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気温40度でも「佐賀より涼しい」…ダークホース鳥栖、脅威のハードワークでG大阪を撃破

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サガン鳥栖U-18ガンバ大阪ユースに競り勝った

[7.22 日本クラブユース選手権U-18大会GL第1節 鳥栖U-18 2-1 G大阪ユース 宮城総合]

 第42回日本クラブユース選手権サッカー選手権(U-18)大会が22日、群馬県内の各会場で開幕した。宮城総合陸上競技場の第2試合ではC組のサガン鳥栖U-18ガンバ大阪ユースが対戦。プリンスリーグ九州で首位を独走中の鳥栖がプレミアリーグ勢のG大阪に2-1で競り勝ち、大会初戦を白星で飾った。

 立ち上がりはロングボールとハイプレスで猛攻をしかけた鳥栖が一方的に主導権を握った。すでにトップチームデビューを果たしているFW石井快征(3年)の強烈なシュートは相手守備陣にブロックされたが、MF本田風智(2年)のヘッドもゴールを強襲。G大阪は前半11分、額を負傷したDF奥田勇斗(2年)が負傷退場し、DF岡治秀明(3年)が入った。

 公式記録の気温は40度を記録し、前半18分ごろに1分間の飲水タイムを実施。落ち着きを取り戻したG大阪は中盤中央で縦関係に並ぶMF奥野耕平(3年)、MF岩本翔(3年)にボールが入るようになり、絶えず裏抜けを狙う2トップのFW唐山翔自(1年)、FW原田烈志(3年)が鳥栖ゴールを脅かした。

 ところが先にスコアを動かしたのは鳥栖だった。前半26分、左からのCKをMF兵働透生(3年)が蹴り込むと、中央で競り勝ったのはDF平瀬大(3年)。力強いヘディングシュートで叩き込むと、FWクリスティアーノ・ロナウドのゴールパフォーマンスで威勢を示した。

 G大阪は前半アディショナルタイム1分、岩本のスルーパスから唐山が抜けるも、シュートはGK板橋洋青(2年)がビッグセーブ。しかし、跳ね返りを原田が頭で押し込み、試合を振り出しに戻した。ハーフタイムにはDF吉木大喜(3年)に代わってMF高橋直也(2年)が起用された。

 後半立ち上がりは一進一退の攻防を迎えたが、7分に鳥栖が勝ち越しに成功する。敵陣左寄りでボールを受けた石井が強烈な突破をしかけると、奥野のファウルを誘ってFKを獲得。位置についたのは兵藤とMF松岡大起(2年)。左利きの兵藤が壁を動かし、キッカーを担うかと思われたが、松岡が右足で壁の外側を狙ってゴール右隅に流し込んだ。

 後半18分ごろには、ベンチに戻ることができるクーリング・ブレイクをこの会場で初めて実施。日本サッカー協会(JFA)の発表では暑さ指数(WGBT)31度以上で実施するとしており、暑さが最高潮に達していたことが見て取れた。両チームの選手たちはホワイトボードで身体を仰ぐなどし、体温を下げていた。

 鳥栖は後半25分、右サイドを突破した石井のクロスからビッグチャンスをつくるも、混戦でのシュートはGK駒井幸弘(2年)が右手一本で防ぎ、追加点は生まれない。対するG大阪はFW大谷優斗(2年)、MF福井和樹(2年)を次々に入れ、攻勢を試みる。だが、運動量が全く落ちない鳥栖のブロックは崩れず。グループリーグ屈指の好カードは鳥栖に軍配が上がった。

 G大阪の實好礼忠監督は「プレスに対応できなかったというより、ピッチに対応することができなかった」と敗因を指摘。「こういう大会では選手がレベルアップできる機会になる。しっかり自分たちのサッカーをして、その中で勝利を追求していきたい」と続く2試合に向けての意気込みを述べた。

 一方、鳥栖の金明輝監督は「ウチは70分になって損したなと思うくらい、暑さの中でも関係なく90分間戦えるチーム。また選手もそう思っていると思うんですが、群馬は佐賀より涼しいので、残りの2試合も普通に戦えます」とまさしく“涼しい”表情。G大阪を倒したことで優勝候補としての注目も高まるが「まずは目標を高く持ちすぎず、グループリーグの試合にしっかり備えていきたい」と目の前の一戦を見つめていた。

(取材・文 竹内達也)
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