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セルジオ越後の越後録 by セルジオ越後

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無観客試合、Jリーグはもう少し冷静に考えるべきだった
by セルジオ越後

 3月23日、Jリーグで初めてとなる無観客試合、浦和対清水戦が埼玉スタジアムで行われた。浦和サポーター3人によって人種差別とも受け取れる垂れ幕が掲げられた問題による処分。ただ、こんなに凄い処分なのにメディアの露出がほとんどなく、垂れ幕を掲げたとされるサポーター3人が法的な処分、社会的な制裁を受けた訳でもない。該当したサポーターが無期限の入場禁止処分になって試合だけ見れないというのは事態の大きさを考えると、大した問題ではない。世界では暴動が起きてけが人や死者が出た際に無観客試合になる。だから本当にこれほどの処分をする必要があったのか。以降、浦和はフラッグを掲げることを禁止している。子どもやほかのサポーターの喜びや楽しみを奪ってしまっている。Jリーグを活性化しなければならないのに、責任のない子どもやそのほかのサポーターが巻き込まれてしまった印象だ。

 この問題についてはJリーグが、事実が明らかになってからすぐに浦和に対してけん責(始末書の提出)と無観客試合開催の処分を下した。でもボクはJリーグがもう少し冷静に考えるべきだったと感じている。人種差別がいいのか、悪いのかは法律が決めること。無観客試合という大きな決断をするならば、もっと世間の意見、警察、裁判所がどう判断するのか待ってからで良かった。もちろん、人種差別が認められていい訳ではない。ただ、日にちが経ってみると、今回の問題は新しいチェアマンの行動力の早さは印象に残っているけれど、人種問題については霞んでしまっているような気がする。煽りだけでは問題は解決しないよ。

 こんなにメディアから無視されている。ニュースにもならない、反響もそれほどない中で厳しい処分が下されてしまった。以前にもサポーターが問題を起こしている浦和が累積の処分であることから、管理不足によって罰金になったりするのは理解できるが、選手を励ますフラッグや横断幕を奪ってしまうのは人種差別とは関係ないのではないか。「頑張れ○○選手」や「勝て」と子供が旗振るのは、次の時代へ向けたJリーグの宣伝のようなもの。スポンサーバナーも掲示されなかったけれど、この影響によってスポンサーが降りることもやむを得ないと判断しているんだろうね。浦和は経済的な打撃を受けたけれど、Jリーグはどう責任を取るのかな。

 3年前に清水の監督が相手サポーターから差別を受けた時は、どうだった? これほどの対応ではなかった。新しいチェアマンが就任した直後だったから、力が入り過ぎたんじゃないか。迅速な対応ももちろん重要なこと。でも他のサポーターや子供が何をしたのか、彼らがどれほど大事な存在なのかもっと時間をかけて考えてほしい。最高責任者として走り過ぎたんじゃないだろうか。チェアマンにはそれほどの立場、重みがあることを知ってほしい。

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