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先制したのは、鶴見女学館だった。
決勝戦がキックオフされてすぐ、鶴見女学館のフォワードが放ったロングシュートが綾乃の右足に当たり、コースを変えてそのままゴールネットを揺らしたのだ。
湘南平にとっては不運なスタートだったが、まだ試合は始まったばかりだ。
楓はすぐにボールを拾うと、肩を落とす綾乃に声をかけた。
「試合は始まったばかりよ。大丈夫、今の私たちなら、必ず逆転できるわ」
センターサークルに戻ってボールをリセットしたとき、サキが「先輩、ぜんぜん大丈夫ですよ」と声をかけてきた。
「10対0で勝つ試合が、10対1になっただけですから」
「10対0ってなに? 雨宮……」
「まあまあ、先輩。とにかく大丈夫ですから」
湘南平の反撃はすさまじかった。
麻美や智恵が、粘り強いマークで相手ボールを次々と奪う。楓とサキが息のあったパスワークで中盤を支配した。楓のスルーパスに反応した零が、鶴見女学館のゴールを何度も脅かしていく。
ボール支配率は、湘南平が圧倒していた。
そして前半の8分、サキのパスをうけた楓が、ドリブルで持ち込んでペナルティエリアの外から思い切りシュートを放った。
ドライブのかかったシュートは、右に鋭くカーブしながら、ゴールの直前ですとんと落ちた。あわてたゴールキーパーが必死に手を伸ばしたが、ボールはその手をかすめ、ゴールネットを揺らした。
※本連載は毎週月・水・金に配信予定です。
女子W杯でMVP&得点王に輝いたなでしこジャパンの澤穂希選手をモデルに、国民的サッカー漫画『キャプテン翼』の作者である高橋陽一氏が書き下ろした青春サッカー小説『サッカー少女 楓』。各メディアに引っ張りだこの話題作を全文まとめて読みたい方はコチラ(amazon.jp)からお買い求め下さい。
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