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[プレミアリーグEAST]大一番でも「いつも通り」序盤から猛プッシュ、首位奪取の鹿島ユースが初Vへ逆王手

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[11.29 高円宮杯プレミアリーグEAST第17節 鹿島ユース 1-0 青森山田高 鹿島クラブハウスG]

 高校年代最高峰のリーグ戦、高円宮杯U-18サッカーリーグ2015 プレミアリーグEASTは29日に第17節を行い、首位・青森山田高(青森)と勝ち点2差の2位・鹿島アントラーズユース(茨城)が激突。ホームの鹿島が1-0で勝利し、首位へ浮上した。残り1節となったプレミアリーグEASTの優勝は、鹿島と青森山田の2チームの争いに。12月5日の最終節で鹿島は市立船橋高(千葉)と、青森山田はFC東京U-18(東京)とそれぞれ対戦する。

 青森山田が勝てば優勝の決まる首位決戦。ここで首位を奪い取るためには勝つしかなかった鹿島だが、気持ちが入り過ぎることはなかった。熊谷浩二監督が「いつも通りです」と説明したように、大一番を「いつも通り」にやるために準備してきたという一週間の成果を開始から示す。序盤、やや硬さの見られた青森山田に対し、「自分たちはいつも前から行くスタイル」(町田)の鹿島はこの日もトップギアで試合をスタート。そして7分、自陣からのカウンターで左サイドを突いたMF西本卓申がDFと1対2の状況から一気に打開してゴールエリアまで持ち込むと、後方から倒される形でPKを獲得する。大一番の試合開始直後に生まれたビッグプレー。「相手の攻撃の裏返しは、相手も後ろの枚数が少なかったので、味方がボールを持った瞬間に自分がまず自分が前でタメをつくろうという意識でいったんですけど、前向いたら2人しかいなくて行けるなと思って縦に突破して、いい感じでファウルもらえてラッキーでした」という西本が獲得したPKを、キッカーのMF平戸太貴が右足でゴールへ沈めて鹿島がリードを奪った。

 鹿島は運動量、強さ、そしてDFと入れ替わるスキルの高さも示すFW垣田裕暉が前線で主導権を握る。両CBが厳しく行ききれない部分があった青森山田は垣田に攻撃の起点を作らせてしまい、また判断ミスなどで後手の展開となってしまう。サイドの高い位置を取る鹿島はMF吉岡樹利也やMF田中稔也も仕掛けを見せると19分、左SB大里優斗の左クロスがGKの指先を抜け、ファーサイドの田中が決定的なヘディングシュート。33分には吉岡のパスから西本がDFの背後へ抜けだして決定機を迎えた。

 青森山田も右SB原山海里のロングスローをニアサイドで合わせる形で鹿島の守りを揺さぶっていたほか、30分頃からは意図的にグラウンダーでボールを動かす時間帯を増やしていく。だが、エースMF神谷優太が鹿島MF千葉健太主将にマークされる中、高い位置までボールを運ぶことができない。

 それでも今季何度も劇的な逆転勝利を収めてきた青森山田は後半、主導権を握り返す。立ち上がりから勢いある攻撃を見せた青森山田は、個人技でDFを剥がすMF高橋壱晟や神谷を中心にボールを保持する時間を大きく伸ばし、コンビネーションでバイタルエリアを攻略。また、鹿島に攻めきらせる前にボールを奪うと、カウンターから左SB北城俊幸主将がスピードあるドリブルでボールを大きく運ぶなど、鹿島に落ち着く時間を与えない。そして15分には右FKの流れから連続攻撃。最後は原山の左クロスがファーサイドのFW鳴海彰人へと通る。また20分には神谷の右足FKが枠を捉え、直後にはカットインから北城が右足シュート。26分にはコンビネーションで右サイドを崩し、豊島の折り返しのこぼれ球を高橋が左足で狙った。

 後半半ばを過ぎると、交代出場のFW色摩雄貴や垣田が前線でボールを収める回数が増え、鹿島も攻撃時間を伸ばした。そして28分には西本の抜け出しからチャンスを迎えるが、シュートは枠を外れて突き放すことができない。徐々に残り時間が少なくなって行く中で青森山田はロングボール、クロスを次々と前線へ入れるが、単調な攻撃は「真っ直ぐ来る分には高さもあるので跳ね返せる自信もあった」という鹿島のU-18日本代表CB町田浩樹の高き壁に跳ね返されてしまう。また、こぼれ球をダイビングヘッドでクリアする千葉やCB松浦航洋ら鹿島の集中力は途切れない。勝負どころで崩れない鹿島に対し、青森山田は40分、左ショートコーナーから中央へ運んだ神谷がコントロールショットを打ち込むが、わずかにゴール右外。神谷が「最後点決めれないというところと、ミドルシュートしか打たせてもらえなかったは自分たちの課題」と振り返ったように、相手の懐へ入っていくことができなかった青森山田に対し、3分間のアディショナルタイムもしぶとく守り切った鹿島が1-0で首位交代を果たした。

 初優勝に王手を懸けていた青森山田から勝ち点3をもぎ取った鹿島は初優勝に逆王手。累積警告のエース垣田不在で最終節を迎えるが、熊谷監督は「悔いのない準備だけはしたい」と語り、千葉は「このプレミアに上げてくれた、昇格させてくれたユースの先輩たちがいて、ずっとプレミアに残してくれた先輩たちがいて、その先輩たちの思いも背負って今、初優勝を懸けて戦っていると思うので、このチャンスは何回も来るわけではないと思うので、絶対に取らなければいけないタイトルだと思っています」と力を込めた。常勝軍団・鹿島トップチームへ進むことが決まっている町田は「勝利から逆算して何ができるかは熊谷さんから叩きこまれていると思う。そういう熱い試合をできたらいいと思います」。初優勝がかかる大一番も「いつも通りに」熱い戦いを見せて、白星を掴む。

[写真]前半7分、鹿島ユースはMF平戸が右足でPKを決める

(取材・文 吉田太郎)
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