダ」。ボールを浮かせて、相手の頭上を越えさせて抜く「シャペウ」。そして今、話題沸騰のフェイントが「ランブレッタ」だ。それを披露したのは、インテルナシオナウに所属する22歳のセンターフォワード、レアンドロ・ダミアン。ブラジル代表での試合でのことだった。

 今年から、ブラジル対アルゼンチンの「スーペルクラシコ・ダス・アメリカス」が始まった。この「スーペルクラシコ」とは、両国の間で、かつてホーム&アウェーで毎年開催されていた交流戦。1914年からスタートし、ブラジルがジーコを、アルゼンチンがケンペスを擁した1976年まで続いたものの、その後中断していた大会が、35年ぶりに再スタートしたのだ。

 ルールは、両国とも、国内でプレーする選手だけを招集して代表を構成すること。ブラジルは、マノ・メネーゼス監督のもと、中央にレアンドロ・ダミアンを、両サイドにロナウジーニョ(フラメンゴ)とネイマール(サントス)を置いた3トップで臨んだ。

 ブラジルのスタメンは、11人中4人がフル代表初招集、7人が初スタメンという顔ぶれ。しかも、ボールを使った練習は1回しかできないスケジュールで臨み、コンビネーション不足が響いた。前半、ロナウジーニョが徹底マークされる中、意欲的に攻撃を仕掛けるアルゼンチンに守備陣が慌てる場面が目立った。後半、ネイマールを中心に攻撃のリズムを変えることで、ブラジル優位の展開となったものの、結局ゴールを決めることができず、無得点引き分けに終わった。

 そんな中でも、2度のシュートがバーを叩き、この試合で「最も危険な男」となったのがレアンドロ・ダミアン。そのうちの1回が、冒頭のフェイント「ランブレッタ」を駆使したものだった。ゴール右サイドでボールを受けると、それを両足のかかとで挟み、ポーンと自分の背中越しに高く浮かせて、相手DFの頭上を越えさせた。それが「ランブレッタ」。レアンドロ・ダミアンの場合、さらに相手DFの背後、ボールが地面でワンバウンドしたところをダイレクトにシュート。それも、GKの頭上を越える、ふわりと浮かせたボールだった。惜しくもバーを叩いたものの、現場では「何をしたんだ?」と、盛り上がった。

 抜かれたアルゼンチン選手まで「最初は彼を殺したくなった。でも、その後、彼に喝さいを贈りたくなった」と振り返ったプレー。レアンドロ・ダミアン自身は「僕らの方がより良いチャンスをつくれたのにゴールで貢献できなかったのが残念。第2戦では、すべてを捧げてゴールを決めたい」と、ひたすら次戦への意欲に燃えていたのが、さらに頼もしかった。

[写真]レアンドロ・ダミアン、アルゼンチン遠征中のミニ記者会見で話す

※本コラムは不定期更新です。このコラムの感想をこちらまでお寄せください。

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