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メンバーたちは砂浜に足をとられながら、多村のもとへ走っていく。
「ほんと、すまなかったな、みんな。俺のせいで、おまえらを勝たせてやれなくて……」
ずっと涙をこらえていたメンバーたちは、多村を見て泣き崩れた。
「俺の役目は終わった」
多村がひと呼吸おいてはきだした言葉に、楓たちはどきっとする。だが、そのあとで多村は「もう、おまえらを見捨てることはないからな」と言って笑った。
「先生……」
「だから、一緒にがんばろう。今度こそ、鶴見女学館を倒して女子サッカー部が全国大会に行くんだ」
「はい、先生」
楓たちは大きくうなずいた。
迎えた全国高校サッカー選手権。湘南平の指揮をとったのは多村と同級生のOB中野茂道だった。
病院の許可を得た向井は、総監督としてベンチに座った。湘南平は初戦を突破したが、2回戦で姿を消した。国立競技場で試合ができるベスト4に残るには、まだまだ力が足りなかった。
見城と島村の高校サッカーは終わった。
「あとはまかせたぞ、室井」
「はいっ、僕らの代が、向井先生を国立へ連れて行きます」
キャプテンマークを託された功太は、力強い言葉で見城らを送り出した。
※本連載は毎週月・水・金に配信予定です。
女子W杯でMVP&得点王に輝いたなでしこジャパンの澤穂希選手をモデルに、国民的サッカー漫画『キャプテン翼』の作者である高橋陽一氏が書き下ろした青春サッカー小説『サッカー少女 楓』。各メディアに引っ張りだこの話題作を全文まとめて読みたい方はコチラ(amazon.jp)からお買い求め下さい。
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