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現役20年でたった1ゴール…下手なのにプロで稼ぎ続けた“詐欺師FW”の手口がすごい

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 ストライカーでありながら20年間で記録したゴールはわずかに「1」。それでも引退まで世間をだまし通し、プロで稼ぎ続けた伝説の選手がいた。

 米『アトラス・オブスキュラ』によると、その選手はブラジル人のカルロス・カイザー氏。貧困から脱出するべくプロの道を目指したカイザー氏は、ボタフォゴの下部組織を経て1979年にメキシコのプエブラFCに入団したが、実力が足りずに数か月で退団。ただ、その後も3〜6か月の短期契約ながらさまざまなクラブを渡り歩き、プロとして20年間プレーした。

 カイザー氏がプロ生活を維持するために仕組んだ手口は多岐にわたる。まずは、有名選手たちに取り入り、彼らに気に入られることで他クラブに推薦してもらうというシンプルなもの。当時はまだ過去のプレー映像を見ることはできず、クラブのスカウトは有名選手のアドバイスを信じてカイザー氏と契約を結んでしまっていたようだ。

 さらに入団後もカイザー氏の策略に抜かりはない。嘘の怪我を申告して調整という名目のもとで時間の引き伸ばしを行い、そのまま数か月の契約期間を満了し、次のクラブに移籍するというパターンを繰り返していた。

 また、記者に賄賂を渡して自分を良く見せる記事を書かせたり、当時は高価とされていた携帯電話を手にチームスタッフの理解できない英語で話し、世界的に名が知れていることを装ったりと、カイザー氏は周囲の人々を洗脳し続けた。

 そんなカイザー氏にもピンチがあったという。フランスのアジャクシオに移籍した際、現地で「ブラジルの有名選手が来た」と話題になり、クラブは公開練習を実施してカイザー氏にファンの前でテクニックを披露してもらうことに。ここでカイザー氏がとった秘策は、ファンサービスのふりをしてボールを全て客席に蹴ってしまうというものだった。最後にユニフォームのエンブレムにキスをすると、ファンはカイザー氏の粋なパフォーマンスに大興奮。その後、カイザー氏はいつも通りほとんどプレーすることなく、契約満了でクラブを去った。

 あらゆる手段を駆使してクラブをだまし、1990年代初めまで現役生活を続けたカイザー氏。自身の行いに対して「全く後悔はしていない。クラブは多くの選手たちをだましてる。誰かが仕返ししなければいけなかったんだよ」と語っている。

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