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サッカー少女 楓

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 女子のミーティングが終わると、サキは功太のもとを訪ねた。

「功太先輩、相談があるんですけど」

 声をかけられた功太は、動揺を必死で隠した。去年の夏合宿でサキの気持ちを知って以来、逆にサキのことを妙な形で意識していたからだ。

「な、な、なんだ?」

「明日、鶴見女学館と決勝なんです」

「ああ、俺も応援に行くつもりだからがんばれよ」

「はい、でも、不安があるっていうか」

「不安なのは、みんな同じだよ。俺だって、試合前はいつも不安だし、楓や永里だって対戦相手の選手だって」

「それはわかってるんですけど、トラウマっていうか、他のチームとやるときは大丈夫なんですよ。でも、鶴見が相手だとどうしても、この前のことを思い出しちゃうんです。あの試合、私のパスミスが原因で負けたんです。楓さんや零さんを助けたい、チームの力になりたいって気持ちが強くなりすぎて、逆に固くなってしまうんです」

「だったらさ、こう考えるのはどうかな」

 落ち着きを取り戻した功太は、自分の体験を話した。


※本連載は毎週月・水・金に配信予定です。
女子W杯でMVP&得点王に輝いたなでしこジャパンの澤穂希選手をモデルに、国民的サッカー漫画『キャプテン翼』の作者である高橋陽一氏が書き下ろした青春サッカー小説『サッカー少女 楓』。各メディアに引っ張りだこの話題作を全文まとめて読みたい方はコチラ(amazon.jp)からお買い求め下さい。
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