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楓の「弟」という表現に、功太の心は完全に折れた。
「だから、弟と妹がつきあうのってちょっとやでしょう」
「そりゃそうですけど、私、功太先輩と血縁関係ないですよ」
「ハハハ、そりゃそうだ」
「ねぇねぇ、多村先生のこと好きな人はいないの」
このあと、女子たちがどんな会話をしたのか、功太の耳には入ってこなかった。
「え~、私はムリ。あのヒゲが……」
「私はアリですよ」
「きゃ~、いやだ、それ」
功太が放心状態のままロビーに戻ると、木村と中尾が待っていた。
「どうした、功太? その様子だと、おまえも告白する前に撃沈か」
「俺はどうやら、弟だったらしい」
木村と中尾は「なんだ、それ」と言いながら、笑った。
「駄目だな、俺たちは……」
「ああ」
「行こうか」
「うん」
3人は外に飛び出した。深夜、誰もいないグラウンドへ。
「うお~~っ」
木村は叫び声をあげながら、走った。中尾も、そして功太も同じように奇声を発しながら芝を蹴っていく。
功太は落ち込んではいたが、こいつらと一緒にいて本当に良かったと思った。
※本連載は毎週月・水・金に配信予定です。
女子W杯でMVP&得点王に輝いたなでしこジャパンの澤穂希選手をモデルに、国民的サッカー漫画『キャプテン翼』の作者である高橋陽一氏が書き下ろした青春サッカー小説『サッカー少女 楓』。各メディアに引っ張りだこの話題作を全文まとめて読みたい方はコチラ(amazon.jp)からお買い求め下さい。
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