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ブラジルサッカー通信 by 藤原清美

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ジョルジーニョ監督、ブラジルで快進撃
by 藤原清美

 2010年ワールドカップまでの4年間、ブラジル代表でドゥンガ監督のアシスタントコーチを務めていたジョルジーニョが、今、ブラジルで監督として快進撃を見せている。現役時代、セレソンで活躍し、鹿島アントラーズでも一時代を築いた、あのジョルジーニョだ。

 昨年は2部降格圏に苦しむゴイアスを、シーズン半ばで引き受けたものの、救うことができずに、志半ばで解任された。そして今年、2年続けて2部で戦い、今季のブラジル全国選手権で1部に返り咲いたばかりの、サンタカタリーナ州のフィゲイレンセに就任した。

 当初は「1年で2部に戻らないこと」が目標のチームだった。ジョルジーニョいわく「弱小チーム」が、開幕序盤から20チーム中、上位10位をキープ、「サプライズ」と呼ばれるようになった。さらに、シーズン後半からは、破竹の勢いで現在4位。上位5位のリベルタドーレス杯出場枠にいる。

 セレソンのスタッフまで務めた彼が「弱小チーム」を手がけることにしたのは、ブラジルでの経験を積むことの重要性を考えたからだ。そんな彼に、フィゲイレンセ躍進の秘訣を聞いた。

「僕らにも能力の高い選手たちがいる。でも、ビッグネームと契約できるクラブとは、比較にならない。僕らには限界があるんだ。だからこそ、組織プレーを徹底してきた。僕らは大きく蹴り出して終わりじゃないし、ファウルもしない。いつでもパスを回して、相手にボールを奪われずに攻撃を組み立てるための練習を積んでいる」

 現状を認識し、手持ちの選手を分析した上でのチームづくり。それで、強豪とも対等に渡り合ってきた。

 今日この後、6位フラメンゴとの上位対決がある。勝てば、優勝争いも夢ではない。しかし、ジョルジーニョは言う。

「それが一番危ないんだよ。僕らのような弱小チームの最大の問題は、足が宙に浮いて、第一の目標を達成する前に、別の目標を考え始めることだ。僕らはダークホースからサプライズになった。だから、サプライズとして戦い続けるべきだ。真面目に仕事を続け、これから直面するであろう困難に立ち向かうために」

 フィゲイレンセに全力投球のジョルジーニョだが、将来的にはさまざまな夢がある。Jリーグのクラブで日本サッカーを再確認し、その後で日本代表を手がけたい。最終的にはブラジル代表を、監督として指揮したい。

 最後に、彼がいつも言う言葉を紹介しよう。

「だれも僕を信じないとしても、僕が自分を信じなかったら、夢なんか絶対に叶わない。僕は、自分を信じている。夢を叶えられる」

 そして今、夢に向けて、大きく前進している。

[写真]ジョルジーニョ、フィゲイレンセのホームタウン、フロリアノーポリスの自宅で

※本コラムは不定期更新です。このコラムの感想をこちらまでお寄せください。

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