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無名選手たちもチャンス掴む!関西セレクションから10名が世界懸けた「NIKE MOST WANTEDジャパンファイナル」進出!

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 新たに10選手が世界への第1関門を突破した――。世界で戦える若き才能を発掘する世界的なスカウトプロジェクト、「NIKE MOST WANTED」(昨年までは「NIKE CHANCE」として実施)は8日、大阪府のJ-GREEN堺で関西セレクションを開催し、MF岡本北斗(松陰高)、FW古城優(堺西高)、GK佐藤由維斗(久御山高)、MF鈴木圭太(桃山学院高)、FW鶴田賢之(東大阪大柏原高)、MF八田紘輔(久御山高)、FWノブレガブリエル源(前橋育英高)、DF山上泰成(伊勢崎商高)、MF渡辺柊斗(東海学園高)、FW和田幸之佑(久御山高)の10選手が2月21日に横浜みなとみらいスポーツパーク(神奈川)で開催される「ジャパンファイナル」進出を決めた。

 これでキックオフセレクション、関東セレクションの勝者と合わせて計25名が1次選考会を突破した。「ジャパンファイナル」では、日本各地を訪問するナイキスカウトの推薦を受けて参加権を得た(シード)プレーヤー、そして「ジャパンファイナル」当日の2月21日午前に開催されることが決まった追加セレクション「THE LAST CHALLENGE」の勝者を加えたプレーヤーたちが激突。そこで勝者となった2名が“日本代表”として、今年4月末からイングランド代表の本拠地あるセント・ジョージズ・パーク(イギリス)で開催されるトライアウト「NIKE MOST WANTEDグローバル ファイナル」への出場権を獲得する。「グローバル ファイナル」では世界約50か国から集まる才能たちと実力を競いあい、認められたプレーヤーがセント・ジョージズ・パークでの約6か月間のエリートトレーニングや欧州プロのスカウトの機会を得られるナイキアカデミー入り。海外でプロになる夢へ大きく前進することができる。

 この日の関西セレクションにはプレミアリーグWESTや全国高校選手権に主力として出場している京都橘高MF仙頭啓生とMF大野挙弥、全国高校総体で4ゴールをたたき出しているFW柳原慶斗(初芝橋本高)、日本クラブユース選手権でJユース勢相手にハットトリックを達成しているFW藤本玲央(センアーノ神戸ユース)、また夏の愛知王者・東邦高のエースFW鈴木大嗣、快足FW西村雄生、高校選手権に出場した滝川二高の注目1年生、MF持井響太ら計80名の才能が集結。「先輩(DF貫井優也)がジャパンファイナルまで行っていて、憧れて、自分も行こうと思って準備してきました」という鶴田や「高校の監督さんに紹介されて『行かせてください』と。高校3年間やってきたことを出そうと思ってやりました」という古城、そして1月25日の関東セレクションで落選しながらも「(前橋育英高で)常に一緒に練習しているヤツらが受かったからこそ、凄く悔しい思いをした」と関西へ再挑戦してきた源ら、海外への強い想いや高校サッカーの集大成としての想いを持ったプレーヤー、また力試しのために参戦したプレーヤーたちが「ジャパンファイナル」への10枚のチケットを争った。

 この日はロングボールが押し戻されてしまうような非常に強い風。悪コンディションの中で行われた関西セレクションは、有力候補と見られた選手たちも力を出し切れずに振り落される「激闘」となった。6対3のポゼッションや3対2からのシュートなどのメニューではスカウト陣がよりいい判断、プレーをするためのアドバイスを送るなど、参加選手がスキルアップできるようなトレーニング要素も含んだセレクションは、9チームに分かれて繰り返し実施された9対9(1本12分間)が大きなアピールの場となった。

 圧倒的に他の違いを見せていたようなプレーヤーはいなかった。その中で仙頭がボランチの位置からのドリブルで再三局面を突破。またスルーパスをスライディングでカットするなど危機を的確に消していたMF吉武駿平(センアーノ神戸ユース)やスピードある動きを見せたDF阿部広大(岡崎城西高)とDF西村佐久良(大阪体育大浪商高)、攻撃参加に迫力のあったDF高畠淳也(徳島北高)、周囲を動かすリーダーシップが光ったMF三木水都(大阪学院高)、前線で力強いプレーを見せていた柳原ら持ち味を発揮していたが、ハーフコートの9対9というピッチの中ではスペースが限られており、武器を出し切れなかった選手も多かった。

 よりアピールに成功したのは合格者となった選手たち。13年度の選手権全国大会に出場している渡辺が「ボール持ってからのアイディアだったり、パスだったり、ドリブルだったりの判断とか、攻撃の面を出そうと思っていた」とゲームに緩急をつけながら、左足で決定的な仕事をすれば、海外への練習参加経験を持つという鈴木が「自分の長所であるので、それを出せたのは良かった」と相手を剥がすドリブルからゴールやアシストを記録していく。また八田は「取られる気しいひんかったので。そこは出せたと思います」と説明したように、最終ラインからでも得意のドリブルでグイグイと前進。そして「初めは緊張しました。でも初めのシュート1本打ってから調子を掴めてきた。いつも通り出せたんかなと思います」という和田はドリブルスキルの高さを存分に発揮してゴールを奪い取っていた。「普段からコーチにキャッチングとかコーチングの面から言われているのでいつも通りにやろうと思った」という佐藤由や貪欲なゴールへの姿勢と守備面が評価された源、それぞれ無名ながらもシンプルなボール捌きが評価された岡本、力強い突破を見せた古城、右サイドでのスピードある突破が光った鶴田、187cmの高さを活かして奮闘した山上もスカウト陣に自身のプレーを印象付けた。

 周囲をどよめかせる様なプレーは少なかったが、FW野崎祐樹(東大阪大柏原高)がターンでDFを置き去りにして出したスルーパスをFW高畠光邦(高松桜井高)がスライディングシュートでゴールへ押し込んだり、ドリブル突破した鶴田の折り返しをこの日アイディアある動きで健闘していた中学生MF瀧川海斗(富田林市立三中)が右足で流し込んだり、渡辺の絶妙なラストパスから大野が奪ったゴールや、鈴木と藤本がコンビで奪ったゴールなど印象的な得点シーンもあった。またGKは佐藤歩夢(市立尼崎高)と佐藤由がともにビッグセーブを連発。各ポジションの争いはし烈だったが、特に中盤は選考を担当した櫛山匠スカウトが「(NIKE FCにも参加していた)仙頭や大野はいい選手でしたし、中盤は本当に激戦区でした」という状況だった。

 結果、選考は予定時間をオーバーするほどの時間を経て決定。ひとつのポジションに偏らず、各ポジションから万遍なく選考するという点も考慮されて、「自分的には受かると思っていなかったし、でもやるからには出して全力でやろうと思っていた」という長身CB山上ら10名が選出された。スペイン人のアレックススカウトは、セレクションに取り組む姿勢や想像力、判断力の部分を重視したことを選手たちに説明し、「ボクらを悩ませてくれたし、本当に難しかったです。参加してくれてありがとう」と感謝。そして合格者たちには「(世界への)スタート地点に立っただけ。選ばれなかった選手は悔しかっただろうし、そういう気持ちを忘れないように」とメッセージを送った。

 2月21日の「ジャパンファイナル」では世界まで目前に迫ったプレーヤーたちが、どのような戦いを見せるか。古城は「きょうのプレーは全然納得していないので、もっとトレーニングしていかないとファイナルは厳しくなると思う。もっとトレーニングしたいと思います」と誓い、岡本は「もちろん受かるために受けるんですけど、そのためにいつもと違うプレーしてもしょうがないので、いつも通り簡単にやるところは簡単にやって、仕掛けるところは仕掛けて持ち味を発揮していきたいと思っています」と意気込んだ。全国高校選手権や高円宮杯プレミアリーグで活躍したプレーヤーやプロ注目プレーヤー、年代別日本代表も参戦する可能性のある「ジャパンファイナル」。わずか2枚のチケットをもぎ取り、世界へ進むのは「誰だ」。

[写真]関西セレクションを突破した10名。左から源、佐藤、和田、八田、山上、鈴木、古城、岡本、渡辺、鶴田

(取材・文 吉田太郎)

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