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[選手権]敗戦後「ピッチを出るのをためらった」前橋育英FW横澤が目に焼き付けたかった光景

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[1.5 全国高校選手権準々決勝 國學院久我山高 1-0 前橋育英高 ニッパツ]

 試合終了のホイッスルが鳴り響く。スコアは0-1。1点のビハインドを背負って迎えた試合終盤、前橋育英高(群馬)は猛攻を掛けたものの、最後まで國學院久我山ゴールをこじ開けられずに準々決勝で涙を飲むことになった。FW横澤航平(3年)は「もう終わっちゃったなと思って…。悲しいです」と声を落とした。

 背番号10を背負う横澤は、間違いなく前橋育英の攻撃の核だった。初戦となった2回戦の大津戦では2得点を演出して3-2の勝利に、3回戦の帝京三戦では先制点を奪ってチームに勢いをもたらして3-1の勝利に貢献した。しかし、國學院久我山戦ではシュート1本に抑え込まれ、チームにも得点は生まれることはなく、「結果が出なくて、まだまだ努力が足りなかったと思う」と唇を噛んだ。

 敗戦後、応援団にあいさつをしてチームメイトはロッカールームへと引き上げようとする。そんな中、横澤はスタンドを見つめていた。「ピッチを出たら、高校サッカーが終わってしまうと思って…。ピッチから出るのをためらっていたし、最後まで応援してくれた皆の姿を目に焼き付けたかった。見ていたかった」。3年間、何よりもサッカーを優先させてきたからこそ、その時間が終わることを簡単には受け入れることができなかった。そして3年間、背中を押し続けてくれた人たちの姿を、もう二度と見ることができないであろう光景を目に焼き付けようとしていた。

 この日で横澤の高校サッカーは幕を閉じることになった。だが、「人生で一番濃い3年間でした。サッカーもそうですが、人間としてもいろいろと学べた3年間だったと思います。全部が思い出です」と何事にも代えがたい3年間を過ごせたと振り返った。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 折戸岳彦)
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