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セルジオ越後の越後録 by セルジオ越後

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オーストラリア戦、ザックが持っているのか、持っていないのかが分かる
by セルジオ越後

 日本代表はブルガリア代表に0-2で負けた。これで2連敗。もうひとつ負けたら外国だったら大騒ぎだよ。「世界では戦えない」。長友が試合後に言ったことがすべてだね。これが本来の力。ワールドカップ予選はスタートのオマーン戦やヨルダン戦で大量点を取ったけれど、その後はギリギリの試合の連続で何とか勝ち点を取っている状況だった。アジアの国々と比べても大きな差はなかった。ただ、あんな負け方しているのにサポーターは拍手。大スターを近くで見たら満足? ブーイングくらいしろよ、って言いたい。もっと選手たちを奮い立たせないといけない。コンサート会場から「戦う会場」にしなければいけないよ。

 長友のことばどおり、日本は世界では戦えない。レベルアップしていない。ワールドカップまで1年になって、世界で戦えないことに気づいた。ザッケローニ監督は、もっと修正すれば勝てると思っている。でもそんなに甘いものではない。質が上がっていれば、3バックだろうが4バックだろうが、どのシステムでもやれるはず。それができていないのはチームが上手く行っていない証拠だ。ここへ来て方向性が見つからなくなっている。

 あと、ブルガリアとの試合を見て感じたのは、ボール際の激しさ、勝負の勘とか、選手のひらめきで負けていること。そこに差があった。相手はボール際で体張ったり、キープ、ドリブルでも力があった。日本はパスワークで接触を減らそうとしていたけれど、中途半端なバルササッカーをしている感じがするよ。日本人選手が以前よりも多く、ヨーロッパでプレーしていることは間違いない。でも彼らはクラブで主力ではない。あくまでピアノを担ぐ人であって、ピアノを引く人ではない。マスコミはスターのように扱うけれど、そんなことはない。今回も自分で打開できる選手がいなかったし、勝たせる点を取る選手がいなかった。

 そして失点はまたセットプレー。これだけ続くと選手ではなく、監督の問題だよ。3バックも失敗して、ザッケローニ監督は在庫の少なさをまた印象づけた。監督は1人浮いてしまって、もう裸の王様になってしまっている。チームの底上げもできていない。ずっと固定メンバーでやってきて、入れ替わりを激しくすることができなかった。今回もクラブで良くない選手を使って工藤とか、東とか何のために呼んだんだろう。今の代表は海外組プラス何人かだけでやっている。世界で日本だけが監督の名前をつけちゃうけれど、あれはザックジャパンであって、日本代表ではないよ。

 オーストラリアの実力は多分、ブルガリアよりも下。フィジカルは上かもしれないけれど、ドリブルや突破力はブルガリアの方が持っている。でも間違いなく必死で戦ってくる相手に対して、日本はチャレンジャーという気持ちで行けるか。ここでしっかり勝って心配を消すことができるか。オーストラリアに勝つか、負けるか。これでザックが持っているのか、持っていないのかが分かるよ。

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