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蹴活生ガイド2021(関西) by 森田将義

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[蹴活生ガイド2021(関西)]取り戻した「14」。阪南大MF江口稜馬は戦う姿勢を前面に出し、タイトルを狙う
by 森田将義

 昨年は新型コロナウイルス感染拡大による影響で大学生のアピールの場の多くが失われてしまった。関西学生サッカーリーグは前期が中止に。現在もまだ“普通”は戻ってきていないが、関係者たちの尽力によって今年の関西学生サッカーリーグは4月10日、11日に開幕節が開催される。プロ入りを目指す選手たちにとって貴重なアピールの機会になるはずだ。
 昨年に続き、今年もプロ入りを目指す4回生たちを紹介するゲキサカコラム「蹴活生ガイド2021(関西)」を企画。各チーム承諾の上、「蹴活生」たちに電話取材し、彼らのアピールポイントなどを紹介していく。第1回目の今回は、阪南大のMF江口稜馬(4年=野洲高)を取り上げる。(取材・文 森田将義)


 元日本代表のMF乾貴士(エイバル)を筆頭に、野洲高出身者の代名詞と言えば相手を翻弄する華麗なボール捌きだが、阪南大のMF江口稜馬(4年)はちょっと違う。闘志を前面に押し出したプレーが真骨頂で、本人も他の違いについてこう話す。「野洲らしくない選手って、めちゃくちゃ言われますし、自分でも野洲じゃないって認めます。高校時代から、周りは上手い選手なのに、俺は上手くないなって。周りに合わせて上手く見せようとしても、上手くいかない」。

 ガツガツと相手に食らいつくボールハントが持ち味だが、それだけに留まらないのが彼の魅力だ。観客を沸かせるタイプではないが、奪ってから左足で繰り出す展開力からは野洲らしさを漂わせる。

 大学1年目から阪南大のエースナンバーである14番を託されたのも、高評価の表れだ。1年時から主力として活躍した江口は、同じ番号を背負ったMF松下佳貴(現仙台)やMF脇坂泰斗(現川崎F)に続けるだけの可能性を感じさせた。

 ただ、「周りに凄い先輩がたくさんいたので、活かされていた感じでした。高校とは強度が違い過ぎて、1年の時は自分がなんでやれていたか分からない」と振り返る通り、DF大野佑哉(現松本)、FW草野侑己(現山口)といった先輩たちに良さを引き出してもらっていたのも事実。2年目は、チームでの存在感が薄れていった。

 無我夢中でプレーした1年目とは違い、エースナンバーの重みを実感した。「2年生の時は色々考えすぎていました。上級生がいる中で14番を背負うからには、下手なプレーはできないと葛藤していた。試合中も上手く行かなかったら、『本当に14番で良いのか』と悩んでいたし、上手いプレーをしなくちゃと思っていました。。声を出して自分のリズムを作ろうと心掛けているけど、まったく声が出せなかった。ドンドン悪くなっていって、自信を失っていきました」。

 3年目に与えられた背番号は、18番。エースからの降格を経験して、「根本として戦うという部分をまずはしなくちゃいけないと改めて思えた」。MF工藤蒼生(3年=仙台ユース)とダブルボランチを組み始めたのも、江口にとっては大きかった。「リーグ戦を半年一緒にやって、改めて蒼生は凄いなって。なんか、いるんですよ。守備の時にいて欲しい場所にいるし、攻撃の時も目線に入ってくる。アイツがどう思っているか分からないですけど、俺は結構信頼しています」。気の利くパートナーを得たことで、運動量を活かしてピッチを所狭しと動き回るプレーを取り戻した。加えて、大学サッカーの速さと強度にも順応し、ボールハントの力強さも増し、ピッチでの存在感を取り戻した。

 今年3月に行われたデンソーカップで、関西選抜の一員に選ばれたのも、昨年のプレーぶりを見れば納得がいく。大会を制した関東選抜Aと対戦し、0-3で敗れたが、江口自身は確かな手応えを得た。「結構差があったと言われるけど、一人ひとりの差はちょっとなのかなと思った。それが11人集まったから、凄く大きく感じただけなのかなって。俺自身は、ボールロストもそんなに多くなかったし、やれる手応えはあった。ただ、ああいった試合で結果とか決定的な仕事ができれば、もう一個上のレベルに行けるとも思いました。ソンギさん(朴成基コーチ)にも言われたんですけど、今年は得点を獲っていったりという所も意識していきたい」。

 最終学年は、再び14番を背負う。名実と共にエースとして挑む今年は「タイトルを獲れたら、自分の道も開ける」と意気込んでいたが、3月末に前十字靭帯を断裂した。復帰するまでに時間は要するが、江口なら必ずピッチへと戻り、プロ入りの夢を掴めると信じている。

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