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そのシーンは、楓の記憶にしっかりと刻まれている。
2人は小学3年生だった。
「ボクはJリーガーになりたいです」
功太がそう答えたあと、楓は功太よりも大きな声でこう言ったのだ。
「私は、なでしこジャパンに入って、オリンピックで金メダルをとりたいです」
功太は「ほんと、あのときは驚いたよ」と言って、小さな笑みを浮かべた。
「え、なんで? 他にもワールドカップで優勝するとか、バルセロナかACミランでプレーしたいとか言ってた子がいたじゃない。なでしこジャパンに入って金メダルとることが、そんなに驚くことかな?」
「だって俺、それまでおまえのこと、男だって思ってたもん」
楓は、走り去っていく功太の背中に砂を投げつけた。そして複雑な気持ちを抱えたまま家に帰り、ドイツへの旅支度を始めたのだ。
「どうしたの楓?」
零の声で、楓は我に返った。
「いや、なんでもない。なんで私、こんなときに功太のこと思い出してるんだろ。今日も思い切っていこう、零!!」
初戦の相手はニュージーランドだった。
ドイツの曇り空に、ホイッスルが響く。零からパスを受けた楓は、まっすぐなドリブルでピッチを駆け上がった。
※本連載は毎週月・水・金に配信予定です。
女子W杯でMVP&得点王に輝いたなでしこジャパンの澤穂希選手をモデルに、国民的サッカー漫画『キャプテン翼』の作者である高橋陽一氏が書き下ろした青春サッカー小説『サッカー少女 楓』。各メディアに引っ張りだこの話題作を全文まとめて読みたい方はコチラ(amazon.jp)からお買い求め下さい。
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