beacon

セルジオ越後の越後録 by セルジオ越後

このエントリーをはてなブックマークに追加

本田初ゴール、つくられた名前と結果が一致すればいい
by セルジオ越後

 ミランの本田圭佑が7日のジェノア戦でセリエA初ゴールを決めた。1月に加入してから12試合目のゴールは遅すぎたくらい。騒ぎと期待があった中で、やっと取れたという印象だ。入った時のフィーバーぶりを考えると、やっぱりもっと早く取ってほしかった。静かになった頃にようやくゴール。メディアは今回のゴールについて、凄く騒いでいるけれど、こんなに祝福するならば、点を取れない間にもっと厳しくやらないといけないだろう。ダメなときは厳しい指摘を全くせずに無視しておいて、点を取ったりした時だけ騒ぐ。日本の文化と言えばそうなんだけど、やらっせぽく映ってしまう。

 取り方は良かったけれど相手のジェノアは13位のチーム。このあとローマやインテル相手にどれくらいやれるか。まだまだ話題が先行しているから、つくられた名前と結果が一致すればいい。1点取ったからと言っても、長友はもう5ゴールも決めているんだから、活躍の度合いはまだ長友の足元にも及ばない。彼を上回ってはじめて騒ぎと結果が一致すると思うよ。

 メディアは本田が1点取ったら、過剰なほどに「ワールドカップへ弾み」としてしまう。今週千葉県で行われていた日本代表候補合宿も、ボクはニュースがない中で過剰に注目しすぎていると思った。そもそも、今回のメンバーはザッケローニ監督というよりも原専務理事兼技術委員長がブラジル後を見据えてつくったリストじゃないのか? 発表会見にザッケローニ監督が出なかった。ザッケローニ監督が選手を発掘したいならば、メンバー発表の際に「ワールドカップへのラストチャンス」と言うべきだったと思う。でも、それがなかった。メディアは騒いでいたけれど、サッカー協会からも、ザッケローニ監督からも「ラストチャンス」という雰囲気が伝わってこなかった。もしかしたら怪我人が出たりして今回の合宿メンバーから何人か入ってくるかもしれないけれど、ここからワールドカップへ向かっていくなんてほとんどありえないと思う。

 この3日間で何が分かったのか。公式戦の合間に3日間だけ千葉へ呼んで、大学生と試合して活躍しても評価が変わるはずはない。3月のニュージーランドとの国際親善試合の前に呼んで、そこから何人か試合でテストするならばまだ分かる。でも今回は、これほど注目される合宿じゃなかったと思う。呼ばれた選手よりも呼ばれなかった選手の方が安泰という変な形。ブラジルのワールドカップへ向けての準備というよりも、(2018年に開催される)ロシアへ、の方が合っている選手が何人か入っていた。ここで変に期待して、選ばれなくてがっくりしてしまう方が心配だ。そこはメディアに惑わされてしまうのではなく、選手たちが自覚をもって空気を読むしかない。

TOP