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無念のU-20W杯メンバー落選を進化のきっかけに。17歳の逸材GK大迫敬介「そこで終わりじゃない」

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U-20日本代表候補GK大迫敬介

 今年のU-20W杯に出場することをずっと目標にしてきた。その落選は本当に悔しかった。簡単には切り替えられなかった――。

 U-20日本代表候補(19歳以下で構成)の大阪合宿に参加しているGK大迫敬介(広島ユース)は、20年東京五輪の有力な守護神候補に挙げられている逸材GK。今年3月に広島とプロ契約を結んだ大迫は、これまで2、3学年上の世代にあたる現U-20日本代表のチームにも“飛び級”で入ってきた実績がある。U-20W杯出場を現実的な目標として掲げ、そこで世界相手に活躍することを目指してきた。

 だが5月2日、U-20W杯日本代表メンバー発表でその名が読み上げられることは無かった。最終候補には入っていたというが、結果は落選。「外れた時は凄く悔しくて……。あっちに入りたいという気持ちをずっと持ってやってきたので……」。現在17歳の大迫は、ハイボールの処理やゴール前での存在感など、昨年一年間で大きく成長したという声を色々なところで聞く。加えて、今年は平日にトップチームでトレーニングを重ね、J1トップクラブのスピード感の中で日に日に成長できている実感がある。その成果を世界で試したかったが、U-20W杯出場のチャンスは自身が20歳の年で迎える19年のU-20W杯まで待つことになった。

 複雑な気持ちを抱いていたが、それでも切り替えて今回のU-20日本代表候合宿に参加している。ともに今回のU-20代表候補合宿に参加しているGK沖悠哉(鹿島ユース)をはじめ、上回っていかなければならないライバルはたくさんいる。気落ちして、成長を止める訳にはいかない。

「(これからは)下からもどんどん食い込んでくると思うので、今まで自分は上に入っていきましたけれど、これからまた1から争いが始まっていくんで、今度は自分の代でしっかりレギュラーの座を掴んで、またワールドカップの切符を掴めるように。今回は短いキャンプですけれども細かいものを刷り込んでいけるようにしたい」。彼は悔しい経験を糧に、前向きに、わずかなことでも成長しようとしている。

 6月、トゥーロン国際大会に出場するU-19日本代表のゴールを守ることができれば、2番手、3番手のGKとしてU-20W杯に参加するよりも、多くの貴重な経験ができるかもしれない。今回のU-20代表候補合宿はその選考のひとつ。13日にU-20日本代表候補が戦うU-20アメリカ代表との試合も今後へ向けて重要な一戦だと捉えている。

「まだ(トゥーロン国際大会メンバーに)入っているか分からないですけど、まず入れるように明日の試合もやるということと、そういう結果でしか、外れた悔しい思いだったりというのは表せないと思います。今回のワールドカップは外れましたけれど、そこで終わりじゃないですし、これから先、自分の代のワールドカップ予選なども始まってきますし、また評価してもらえるように、アピールして行く必要があると思います」
 
 昨年はAFC U-19選手権直前に負傷してメンバー落ち。その後、GK小島亨介(早稲田大)ら先輩守護神達との序列を逆転させることができなかった。目標である東京五輪出場へ向けて、沖ら同世代のGKや先輩達以上の成長を遂げなければ世界で戦う権利を勝ち取ることはできない。

 だからこそ、今は地道に目の前のことに集中していくだけ。今回のU-20代表候補合宿も濃い5日間になっている実感が「ありますね」と言い切った。数年後、広島や日本代表のゴールを堂々と守って見せて、17年のU-20W杯出場を逃した「悔しさをぶつけました」と言い切れるような姿に進化を遂げる。

(取材・文 吉田太郎)

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