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セルジオ越後の越後録 by セルジオ越後

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本田のミラン移籍、ジャパンマネーのターゲットになってはいけない
by セルジオ越後

 本田のミラン移籍は各メディアで大きく報じられていた。ただ、まだ彼はプレーしていない。ニュースとしては凄く大きいけれど、プレーを見てから評価しても遅くはないんじゃないかな。

 ミランは現在いい状態ではない。本田が出場機会を得て活躍する可能性は十分あると思う。今のセリエAは高いレベルではないし、チャンスはあるだろう。求められるのはゴール。ビッグクラブでコンスタントに試合に出ている日本人は長友くらいだから、ゴールを決めて期待に応えてもらいたいね。

 ただ、あくまでも本田はゼロ円での移籍だ。去年の夏にはまだCSKAモスクワとの契約が残っていたから、移籍金が発生する移籍はすることができず、ゼロ円になる冬まで待たれてから、移籍が実現した。実力があれば、ネイマールのようにお金で迎えられるし、それがプロの評価。だから現在の本田の価値は決して高くない。その点は日本であまり報じられていないけれど、お金が発生した時の価値観で選手は評価すべきだ。

 スカパーは本田の記者会見を生中継していたし、今後のミラン戦の全試合を生中継するという。もしかしたら、本田の移籍については放映権料とかスカパーの後押しがあったかもしれない。昔、カズがセリエAへ移籍した時は6億円のスポンサーを持っていったと言われている。これではジェノアは断れないだろう。カズはケガというアクシデントもあって活躍できなかったけれど、本田はお金を持ってきたからではなく、プレーで評価を勝ち取らなければいけない。

 日本のマスコミは、日本のサッカーがまるでヨーロッパと同等であるかのような報道をするけれど、それは真実ではない。ヨーロッパのクラブが日本人選手を獲る目的は実力以上にスポンサーマネーやユニフォームの売上が目的になっている。これはサッカーだけではないよ。国土交通省は海外からの観光客増加を狙っているけれど、サッカーにおいては日本人が海外へサッカーを見に行って、そこでお金を落とすというスポーツツーリズム。ジャパンマネーのターゲットになってはいけない。本田には“サクラ”になってほしくない。後押しもあって、チャンスをもらうことができた。あとはピッチで実行しなければいけない。数字残さなかったらどうしようもない。ゼロ円からどう積み上げていくか。ここでコケたら、ワールドカップまでニュースがなくなってしまうからね。

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