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[MOM1583]神戸弘陵MF谷後滉人(2年)_夏以降、急成長を遂げたMFが憧れの舞台で決勝点

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.8 全国高校選手権兵庫県予選決勝 芦屋学園高 0-2 神戸弘陵高 ノエスタ]

 神戸弘陵高が神戸国際大附属高を1-0で下して、13年ぶりの選手権出場を掴んだのが2年前の11月10日。ノエスタで躍動する神戸弘陵の選手たちを目にした当時、中学3年生のMF谷後滉人(2年)は、「僕も同じ舞台に立ちたいと思った」という。憧れの先輩たちと同じ舞台に立ったこの日は、ピッチで堂々としたプレーを披露し、決勝点をマーク。ヒーローとなった彼は、試合後「まだ、実感がない」と苦笑いを浮かべた。

 序盤から、試合のペースは神戸弘陵だった。谷後とMF下山祥志を起点にテンポ良く両サイドを使って、ブロックを固めた芦屋学園高の守備を翻弄。高い位置にボールが入ってからは、ボランチの位置から積極的に前へ飛び出し、「細かいエリアに飛び込んでいっての崩しが得意」と自信を見せるプレーで入谷子龍土井智之の2トップに絡んで、攻撃に厚みを加えた。

 試合が動きたのは、前半17分に見せた彼の動きから。右CKを短く下山に出した入谷がリターンを受けて、ゴール前にクロスを展開。谷後はCKの瞬間はニアで敵の視線を寄せ付け、一旦大きく膨らんで視界から消えると、ファーから再びゴール前に飛び込み、ヘディング弾をお見舞いした。「練習通りの形。完璧でした」と胸を張った一撃が、ゴールネットを揺らすことに。以降は、芦屋学園のカウンターを周囲との連携で防ぎ、無失点にも貢献した。

 今でこそ、110人もの部員が在籍する神戸弘陵で2年生ながらスタメンを務めるが、中学時代は無名の存在。「弘陵の人たちはAチームとかBチームとか関係なく皆、自主練をしているので、負けられない。僕がサボったら追いていかれてしまう」と切磋琢磨する中で、「綺麗なドリブルで相手を抜けないので、ロングボールやインサイドキックの質を何度も何度も練習してきた」。スタメンに定着し始めたのは今年の県総体準決勝、滝川二高戦から。先制点をアシストしたものの、1-4で敗れて全国総体出場は掴めず。「手も足も出ない感じで、本当に悔しかった。僕自身もアシストしたけど、それ以外はビビッて、ボールを受けられず、出てない人に悪いなって思った」と振り返ったように、悔いが残る試合だったという。

 だが、この一戦以降は彼に変化が生まれた。「日を追うごとに、Aチームや試合の雰囲気に慣れていった」と口にするように先輩たちに交じっても臆することなくプレーできるように。ボランチでパートナーを組む下山も「最初はちょっと遠慮気味だったけど、県総体で滝川二に負けてから、ドンドン前に出ていくようになった」と彼の成長を証言しつつ、「責任感が強い。2年で出てるってこともあって、3年以上に気合を入れようとして前に出てくれる。日頃から、『点を獲って、3年生を絶対に全国に連れていく』って口に出すくらい、気持ちが強い。横にいて頼りになる」と評した。

 選手権が谷後自身初の全国大会。2年前に憧れた先輩たちと並ぶことになったが、浮かれた様子は一切ない。「全国に行くのは初めてなので、たぶん緊張すると思うけど、それまでに自信をつけたい。予選でスタメンだったとしても、全国ではどうなるか分からないし、チームとしても、個人としても、もっと質を上げていきたい」と勝って兜の緒を締めた。

(取材・文 森田将義)
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