beacon

2得点のF東京・渡邊「自分が決めてやると思っていた」

このエントリーをはてなブックマークに追加

[5.2 ACL GL第5節 F東京4-2ブリスベン・ロアー 国立]

 ストライカーとしての意地があった。前半43分、右サイドに流れてボールを受けたFC東京のFW渡邉千真は、DF徳永悠平からパスを受けると、前を向いて縦へ仕掛けて行った。DFモハメド・アドナンに足を掛けられ、倒されるとアブドゥラー・バリデー主審は迷わずにPKを与えた。転がったボールを渡邊は拾い、自分が蹴るという意思を示した。

「誰が蹴るという約束はありません。でも、自分が(PKを)獲ったから、譲りたくはなかった」と渡邉は言う。前半20分には右サイドからDF椋原健太のゴールをアシストしていた。しかし、やはりゴールを決めたかった。「自分が決めてやると思っていました。蹴るときは落ち着いていましたね。緊張は、多分ありましたが、自信を持って蹴りました」。向かって右に蹴ったボールはGKの逆を突き、ゴールネットを揺らした。「(現在3連敗中の)リーグ戦があまりよくなかったし、雨の中集まってくれたサポーターにも勝つところを見せたかったので、チームの勝利が一番良かった」と話す。だが、同時にゴールも欲しかった。ミックスゾーンで開口一番、「今日は絶対に点を取ろうと思っていた」と口にしていた。

 さらに渡邉は後半15分にもMF谷澤達也からのパスを受けて、追加点を挙げている。自身の1点目となったPKも、CBモハメド・アドナンのファウルを誘ったが、このときは彼の背後を取った。「16番(モハメド・アドナン)は(スピードが)遅かったのは分かっていたので狙っていました。プルアウェーから良い形で前を向けたときに、ヤザくん(谷澤達也)が良いボールを入れてくれたので、落ち着いて相手GKを見ることができて、ニアに流し込めました」と、試合を決定付けた、自身の2点目を振り返る。

 ACLで5試合連続スタメン出場し、同大会での通算ゴール数をチーム最多の3とした渡邉は、この勝利をリーグ戦につなげていきたいと話す。「まずはチームが勝つことで自信になると思っていました。2失点しているので、今日の内容には誰も満足していないと思いますが、良い流れに持って行けたかなと思います」。

 そのリーグ戦では、7節の仙台戦(0-4)でスタメン出場したが、それ以外は途中出場が続いている。チーム同様に、渡邊自身もACLでつかんだ手応えと良い流れを、リーグ戦につなげるつもりだ。「僕はリーグ戦もACLも、全部出たいと思っています。監督も練習のパフォーマンスを見てスタメンを決めると話していますし、実際に調子の良い選手が使われていると思います。すぐにリーグ戦もありますが、コンディションを整えて、やっていきたい」と8日の新潟戦を見据えた。

(取材・文 河合 拓)

▼関連リンク
ACL2012特設ページ

TOP