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セルジオ越後の越後録 by セルジオ越後

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あの起用法を続けるんだったら、采配よりも選手が怪我しないことを祈るだけ
by セルジオ越後

 日本代表は、勝てばワールドカップ出場の決まるヨルダン戦を1-2で落とした。本田、長友がいないからということではなく、日本はアウェーでずっとこんな試合をしていたことをみんな忘れていた。オマーンとの試合は後半44分の決勝点で何とか勝った試合だったし、オーストラリアとの試合も引き分けている。アジアカップで優勝して、ワールドカップ予選でも首位にいるからみんな日本が強いと錯覚してしまっていた。周りのチームが勝ったり、負けたりしていたから独走しているだけ。アジアの横綱じゃないし、大関くらいのところだろう。大関も優勝することくらいあるよ。もうひと踏ん張りしなければ、横綱になれない。それが日本のレベルだ。

 まだまだ横綱相撲をとるほど日本は強くない。必死にやらなければ勝てない。今回の試合のヨルダンには崖っぷちの必死さがあった。やっぱり必死さがないと、入るシュートも入らない。日本はゴールが見えてもパス、パスが続いて、がむしゃらにゴールへ向かうような姿勢がなかった。ゴールが見えたら打つというようになったのは0-2になってから。先制されることなんて、ミーティングでも想定していなかったんじゃないかな。失点してすぐにバタバタしてしまった。

 言い訳することのできない敗戦だ。試合後にメディアは選手の目にレーザービームを当てられたことを熱心に報道していたけれど、川島も遠藤も試合中はレーザービームについて騒いでいないし、試合後も影響はなかったと言っている。また、グラウンドがボコボコだったと言うメディアもあるけれど、これまでも日本はあんなグラウンドで試合をしているし、「満員のヨルダンサポーターがプレッシャーになった」なんて何と比較しているんだろう。埼玉スタジアムの日本サポーターの方がよっぽど数が多いし、相手にプレッシャーをかけていると思う。格下との親善試合を心地いい日本でやって、勝って強いと勘違いしてしまっている。マスコミも海外組を神様のように扱っていたからああなるのは当たり前。浮いた感じの試合が続いていたけれど、久々にビクビクしながらオーストラリア戦(6月)を迎えることになるね。

 ザッケローニ監督は今回、キャスティングを含めて采配ミスだった。今までは良くなくても勝っていたから問題にならなかったけれど、もっと早く問題になるべきだった。メンバーを固定して、調子ではなく、彼の中の序列で先発を決めてしてしまう。Jリーグでは選んでいる選手のコンディションだけ見て、新たな発見をする作業をしていない。彼はクラブチームでの経験しかないけれど、クラブチームでもその週の調子や相手を見て選手の配置を決めるはずだ。セレッソの柿谷なんて調子いいのに、ドイツに移籍しないと呼んでもらえないんじゃなかな。あの起用法を続けるんだったら、采配よりも選手が怪我しないことを祈るだけだよ。

 ヨルダンとの試合ではドリブラーにやられたけれど、親善試合で戦ったラトビア、カナダにはあんなドリブラーはいなかったし、一方でカナダ戦のビデオを見ているかのようにセットプレーから失点した。対策もできていないし、課題の進歩もない。内容の悪い試合が続いているけれど、もしもブラジルだったらオマーン戦の時点で叩かれている。結果はもちろん、内容求めなかったら成長しないよ。

 日本のメディアは負けた時しか言わない。今回、メディアから指摘されたことをザッケローニ監督がどう受け止めて、どう反省するか。コンフェデまでは大きく変わることはないと思うけれど、コンフェデの内容が悪かったら大変だ。日本のメディアは手のひらを返すと怖い。次の試合で勝てなかったらコンフェデも危ないし、監督の評価も一気にひっくり返る可能性がある。

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